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東京都と大田区、京浜急行電鉄(株)は、都市高速鉄道・京浜急行本線の平和島駅〜六郷土手駅間及び同空港線の京急蒲田駅〜大鳥居駅間の連続立体交差事業を進めている。
大田区内を走る京浜急行線は、地域住民にとって欠かすことのできない路線である。しかし区間の大部分には環状第8号線や国道15号を含む28箇所の踏切が存在し、これらの踏切が交通混雑の原因となっていたほか、鉄道で地域が分断され、まちづくりを進める上でも大きな障害となっていた。またこの地域は密集した市街地で狭隘な区間が多く、緊急車両の通行や災害時避難路の確保など防災体制に不安を抱えており、さらには駅前広場や駐輪施設の不足のため、潤い・ゆとり空間が不足しているほか、鉄道からバス、タクシー、自転車への乗り継ぎが不便であるなど問題が山積していた。
これらを解消するため、東京都と大田区、京浜急行電鉄鰍フ三者は、都市高速鉄道・京浜急行本線の平和島駅から六郷土手駅までの延長5.4km(事業区間約4.7km)及び同空港線の京急蒲田駅から大鳥居駅までの延長約2.1km(事業区間約1.3km)の区間を、連続的に立体交差する事業に着手した。事業が完了すると、区間内の28箇所の踏切が撤去され、交通の円滑化が図られる。
都市計画事業認可は平成12年12月、平成14年3月に取得。平成14年5月25日に起工式が行われ、現在は用地取得の手続きを進めながら工事に着手している。
立体化予定区間は、京浜急行本線の平和島駅〜六郷土手駅(約4.7km)と、同空港線の京急蒲田駅〜大鳥居駅の約1.3kmの合計6.0km。この区間を高架にし、大森町、梅屋敷、京急蒲田、雑色、糀谷駅の5駅を高架駅とする。
本線と空港線が品川方面で平面交差をしている京急蒲田駅では、横浜〜空港線間を運行出来ない線路設備となっているほか、品川〜空港線間の直通運転は1時間あたり6本と限られており、駅を2層化して平面交差を取り払い、羽田空港へのアクセスの向上を図ることにしている。駅の構造形式は、鋼ラーメン構造で計画し、中層階に駅本屋とコンコースを設置する予定だ。
平成16年に完成する羽田空港新東ターミナルにより、交通需要の増大が予測されている環状第8号線では、京浜急行本線と環状第8号線の交差部(京急蒲田第5踏切)の早期立体交差化を図るため、仮線段階からの立体化を実施している。施工にあたっては、用地買収で確保した関連側道用地に仮設高架橋を設置。その後本来地上に敷設する仮線を仮設高架橋上に敷設し、平成17年度の早期立体化を行う。本設高架橋設置後は、仮設高架橋を撤去して関連側道を整備して事業を完了する。この事業に伴い京急電鉄鰍ナは羽田空港へのアクセス向上のため横浜方面〜羽田空港間の直通運転を開始している。
さらに大田区では、『おおたプラン2015』(大田区長期基本計画)の中で「未来をひらく都市づくり〜核と軸でつくる都市構造」(重点計画)に位置づけている計画目標の実現に向けて、沿線の各駅の高架化に伴った新たなまちづくりを進めている。ゆとりある歩行者空間を持つ駅前広場は、京急蒲田駅東口、西口、雑色駅、糀谷駅の3駅4箇所を整備。駅前広場へアクセスする道路や鉄道に沿った関連側道、駐輪施設なども併せて整備している。また、駅構内にはエスカレーターやエレベーターを設置して、バリアフリー化が進められ、魅力的なまちづくりがさらに進むことになる。
▲京急蒲田駅西口駅前広場のイメージ | ▲京急蒲田駅東口駅前広場のイメージ | ▲雑色駅駅前広場のイメージ | ▲糀谷駅駅前広場のイメージ | |||
▲大森駅前のイメージ | ▲梅屋敷駅前のイメージ |
<建設の経緯> 都市高速鉄道京浜急行電鉄本線
都市高速鉄道京浜急行電鉄空港線
都市高速鉄道付属街路(関連側道) 幅員:6m(一部13m)、路線数7本(本線5本、空港線2本) |