寄稿/南九州の人流・物流拠点の機能強化と地域住民の安心・安全な生活を支えるために

寄稿/南九州の人流・物流拠点の機能強化と地域住民の安心・安全な生活を支えるために

南九州の人流・物流拠点の機能強化と地域住民の安心・安全な生活を支えるために

国土交通省 九州地方整備局
鹿児島港湾・空港整備事務所長 保利 修


九州最南端にある鹿児島県は、雄大な桜島のある鹿児島湾(通称錦江湾)を挟む薩摩と大隅の二つの半島と日本で二番目に多い605の島々からなり、北の霧島から南の与論島まで南北約600kmと広大な県土を有し、県内には鹿児島港などの重要港湾5港と地方港湾126港があってその数は日本一です。私たち鹿児島港湾・空港整備事務所は薩摩半島及び薩南諸島を管轄し、現在、重要港湾の鹿児島港及び名瀬港、指宿港海岸で直轄事業を実施しています。

鹿児島港は鹿児島湾のほぼ中央の薩摩半島にあり、背後に中核都市鹿児島市を擁し、離島航路や湾内航路の発着場としての人流・物流の拠点であり、また、国内外のクルーズ船が多数寄港し、LNGの輸入や石油製品、重油を取り扱う南九州のエネルギー供給基地及び県内の自動車集積・配送拠点であります。また、平成30年2月に「官民連携による国際クルーズ拠点を形成する港湾」として選定され、同年6月に「国際旅客船拠点形成港湾」に指定されました。

現在、当事務所では国際クルーズ拠点の形成に伴う東アジアを周遊するクルーズ船の寄港増加に対応するため、中央港区のマリンポートかごしまにおいて22万トン級のクルーズ船に対応した岸壁などの港湾施設整備を行っています。令和4年には、既設岸壁を含む全長780m(取付30m含む)のクルーズ岸壁が完成し、22万トン級と16万トン級の大型クルーズ船2隻が同時接岸できるようになります。また、港内南部の港湾貨物拠点と北部の海上物流拠点を結ぶ港湾物流ネットワークの強化を図り港湾貨物と一般貨物を分離し、併せて,市内幹線道路の慢性的な渋滞緩和に寄与する臨港道路(鴨池中央港区線)の整備を行っています。

鹿児島港国際クルーズ拠点整備事業完了イメージ

名瀬港は鹿児島港から南へ約400km、那覇港から北へ約330km離れた中間地点に位置し、奄美群島の中で最大の都市である奄美市を背後圏とし、幹線輸送網である鹿児島・沖縄を結ぶフェリーをはじめ、関西と結ぶ長距離フェリー・RORO船が定期就航しており、奄美大島における島民の生活を支える物資の流通拠点として、また島内外の人々の交流拠点として重要な港であります。

名瀬港(本港地区)岸壁(-7.5m)改良(工事中)

 現在、当事務所では平成30年9月の台風24号によりケーソンが滑動・転倒した立神地区防波堤(沖)の復旧工事を行っており、また、フェリーの荷役作業や乗降客の安全性を確保するため、老朽化した本港地区岸壁(水深7.5m)の改良整備を行っています。

名瀬港(立神地区)防波堤(沖)被災状況

指宿港海岸は、背後に日本有数の観光都市である指宿市を擁し、背後地域には多くの観光客が来訪・滞在する砂むし温泉等の観光施設や数多くの宿泊施設が立地し、また、住宅も密集していますが、1951年のルース台風により砂浜が大量に流出し、その後の高波等で砂浜の侵食が進行して消波機能が失われ、台風等の高波時の越波による背後の住宅や観光・宿泊施設等への浸水被害が度々発生しました。

指宿港海岸に再現した砂浜

指宿港海岸

現在、当事務所では砂浜の侵食や高潮・高波等による背後住宅等への越波・浸水被害を防止するため海岸保全施設の整備を行っており、令和2年3月には、整備区間1.8kmのうち200m区間の砂浜が再現しました。

今後も、着実に社会資本整備を進めると共に、鹿児島港をはじめ、名瀬港、指宿港海岸において、安全で親しみやすい港・海岸作りを進めて参りますので、引き続きよろしくお願いします。

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