ZOOM UP
白老町で北海道開発局の樽前山火山対策防災拠点施設と、白老町の消防庁舎が合築で施工されている。国と市町村の庁舎改築事業が合同で一体的に行われる珍しいケースだ。
樽前山火山対策防災拠点施設は、噴火時の噴火活動に当たって迅速な初動対応が必要となり、また関係機関の観測・監視情報の連携や対策用資機材の備蓄、出動支援のための施設も必要であることから建設されている。
施設の機能としては、現地における対策本部機能、資機材備蓄機能、火山活動、土砂災害情報の収集、発信基地、啓発を目的とした広報教育機能を持つ施設となる。したがって、平常時は地域の防災力向上のため、火山監視情報の提供や防災活動の啓発を行う。
設置に当たっては噴火時の安全性、火山の監視(目視可能)、同局室蘭開発建設部、関係機関との連携、交通網、情報通信の確保などを考慮して、白老港地区を選定した。
一方、白老町の消防庁舎は、昭和41年3月に新築してから49年に増改築をしたが、職員数や消防車両の増加により、庁舎が狭隘化したため、現況では夜間に事務室の一部を仮眠室として使用したり、車庫も全車両を収容しきれずに数台の消防車両が屋外に駐車するなど、管理体制にも問題がある。
そこで建替を計画していたところに、道開発局が白老町字石山の白老港付近に樽前山火山対策防災拠点施設の建設を決定した。
この建設地は、白老町のほぼ中心に位置していることから、消防庁舎の建設にも適しており、国と町の防災活動の連携も図れ、共用部分を按分で整備することで経費が節減できるなどのメリットから、合築での建設要望した結果、合意が得られた。
こうした経緯から、道内でも例のない国と自治体の合築施工となった。
この施設の特色は、建設地が国道と約3.0mの高低差があることから、地階を緊急車以外の車両を収納する車庫として庁舎裏の町道に接続し、1階は消防車や救急車の車庫で国道に面する配置とした。
また、24時間拘束勤務職員のストレスを少しでも軽減するため、仮眠室は個室とし、小上がりなどの癒し空間も設けている。その他、非常時の機能確保、予備発電機、下水処理は、3日分を貯め込むことが可能となっている。その他、バリアフリーにも対応した構造となっている。
完成後は、樽前山火山対策防災拠点施設との合築のため、防災講習会や防災訓練など、共通したテーマの活動が相互の協力体制の下に実施できる。また、樽前山の火山情報がいち早く消防署にも伝達されることから、避難対策などの迅速な活動が可能となるなど、防災拠点としては理想的な体制が確立されることになる。
建物概要 | |
地下1F、地上2F | |
消 防 | 1,647u |
消防庁舎 | |
地下1F | 物品資材庫、車庫、機械室 |
1F | 消防車庫、救急車庫、救急物品庫、整備室、消防機材庫 |
2F | 執務室、通信司令室、仮眠室 |
防災拠点 | 1,080u |
庁舎側面空地 | 仮設駐車場 |
白老港からの支援物資輸送を想定した資機材置き場 | |
災害時活用を想定した広場とトイレ | |
地下1Fは、防災備蓄倉庫 | |
1F | (平時)展示ホール、(非常時)記者会見会場 |
2F | 情報管理室・監視システム室、会議室など |
屋外 | (平時)駐車場、(非常時)駐車場、工事用車両、資材ヤード |
スケジュール | |
・H18年 施設建設 ・H19年 監視機器設置 ・H20年春 供用開始予定 |