寄稿/国土交通省 中部地方整備局 新丸山ダム工事事務所長 菊池 秀之

寄稿/国土交通省  中部地方整備局 新丸山ダム工事事務所長 菊池  秀之

DXを活用して難易度の高いダム再生に挑む

―― 新丸山ダム本体建設工事で働き方改革を実現

 

国土交通省 中部地方整備局
新丸山ダム工事事務所長 菊池 秀之

新丸山ダム本体建設第1期工事は令和3年1月に契約締結し、いよいよ今年度から工事に着手する新たなステージに移行しました。

木曽川は流域面積5,275k㎡、流路延長229kmの大河川で、木曽川の河口より約90km上流に丸山ダムはあります。

新丸山ダムは既存の丸山ダムを20.2m嵩上げすることにより、丸山ダムが持っている2つの目的(洪水調節、発電)を増強するとともに、河川環境の改善等に向け1,500万の容量を新たに確保します。

工事にあたっては、木曽川本川の丸山ダムの機能を維持しながら嵩上げを行うために極めて高度な技術力が必要で、工事期間中は徹底した安全対策を実施していきます。

具体的には、既設丸山ダムのゲート放流の影響を受けない左岸側を先行して施工し、その後に河床部、右岸側を施工するといった特殊な施工計画で工事を進めていきます。

当事務所は中部地方整備局のi-Constructionモデル事務所としてダム本体工事の様々な段階において3次元データとデジタル技術を活用し、施工手順の可視化、工事検査等の効率化などDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進して働き方改革を実現していきます。

CIMモデルを用いた設計照査

 

また、ダム本体及び各設備、周辺施設を統合させた統合CIMモデルを新たに構築し、設計や施工計画の照査を行っています。

デジタル技術の活用は、WEB会議システムと移動式ネットワークカメラを活用することにより遠隔地からの現場確認の実施、AR(拡張現実)を用いて実際の現地映像にCIMモデルを合成させることにより作業計画の立案、施工計画の照査等の効率化、現場での事業説明にも活用していきます。

さらには、ダム本体工事着工前の丸山ダムの情景を残すため堤体内監査廊等も含めた丸山ダムを3次元化し、コロナ禍でも自宅等で見学ができるよう事務所公式WEBサイト上でバーチャルダムツアーのコンテンツを作成、公表しています。

今後、これらの3次元データやデジタル技術を活用し、建設業界だけではなく広く一般に建設現場が変わったと実感してもらえるような現場となるよう、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進のトップランナーとしての役割を果たしていきます。

バーチャルダムツアー概要


ドローンで撮影した丸山ダムの様子

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