建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年10月号〉

寄稿

流通・交流拠点としての港づくり

国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部 室蘭港湾建設事務所長 渡辺 正昭 氏

はじめに

室蘭港湾建設事務所では、北海道南西部の内浦湾に面した特定重要港湾室蘭港、室蘭港と苫小牧港のほぼ中間部で太平洋に望む地方港湾白老港、および室蘭港背後の太平洋岸に位置し、室蘭市を含む3市4町2村への水産物供給基地として整備が進められている第3種漁港である追直漁港の整備を実施しています。

特定重要港湾・室蘭港
室蘭港の発展は民間企業に負うところが大きく、明治40年に石炭産業に依存する産業として、輪西製鐵所(現・新日本製鐵(株)室蘭製鐵所)、ついで日本製鋼所の二大工場が操業を開始し、道内唯一の工業港として発展を続けてきました。
その後、昭和40年には東北以北最初の特定重要港湾に昇格、北海道を代表する臨海工業港、流通港として発展を続け、北海道道央圏の流通拠点港並びに地域開発拠点港として重要な役割を果たしているところであります。
崎守地区では、時代の要請に対応した流通拠点港湾を目指して整備が行われた、水深14mを有する多目的国際ターミナルでは、室蘭港と韓国・釜山港を結ぶ定期コンテナ貨物航路が週2便就航しており、一層の輸送ネットワークの拡大が期待されています。
また、入江地区では、大型旅客船バース(水深9m)が平成12年度完成し、過去最大の客船「リーガルプリンセス号」(69,845t)が寄港するなど、市街地と一体となった交流拠点ゾーンが形成されることも期待されます。
平成13年度に実施する整備は、築地地区では、船溜まりの静穏度を向上させるため防波堤(船溜)(改良)を着工完了させるとともに、老朽化した岸壁機能回復と安全性向上のため、岸壁(-8m)(改良)に着手します。
また、入江地区では、内航貨物船の係留岸壁不足解消や小型船の機能的な係船のための岸壁(-5.5m)および物揚場(-4.0m)等の整備を完了させます。
さらに、絵鞘地区では、漁獲物を計画的に出荷するため、港湾施設用地(水中)を完了させます。
▲室蘭港 ▲白鳥大橋を通過するリーガルプリンセス号 ▲室蘭港絵鞆地区港湾施設用地(水中)完成イメージ

地方港湾・白老港
白老港は、昭和57年地方港湾として新規着工以来整備が着々と進み、平成2年に漁港区の一部が供用開始、平成7年には水深5.5m岸壁2パースを有する第1商港区が供用されました。
以降、砂や砂利をはじめとした地元鉱産品の移出入が活発に行われ、取扱貨物量も年々増加し、平成12年の貨物量は90万tを超える実績を挙げており、北海道の地方港湾24港中2番目の実績となっております。
この様な白老港の地域産業における物流需要の増大に対応するため、水深7.5m岸壁1バースと水深5.5m岸壁3バースを有する第2商港区の整備が平成7年度に着手、平成12年度に完成しました。
第2商港区は平成13年4月に供用されており、これまでの地元鉱産品等の原材料はもとより、背後立地企業の製品等の取り扱いも可能となり、地元白老町はもちろんのこと周辺地域の産業の発展に大きく貢献していくものと期待されています。
平成13年度の整備は、第2商港区の機能向上のための臨港道路の整備及び港内静穏度を向上させるため、防波堤(島)の整備を進めます。
▲白老港
第3種漁港・追直漁港
追直漁港は、昭和30年代の沖合漁業の漁獲量の増大によって支えられ、昭和37年に第3種漁港に昇格し、翌年昭和38年から国の直轄事業として進められており、室蘭市の中心市街地に隣接した典型的な都市立地型漁港地域であります。
追直漁港では、沖合底引き船、スケソウ・カレイ刺し網、コンブ採藻・ウニ採取、ホタテ養殖を主体とする沖合・沿岸漁業が営まれており、沖合底引き網漁船集結基地として、隣接周辺中核漁港基地として、さらにはイカ釣り等の外来船の中継基地としての役割を担っています。
現在、追直漁港では「つくり育てる漁港」「ふれあい漁港」を目視した『mランド計画』の核となる沖合人工島(増養殖支援基地)の整備等を行っています。
人工島が完成すると背後の静穏な海域が利用でき、ホタテ、ウニ、クロソイなどの漁業生産の増大や水産物の安定供給が図られます。
また、ふれあい漁港地区が完成すると、公園や魚介類の直販施設等が整い、市民や観光客のニーズにも対応することができます。
平成13年度の整備は、島防波堤の整備完了、沖合人工島を形成する防波護岸及び-3.0m岸壁(養殖)の整備をし、人工島の外郭施設を完了させる予定となっています。
▲追直漁港

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