建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年8月号〉

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九州の玄関口に新海上空港

事業間の連携により、建設費を大幅にコストダウン

国土交通省九州地方整備局 新北九州空港

▲完成イメージ図
九州東部に大きな経済効果の期待
アジア諸国に近く、九州の玄関口に位置する北九州市は、交通の要衝として、また国内基幹産業の拠点として発展してきた産業貿易都市だ。国際物流と国内物流の結節点としての歴史を持つ同市は、対アジア貿易の窓口だけでなく、北九州200万人都市圏の中核としても機能している。
この北九州市の東部、周防灘沖3キロの海上に、2,500mの滑走路を持ち、大型ジェット機の就航も可能な新北九州空港の整備が進められている。
新空港が開港すれば、北九州都市圏の人々の航空交通の利便性のみならず、九州東軸の経済にも大きな波及効果をもたらすものと期待されている。
周防灘沖「は〜とぽ〜と21」に人口島を建設
新空港は、北九州市都心より15q、陸域より3qの海上「は〜とぽ〜と21」に、長さ4,125m、幅900m、総面積373haの人工島を造成。その上に建設される海上空港だ。そのため、同空港は、これまでに空港建設に伴って懸念されるあらゆる課題をクリアできるものとなる。
例えば、建設費のコストダウンは同空港の最大の課題だが、建設は、関門航路等の港湾整備によって発生する浚渫土砂の処分場を活用。港湾整備事業と空港整備事業の合併事業として効率的に進められるため、建設費を大幅に削減することができる。
また、海上空港であるため、陸側の住宅地における航空機騒音の影響は少なく、条件が整えば将来的には24時間供用も可能。年間を通じて風が安定しているなど、地形・気象の面でも恵まれた立地条件にある。
空港が開設されれば、東京、近畿圏をはじめ、名古屋、宮崎、鹿児島、那覇などへの路線の就航が想定されており、主要都市とのスピーディーなアクセスが実現し、北九州からの日帰り圏が大幅に拡大されることになる。
「ドレーン工法」による地盤改良
埋め立て地は超軟弱地盤となっており、地盤改良として「ドレーン工法」を採用している。これは、水が通りやすくするために帯状に溝が掘られたプラスチックの板(ドレーン材)を、地盤に垂直に何本も打ち込み、土中の水を垂直方向に排出することにより早く水を抜く方法。その後、良質な山土(盛土)を載せ、その重さによってさらに早く地盤改良を進めることができる。
工事の現況
同空港の建設は、昭和56年12月、第4次空港整備計画に2,500m級の新規事業として採択(以後、第5次、第6次で引き継ぎ採択される)され、平成6年10月に本格着工。 現在は、空港用地部分にかかる浚渫土砂の埋立も完了し、地盤改良工事及び盛土工事が進められている。また、新空港へのアクセスについては、平成9年4月に空港連絡橋工事が着工(28〜29ページ参照)し、平成13年10月には高速交通ネットワークの一環として整備される東九州自動車道「小倉〜苅田」間が着工されており、開港に向けて鋭意整備が進められている。
新北九州空港計画概要
設置管理者 国土交通大臣
種別 第二種空港
所在地 福岡県北九州市地先水面
標点位置 北緯33度50分44秒
東経131度2分6秒
管理面積 約160ha
滑走路 (L)2,500m×(W)60m

新北九州空港の利活用への期待

国土交通省航空局長 深谷 憲一
航空輸送は、国民の皆様の時間価値の高まりに対応し、高速交通体系を構築していく上で、極めて重要な役割を果たしてきました。今まで、北九州空港も、その一端を担ってきておりますが、現行の滑走路延長1,600mでは中・大型ジェット機が就航できないという課題を抱えていることから、2,500mの滑走路を有する新北九州空港の整備を進めているところです。
本事業は、現在まで、浚渫土砂を活用して用地を造成する事業間の連携、空港本体と連絡橋の整備に関する国と地方の連携等、多種多様な主体との連携により進めております。
国におきましては、新北九州空港の利便性向上にも資するよう、地方と首都圏を結ぶ航空ネットワークの充実を図るべく羽田空港の容量増加を最重点課題として取り組んでいくこととしており、地元におかれても、空港の利活用方策、たとえば、アクセス利便性の向上や地域間交流の促進等について、一層の取り組みを期待するところです。
この場をお借りいたしまして、お願い申し上げます。

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