特集・首都圏鉄道整備最前線
【JR中央線連続立体交差事業】▲中央線東区間武蔵小金井駅付近 |
JR中央線は東京都心から名古屋都市圏を結び、東京や名古屋周辺の通勤路線であるとともに東西の都市間輸送を担う大動脈として機能してきた。しかし近年の都市発展やモータリゼーションの進展により自動車交通量が増加し、鉄道の運行回数は過密化している。このため、朝夕の通勤時間帯にはほとんど遮断された状態のいわゆる「開かずの踏切」が増加し、慢性的な交通渋滞を招いている。さらに、踏切事故の危険性も高まっていた。
そこで、東京都とJR東日本は連続立体交差事業に着手。事業区間は、JR中央線三鷹駅〜立川駅間(事業延長約13.1km)、西武鉄道多摩川線武蔵境駅付近(事業延長0.8km)で、18箇所の踏切を解消する。事業期間は平成7年度から22年度(西武多摩川線は14年度から20年度)、東京都が事業主体となり、東日本旅客鉄道梶A西武鉄道梶A沿線の6都市(三鷹市・武蔵野市・小金井市・国分寺市・国立市・立川市)と共同で行っている。これによって交通渋滞が解消されるほか、踏切事故がなくなり、道路と鉄道それぞれの安全性が向上する。また鉄道によって隔てられていた街が一体化し、新たに高架下空間が生み出されるなど、地域活性化への強いインパクトが期待される。そのほか、各駅にエレベーターエスカレーターが設置されることで誰もが使いやすい駅舎となる。
三鷹駅〜国分寺駅間は16年11月7月に仮線切換工事が終了。施工手順は1日約700本の列車が運行しているため、在来線北側に用地を確保し、一旦仮の線路(仮線)に列車を切り換え、旧在来線用地に高架橋を建設し、高架橋の完成後は順次鉄道を高架線上に切り換える。線路が高架に切り換わったあとは仮線や仮駅、踏切の撤去および側道整備工事を実施し事業完了となる。切換工事については線路内で工事を行うため作業は列車の走らない夜間に行われた。作業時間は終発電車から始発電車までの3時間弱しかないため、切換工事の際は早朝・深夜の列車を数十本運休して工事を実施。なお、中央線三鷹〜国分寺間の仮下り線切換工事では作業量が多いため、区間を分割し仮下り線の切換工事を2回実施した。
現在、三鷹駅〜国分寺駅間では、在来線用地に高架橋を建設している。また、西国分寺駅〜立川駅間の線路も、18年度に全て仮線に切り換える方針だ。
▲中央線東区間東小金井・武蔵小金井間 | ▲中央線西区間国立駅付近 |