建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2004年5月号〉

interview

地域の発展のために効率的かつ効果的な活性化戦略を図りたい

政治出前講座で、有権者との意見を交換

前衆議院議員 自民党道第九選挙区支部長 岩倉 博文 氏

岩倉 博文 いわくら・ひろふみ
昭和 25年 1月 15日生まれ 苫小牧市出身
昭和 47年 3月 立教大学経済学部卒業
昭和 48年 米国アンカレッジコミュニティーカレッジ基礎経済講座修了
昭和 49年 1月 岩倉組土建(株)入社
(※昭和64年1月 岩倉建設(株)へ社名変更)
平成 5年 12月 岩倉建設(株)取締役
平成 12年 4月 岩倉建設(株)顧問
平成12年6月〜平成15年10月 衆議院議員
[現職時代]
衆議院農林水産委員会委員
衆議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員
衆議院安全保障委員会委員
前衆議院議員の岩倉博文氏は、日本青年会議所副会頭を勤めるなど、長く民間経済人として活躍してきた。前々回の衆議院選挙では、地元地域の衰退に危惧感を抱いて出馬。前民主党代表の鳩山氏をあと一歩まで追いつめるほどの善戦で、比例区での復活を果たしたが、前回の選挙では、まさかの敗北を喫した。同氏に次期選挙への決意と、胆振・日高地区の再生へのシナリオを伺った。
――昨年の衆議院選挙は惜しい結果でしたね
岩倉
敗戦を通じて、反省すべきことばかりです。しかし結果として、約11万9千人の有権者が、私の名前を書いてくれたことを重く受け止め、この敗戦を糧に、次の選挙を目指して、新しい目標に向かっています。
――敗因については、どう分析していますか
岩倉
私は以前は商売をする側であって、「仕事してなんぼ」という生き方でしたが、政治の世界は「選挙に勝ってなんぼ」のものであることを実感しました。もちろん政治家としての仕事は大切ですが、やはり選挙に勝って、その入り口に立たない限り、仕事もできない世界なので、そのことに対する考えの甘さが原因だったと思います。
――次回に向けての選挙準備は
岩倉
民間人の時には感じなかったことですが、政治家が受ける歳費は全て税金であることへの責任感もあり、地元へは週末の土日しか戻れない時間的な制約がありました。しかし今回、今は余裕があるので、1人でも多くの有権者に直接会って、私なりの考えを聞いていただこうと考えています。
現在は、都市部に限らず選挙区全体で、政治出前講座を実施しており、有権者が日頃から感じている政治への疑問点や、社会情勢への意見などを、出前講座を通じて直接、双方向で意見交換したり、私自身の考え方を聞いてもらう場をつくっています。
――有権者と話して、どんなことを感じますか
岩倉
中選挙区制から小選挙区制へ変わったことにより、与野党の違いが鮮明になりました。この旧4区でいえば、かつては3議席でしたが、現在の小選挙区制度では、1議席で、1か0かの選択です。そのため、政党政治を前提とした議会制民主主義、与党の議席を持つことの優位性、特に与党と野党の違いを、有権者全員とまでとは言わずとも、多くの方々は理解していると思っていました。
しかし、実際には政治内容が有権者には、はっきり見えていないのです。そこで私は、経済活動をしている方々にとっては、自らの経営に直接関係する問題になりかねない仕組みであることを、出前講座の中で強調しています。
――有権者の立場からは、見えにくい構造があるかもしれません
岩倉
例えば、やはり非自民党政権が良い、それが実現するまでは耐えていくというのも一つの考え方です。しかし現在は、与党である優位性が曖昧な形でしか発信されていないのです。
また、私は野党の議席を持っているのは、決して短期的にはプラスにならないと考えており、与党の議席を奪還に向けて、与野党が競り合う政治的緊張感がない限り、その地域はジリ貧になってしまうと思います。その危機感があったからこそ、国政に出ようと4年前に決断しました。
しかし、自民党でも民主党でも、与党でも野党でも同じだと考えている人が多いと感じました。
――胆振・日高地域の現状を、どう感じていますか
岩倉
胆振も日高も、地域を支える基幹産業の全てが、非常に疲弊した状態にあり、景況は悪い。そして先行きの見通し感がない。各業種とも、閉塞感が非常に強いので、少しでも明るい展望が持てる施策を短期的に、また中長期的に発信していくことが必要です。
――どのような政策が考えられますか
岩倉
短期的には、公共事業が課題です。公共事業の善悪は別として、地域経済を支えていく上で、胆振・日高の建設業界と建設業周辺の産業は、非常に大きな経済構造をもって地域を支えているのが実態です。しかし、この10年間は、胆振・日高地区の国による開発事業費はかなり減少しており、長期的な不況下にあります。短期的対策として、国費をより多く投入し、景気刺激を与えなければなりません。
日本の経済構造は、地域の基幹産業を元気づけることが、景気回復への道ですから、地域を支える基幹産業をいかにして元気づけるかが大切なポイントだと思います。
また、軽種馬産業にまつわる法制も、全く未整備の状態です。それを整備することにより、基幹産業の基盤強化に繋げていく取り組みも必要です。
――その公共事業の経済性については、様々な論議があります
岩倉
社会資本整備とは、国策として必要不可欠のテーマです。公共事業不要論が非常に多いですが、道路にしても、インフラ自体を採算性だけで捉えて良いのか疑問です。私は、利益追求型の採算だけを軸にしたインフラ整備の見方は間違いだと思います。
中には無駄な公共事業も確かにありますから、これは改善していかねばなりませんが、道路、河川、ダムなど、その地域の現状と未来を考えた場合に必要なものは、やはり整備していかなければいけません。
特に北海道は歴史が浅いので、未整備地がたくさんあります。その特性を踏まえて議論していくべきだと思います。
――党の第9選挙区支部長としての活動内容は
岩倉
胆振・日高地区は、非常に幅広い経済構造が集約されています。農業にしても、米作、酪農畜産、野菜、果物、軽種馬産業と、多岐にわたっています。そのため、一つだけを取り上げて、地域経済の活性化を語れない難しい面もありますが、きめ細かく地域特性を踏まえて、国と道と地元がしっかりと連携できるよう、効率的かつ効果的な活性化戦略を図っていきたいですね。

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