建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年6月号〉

interview

古いビルでも行き届いた清掃、対応のしっかりした従業員なら…

財務分析に基づいたコンサルティング機能の強化へ

中道リース社長 関 寛 氏

関 寛 せき・ひろし
 昭和 45年 4月 帯広市都市開発部計画課入所
 昭和 50年 7月 帯広市都市開発部計画課土地利用計画主査
 昭和 52年 4月 帯広市市民公室企画課企画主査
 昭和 55年 4月 帯広市都市建設部再開発係長
 昭和 56年 4月 帯広市都市建設部計画第2係長
 昭和 60年 4月 帯広市市民公室企画調整副主幹
 昭和 61年 7月 帯広市市民公室秘書課長
 平成 2年 4月 帯広市退職
 平成 2年 4月 中道リース株式会社常務取締役社長室室長
 平成 3年 4月 同上専務取締役社長室室長
 平成 4年 4月 同上代表取締役副社長
 平成 6年 4月 中道機械株式会社取締役(現任)
 平成 6年 4月 中道リース株式会社代表取締役社長(現任)
中道リースは、中道機械の製品リース事業のほか、医療、運送分野でのリース事業によって不動の基盤を築いてきた。バブル崩壊後、失われた北海道経済の10年を、リース事業を通して見続けてきた関寛社長に、近年の企業社会や業界の動向や、中道リースの今後について伺った。
――バブルが崩壊後の不況も10年に及んでいますが、どう対応してきましたか
中道リースは、もとは中道機械を母体にした会社ですが、建設、運送、医療分野に強く、おおむねこの3分野が営業の中心となっており、大きな変遷はありませんでした。
――リース事業の理念は、企業の設備投資負担を軽減することにあると言われますね
企業の設備投資資金は、銀行融資で担保かけ目がありますので、リース会社が残りを評価して受け持つことになります。企業のメインバンクの機能を果たすことが、我々の使命では決してなく、あくまで企業の設備投資を補佐するという役割です。
――リース契約を結ぶ際の審査は、どこにポイントを置いていますか
チェック項目は、財務項目に限らず経営者の資質や能力から始まり、従業員の状態なども調べます。長い取引関係のある会社は、改めて調査の必要が無いほど情報もあるため、特に調べないこともありました。この1,2年は老舗であっても最初から調査するつもりで、分析するようにしています。
ポイントは一概には言えませんが、締めるところは締めるなど、メリハリがはっきりした会社はあまり心配はなく、また律儀な会社も問題は無いですね。例えば、事情により、支払いが滞る場合に、迅速に状況説明をしてくれるかどうかです。中には連絡のない会社もありますから。
また、事務所内が雑然としているようなだらしない会社、新社屋を建設して、外向きだけが立派に見える会社などは要注意です。生産性のない社屋に経費をかけ過ぎるのは危険です。逆にどんなに古い建物でも、清掃が行き届き、従業員の対応がしっかりしている会社は、まず心配ないと言えます。
――バブル崩壊後は、企業の様相もかなり変化したのでは
その企業が事業のどこにウエイトを置いているかがポイントです。今までは、とかく関連会社をいくつも設立し、全業務をグループ内で行う企業が多かったのですが、今日では、得意分野に専念する企業が多くなりました。こうした堅実な会社は、安心感があります。
一方、地域経済が悪いからと言って、所在する企業の業績までが悪いとは限らず、また構造不況と判断される業界内でも、健全な企業もあります。
建設業界では、官製談合問題以降、同じ規模の会社でも、この1,2年間でだいぶ差がついております。経営にまじめに取り組み、覚悟を決めて合理化を進め、積極的に営業する会社と、相も変わらず役所廻りをして名刺を配り、仕事を待っている会社とでは大差が生じます。
――様々な業界で、構造改革の必要性が主張されていますが、リース業界では
今後、この業界がどう変わるべきか、どの方向に行くべきかは全く展望できない状況です。リース事業が日本に導入されて30年になりますが、リース業界は、経済の黒子という役割を果たしてきました。その中で、先駆的存在である日本リースが失敗して、現在はオリックスの一人勝ちという状況です。ところが、そのオリックスも、かつてのオリエントリースから転身した際に、リース事業から飛躍して総合金融業となり、広い分野に参入しています。「リース事業協会」の会長は、このオリックスが勤めていますが、業界トップにいながら、リース事業の収入全体に占める割合は低いのです。会長職にある会社にしてこうですから、リース業界の将来像は五里霧中ですね。
銀行などのように銀行法や信用金庫法で守られている業界ではなく、その間隙をぬって伸びてきた業界ですから、今後も様々な金融政策の中で、リース分野のフィールドがどうなるかは全く読めません。
――規制緩和が業界の方向性に一石を投ずるのでは
会社を設立した時の役割はそれぞれで、例えば銀行系は、どちらかと言えば営業貸付金が多いようです。製造メーカー系のリース会社は、自社の製品を売るための補佐的なもので、販売営業の延長線上にあります。その中には、自社製品以外は一切扱わないという、本来のスタート地点に戻った会社もあります。こうした住み分けが今後も進むでしょう。
反面、我々の会社はスタート時扱い商品の100%が、中道機械の商品でしたが、現在、中道機械の商品の取り扱い比率は、全体の約5%で、ほとんどは他社製品を扱っています。ですから、中道機械と中道リースは全く別の道を歩んでおります。
したがって、建設や医療分野などに関するノウハウが蓄積されていますから、生かしていきたいと考えています。また、現時点では模索中ですが、店舗開発のからむ分野もありますから、これを活かしていこうと考えています。
さらに、リースにあたって過大投資かどうか、会社の規模に合った適正投資かどうかを経営者にアドバイスできるような機能、ただ単純にコンサルティングするのではなく、財務分析を基礎にした適正な助言を行う機能を拡充して行きたいですね。

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