建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2005年7月号〉

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山陰地域の高速道ネットワークを構築―「街」「暮らし」を新しくする益田道路

山陰諸都市の連携を強化し、地域振興プロジェクトを支援

国土交通省 浜田河川国道事務所 益田道路

国土交通省浜田河川国道事務所は、一般国道9号・益田道路の整備を進めている。
国道9号は山陰諸都市を結ぶ唯一の主要幹線道路であるが、島根県西部の益田市内では、家屋が連なる住宅地域、稠密な商工業地域であるにも関わらず、道路の幅員は狭く、直角カーブもあり、スムーズな交通の妨げとなっている。さらに市内中心部では一般国道191号と交差するため、交通混雑が著しく、都市機能に支障をきたしている。
益田道路はこれらの交通事情を解消するとともに、山陰自動車道の一部として高速交通ネットワークを形成するもので、平成8年から事業化されているものだ。

豊かな自然と歴史・文化のまち・益田市

島根県西部に位置する益田市は、古くから海と山と川の自然に恵まれた山陰と山陽を結ぶ交通の要衝地として発展してきた。北は日本海に面した白砂青松の美しい海岸線を有し、南側は丘陵地の間を一級河川・高津川、益田川が流れるという、県西部では珍しい平野部を形成している。
産業文化都市施設としては、島根三大公園のひとつ「万葉公園」のほか、今年10月には島根県芸術文化センター「グラントワ」がオープンする。加えて万葉集の歌聖・柿本人麿、山水画の巨匠・雪舟のゆかりの地でもあり、歴史・文化のまちとして有名だ。
同市は益田道路が事業化されたことで、萩・石見空港と併せて、島根県西部地域の陸路・空路の玄関口としての役割を担うとともに、環日本海構想の拠点都市のひとつとして大きな期待を担っている。

▲飯田高架橋終点側橋詰めより起点側 （万葉トンネル方向）の状況

路線概要

益田道路は、益田市遠田町〜益田市須子町間・延長約7.8km、幅23.5ｍの自動車専用道路で、設計速度は時速100kmの4車線、道路規格は第1種2級である。
路線は起点である遠田IC（仮称）で9号と分岐し、南西方向に向かう。約800Ｍを経て久城IC（仮称）に至り、すぐに久城第1高架橋（L=45Ｍ）を通過。その後久城第2高架橋（L=329Ｍ）でJR山陰本線と交差し、益田川を益田川橋（L=100Ｍ）で渡る。中島高架橋（L=388Ｍ）で陸上部を通過し高津川橋（L=393Ｍ）で高津川を渡る。川を渡るとすぐに高津第1高架橋（L=254Ｍ）で国道191号との交差し、高津IC（仮称）と接続する。その後は高津第2高架橋（L=360Ｍ）、高津第3高架橋（L=20Ｍ）を通過し、区間では唯一となるトンネル・万葉トンネル（L=502Ｍ）を通り、飯田IC（仮称）に至る。
飯田IC（仮称では）萩・石見空港に向かう石見空港道路と連絡する。同icからは、高津川派川橋（L=212Ｍ）、飯田高架橋（L=143Ｍ）、やばら堤橋（L=128Ｍ）が連続。終点となる須子IC（仮称）を経由して角井大橋（L=232Ｍ）を過ぎ、9号と接続する。
工事は今年6月現在で、国道191号の交差部から終点の須子町までの区間で、改良工事・橋梁工事を鋭意進めているところだ。

▲一般国道9号中吉田交差点の渋滞状況

整備効果

現在、遠田地区から角井地区までの通過時間は約20分。市内中心部で国道191号と交差する中吉田交差点、県道益田阿武線と交差する須子交差点では、朝夕の混雑時では1.5km以上にもおよぶ渋滞が発生し、交通の障害となっている。
益田道路が完成すると、通過時間が約5分に短縮され、スムーズで円滑な交通が実現する。市内交通の分散が図られることはもとより、現在進行中の益田左岸土地区画整理事業や益田駅前地区再開発事業などの地域振興プロジェクト推進に貢献し、地域産業の立地基盤の改善、観光資源の開発などのほか、安住を促進し、地域の発展活性化に寄与する。
さらに平成5年に開港した、島根県西部地域の空の玄関口「萩・石見空港」の空港利用促進を図る上でも重要な社会基盤となる。
この道路の建設にあたっては、市民・有権者からなる「景観検討委員会」で、自然に溶け込んだ外観の橋梁や道路構造物を検討するとともに、植生等の環境対策に取り組んでいる。また豊かな自然に配慮するとともに歴史・文化を活かしたみちづくりを推進している。

▲角井大橋終点側より橋を望む		▲万葉公園（万葉トンネル直上）より 起点側（遠田側）の状況		▲角井大橋架設中の現場見学会の様子