寄稿
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函館土木現業所は、日本海に面する檜山支庁管内と噴火湾を望む渡島支庁管内を所管しています。
北海道の中では、比較的寒暖の差が少なく、温暖な気候ですが反面、南北に細長く、中央部を山脈が縦断して、渡島平野などの一部を除き山地が海岸まで迫っているなど、自然災害に弱い脆弱な地勢でもあります。
函館を中心とする当渡島半島地域は、地勢的にも歴史的にも本州との結節点として経済・文化面で重要な役割を果たしてきました。北海道新幹線が着工した今、さらに重要な役割が期待されてくると思われます。
当管内では、昨年12月1日に、函館市、戸井町、恵山町、椴法華村、南茅部町の1市3町1村が「函館市」として平成の大合併第1号となっており、今年の4月1日には、森町と砂原町が「森町」になるなど、道内では市町村合併の先進地域となっています。
また、10年後には北海道新幹線の新函館駅の開業が予定され、今後、新幹線の活用を目指した様々な取組が期待されています。
当所の平成17年度補助事業の当初予算は、昨年策定した「北海道社会資本整備重点化プラン」を軸に、道南圏の地域性を考慮してaランクに押し上げた「交通ネットワークの整備」「洪水や土砂災害対策」「水産物供給基地整備」などの施策へ一層重点化を図り、道路、漁港、河川、砂防急傾斜などの事業について、地域と連携を図りながら整備を進めていく考えです。
▲新川汲トンネル | ▲太櫓川広域基幹改修 |
事業費ベースでは、財政立て直しプランの初年度でもあり、当初ベースで対前年比8.5%減の337億9千9百万円となっていますが、道州制モデル事業と単独事業を合わせた総事業費としては、377億4千1百万円を確保し、対前年比3.5%減となっており、厳しい財政状況の中、昨年度からの目減り分を最小限に止めることができたものと考えております。
完成を迎えた主要事業としては、渡島支庁管内では道南四季の杜公園の完成による全面オープン、檜山支庁管内では北檜山大成線帆越山トンネルの完成が上げられます。
個別の事業種別では、当所の中核的な事業となっている道路、漁港、河川、砂防・急傾斜についてみると、道路事業は対前年比101%となっており、主な事業としては、新川汲トンネルの建設促進、江差木古内線の整備促進、歴史的な街並み整備を伴う松前港線などを進める予定です。
漁港事業については、静浦漁港の高潮対策や釜谷漁港、吉岡漁港の高度利用促進対策などの新規事業が立ち上がりますが、平成16年度に3事業が完了を迎え対前年比88.2%となっています。
河川事業については厚沢部川広域基幹改修や太櫓川広域基幹改修などの継続事業が主体となっており、対前年比93.7%となっています。ダム事業については、矢別ダムで電気施設整備が行われる予定で、対前年比79.3%となっています。
砂防・急傾斜事業では、対前年比73.9%で急傾斜地崩壊対策では大成花歌地区が新規事業となっています。
また、街路事業では、前年対比68.1%となっており、3・4・7本町大通外1などの事業を進めます。
下水道事業では対前年比253.5%となっていますが函館流域下水道事業の事業団委託が大きな割合を占めています。
公園事業では、道庁初のpfi事業となっている道立噴火湾パノラマパークの工事が本格化し対前年比117.2%となっています。
空港事業については、奥尻空港整備が今年度で完成する予定となっており対前年比35.4%となっています。
建設海岸事業については、函館海岸や本町海岸などの継続事業が行われる予定です。
昨年は、洞爺丸台風を超える勢いの台風18号の襲来により奥尻島が一時孤立化するなどの災害が発生しています。当所といたしましては、今後とも、安全・安心な道路整備や生命・財産を守るための河川・砂防事業や基幹産業である漁業生産の高度化・安定化を図るための漁港整備を図るとともに、平成27年度中の完成を目指す北海道新幹線や高規格道路の整備と相まって高速交通ネットワーク網の整備効果を最大限に発揮するため、必要な社会資本整備については、「選択と集中」の観点から厳しい財政状況を踏まえた上で、地域の要望を的確に捉えた事業計画及び執行に努め、道南圏の経済・文化などの発展に寄与する社会資本整備を行っていく考えです。