寄稿
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▲奥尻島線改良工事 |
函館土木現業所は、日本海に面する檜山支庁と噴火湾を望む渡島支庁を所管しています。 この地域は北海道の中では、比較的寒暖の差が少なく、温暖な気候であり、地形的には、南北に細長く、中央部を山脈が縦断して、渡島平野などの一部を除き山地が海岸まで迫っているのが特徴で、自然災害に弱い側面をもつ地勢でもあります。
函館を中心とする道南圏は、地勢的にも歴史的にも本州との結節点として経済・文化面で重要な役割を果たしてきました。現在建設中の北海道新幹線が完成した暁には、北海道の玄関口としてさらに重要な役割が期待されているところであります。 市町村合併については、道内では先駆的に取り組まれた地域であり、平成16年12月1日の函館市の誕生を皮切りに森町、せたな町、八雲町、北斗市が次々に誕生し、渡島・檜山管内の自治体数は27市町村から18市町となっております。 また、道内でも極めて古い歴史を有しており、他地域とは異なる気候風土や歴史・文化の蓄積を持った観光圏を形成しています。全国的も有名な函館や大沼、松前城を抱く松前、往年の家並みを再現した「いにしえ街道」が完成した江差などの観光地があり、昨年4月にオープンした新「五稜郭タワー」は多数の観光客が立ち寄る観光スポットとして、賑わいをみせています。
▲小浜海岸道単局部改良(道債) |
当土木現業所の平成19年度の当初予算は、平成17年度から始まった「道財政立て直しプラン」において集中対策の1年前倒しが行われるなど、道財政が年々厳しさを増している中、今年度が最終年度となる「北海道社会資本整備重点化プラン」を基本に「選択と集中」の観点から効果的かつ効率的に事業を進めてきたところです。とりわけ、道南圏の地域特性を勘案して、「交通ネットワークの整備」「洪水や土砂災害対策」「水産物供給基地整備」などの施策への重点化を図っており道路、漁港、河川、砂防・急傾斜・海岸、などの事業について、地域と連携を図りながら整備を進めていく考えです。 事業費については、知内代行下水道事業が完成し、公園事業の主な工事が完了した結果、当初ベース(道州制除く)で対前年比89.3%の252億3千4百万円となっております。 個別の事業種別では、当所の中核的な事業となっている道路、漁港、河川、砂防・地すべり・急傾斜についてみると、道路事業は対前年比95.5%の100億4千3百万円となっており、主な事業としては、函館南茅部線新川汲トンネルの完成を目指すとともに、安全で確実な交通確保を図るため、江差木古内線では早瀬トンネルに着手する他、北檜山大成線では兜野橋及び旭橋の建設を促進します。
街路事業では、前年対比100.5%の13億2千5百万円となっており、3・4・47文教通(函館市)に着手するとともに、3・4・306大野橋通(北斗市)などで事業を促進し、都市内交通の渋滞緩和を目指す3・4・103本通富岡線の整備を一層促進します。 河川事業については、厚沢部川広域基幹改修などの継続事業や常盤川総合流域防災事業に新規着手し、対前年比80.9%の29億6千万円となっています。ダム事業については、矢別ダムと新中野ダムで情報収集設備の改良が行われる予定です。 砂防・地すべり・急傾斜事業では、対前年比100.1%の30億8千9百万円で駒ヶ岳の火山砂防対策の充実を図るとともに、急傾斜地崩壊対策では江差円山3地区などが新規事業となっています。
▲八雲海岸災害復旧工事 |
建設海岸については、対前年比67.6%の6億円となっており、冬季風浪での越波による被害が多発しているため、松前海岸(松前町)や函館海岸の人工リーフなどの整備を進めます。 漁港事業については、鹿部漁港などの衛生管理型漁港の整備や大舟漁港・落部漁港の拡張計画など、34港の整備を促進するとともに、今年度中に太田漁港の完成を予定しており、対前年比80.0%の62億7千万円となっています。
また、下水道事業は、対前年比89.4%の5億3千3百万円となっており、八雲町(熊石総合支所)での代行下水道事業の建設を促進します。 公園事業では、道庁初のPFI方式で事業を行った道立噴火湾パノラマパークが、昨年6月に暫定供用開始となり主要工事が完了したことから、対前年比81.1%の8千6百万円となっています。 当所といたしましては、「選択と集中」の観点を踏まえつつ、昨年の高波による災害等を教訓として、安全・安心な道路整備や生命・財産を守るための河川・砂防事業や基幹産業である漁業生産の高度化・安定化を図るための漁港整備を図るとともに、2015年度中の開業を目指す北海道新幹線や高規格幹線道路の整備と連動し、高速交通ネットワーク網の整備効果を最大限に発揮するため必要な社会資本整備を促進していくことにより、道南圏の経済・文化などの発展に寄与していく考えです。
上川管内の発展に貢献します