建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2000年12月号〉

スペシャルと〜く

新千歳空港を核に“北の交流都市”づくりを目指す

光学技術の拠点を形成し、新しい人材を育成

北海道千歳市長 東川 孝 氏

東川 孝 ひがしかわ・たかし 
生年月日  昭和9年5月8日(65歳)
出身地  北海道千歳市
最終学歴  北海道千歳高等学校(昭和29年3月卒)
昭和 30年 4月 1日 千歳町採用税務課町民税係
33年 7月 1日 千歳市税務課資産税係
34年 7月 15日 総務課庶務係
35年 4月 4日 総務課企画係
40年 4月 1日 企画調整課企画係長
41年 4月 1日 商工観光課経済振興係長
42年 6月 1日 事業部商工観光課商工労働係長
43年 4月 1日 総務部企画財政課企画係長
48年 4月 1日 環境部環境課長
50年 6月 1日 経済部商工観光課長
54年 5月 1日 経済部長
58年 5月 25日 開発調整部長
62年 6月 1日 企画部長
62年 12月 6日 千歳市収入役選任
平成 3年 1月 16日 千歳市収入役辞任
3年 4月 27日 千歳市
新千歳空港を擁する北海道の玄関口・千歳市。昨年は道内で最も古い和地名である「千歳」が誕生して195年、戸長役場が開庁してから120年の記念すべき年を迎えた。
千歳川や美々川などの清流、国立公園・支笏湖という観光資源を有する千歳市は、住みやすさでは全道一ともいわれ、活力ある都市として全国的にも高い評価を受けている。
21世紀に向けてますます発展する千歳市のまちづくりについて、東川孝市長に伺った。
――千歳市はどんなまちづくりを目指していますか
東川
わがまち・千歳市は、国立公園支笏湖をはじめとする豊かな自然環境に恵まれ、空路と鉄道・高速自動車道が緊密に連絡する交通拠点都市です。
これらをベースに千歳市が目指すまちづくりは、“北の交流都市”づくりです。特に、国際航空定期便が就航する新千歳空港を核とし、世界に向け飛躍するまちをつくっていきたいですね。
――新千歳空港については、具体的にはどのような施策を行っていきますか
東川
新千歳空港については、利便性向上のため道路・駐車場、無線・照明施設などの整備を行っています。また、航空法の一部改正で航空の自由化が一層促進されています。北の国際拠点空港を目指す市としても、国際旅客や貨物需要の拡大に努めていきたいと考えています。北海道経済の発展に大きな役割を担う滑走路の延長や、新たな路線の開設についても、関係機関と連携を図りながら、その実現に努めていきます。
――“北の交流都市”の実現に向けてはどんなまちづくり事業を行っていますか
東川
まず、重点課題となる市立総合病院の新築移転です。市民の健康を育み、市民に愛され、保健・医療・福祉の一体的サービスを提供しうる中心施設として、平成14年9月の開院に向けて工事に着手しました。
また、中心市街地の活性化を目指して策定した中心市街地活性化基本計画に基づき、関係者らとともに事業の具体化に努めていきたいと考えています。
その他は、子供の健全育成事業として、祝梅コミュニティ地区に学童クラブを併設した「児童センター」の建設を進めていきます。
また、容器包装リサイクル法に基づく分別収集計画に対応するため、平成13年度の供用開始を目指したリサイクルセンターの建設を進めるほか、ダイオキシンの排出規制に基づいた焼却施設の改造を行います。
――新病院は街の中心地(現病院は市役所の隣に位置)から離れますが、市民の足を確保するためには公共交通システムの充実も必要になりますね
東川
そうです。病院の新築移転に対応した新たなバス路線網などの市民ニーズを視野に入れながら、千歳駅周辺の交通ターミナル機能の整備とともに、循環バスなどの市内バス路線網の確立や交通結節点機能の強化を図りたいと考えています。そこで今年度は、「千歳市公共交通システム整備基本計画」を策定し、市民生活や交流活動を支える公共交通体系の整備を進めていきます。
――最近はIT革命の波が押し寄せてきていますが、地域における情報化の施策については
東川
高度情報通信社会が進展するなか、安全で豊かな活力ある地域づくりを一層推進するため、「地域情報化計画」を策定し、情報通信システムの整備やネツトワークの構築を目指していきます。
また、今年度は、特に来年度からスタートする新長期総合計画をはじめとして、各種計画策定を進めていますが、これらを21世紀のまちづくりの確かな礎となる計画としたいですね。
――ところで、この2000年は地方分権“元年”です。4月には地方分権一括法が施行され、これからはますます自治体の力量が問われる時代になってきましたが
東川
分権時代の到来で、個々の自治体の自主性・自立性が一層重視されるようになり、国と自治体との対等・協力の新しい関係を構築していかなければならないものと考えていますが、分権一括法の施行に伴って、地方の裁量、権限が大幅に変化する内容とはなっていないとの批判もあります。
一方、これまでの機関委任事務制度が廃止され、法定受託事務となったものであっても、自治体の事務として、議会の関与と条例制定が可能になったことは、自治体としては大きな意味をもつと考えています。
しかし、自治体の条例が「法令に違反しない限りにおいて」定めることができるものであることは、旧来と変わりません。
――確かに市長の仰る通りで、今回の地方分権改革はある識者の言葉を借りれば「未完」で、まだ始まったばかりと言えます
東川
今回の地方自治制度の改正は、戦後最大の改正と言われていますが、明治維新以来の中央集権型システムによって地域的な多様性が軽視され、個性ある生活文化を衰退させたとも言われています。地方分権は、地域ごとに異なる自然環境、人口構成、歴史風土などの地域の実情を尊重し、地域住民の意思に基づく基準、あるいは仕組みを作るために重要ですが、その個々、具体の政策については、緒についたばかりであるといえます。
今後、千歳市でも様々な政策を独自に展開していくことになるものと思いますが、当市の実情に応じた対応をしていきたいと考えています。
――分権時代のまちづくりを担うには新しい人材も必要です。2年前には千歳科学技術大学も開学しましたね
東川
平成10年4月に開学した千歳科学技術大学は、光科学技術を専門とした新しい大学です。この大学を核に、産学官共同による光テクノロジーなどの学術研究拠点の形成や、21世紀の産業の育成に向けた“ホトニクスバレープロジェクト”が現在進行中です。新大学で人材を育成し、北海道の発展に是非とも貢献していきたいですし、また21世紀を創造する産業を千歳から世界へ創出してくれるよう期待しているところです。

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