寄稿
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札幌市中央円山地区の一角である北5条西23丁目界隈は、円山北町と呼ばれる住宅街で、分譲マンションが林立していますが、環境保全にも力を入れている地域です。「クラッセ円山」は、地下鉄「西28丁目駅」から徒歩8分という交通利便性が高く、周辺には円山公園、北海道神宮など、都心部に近い地域でありながらも緑豊かな空間に恵まれており、また東急ストアや宮の森スポーツ倶楽部など、健康的な日常生活とその利便性も高い地区です。
そこで、計画にあたっては、こうした地域性とともに隣接住民側との協調を図ることも視野に入れつつ、仕上グレード、緑化計画を考慮して住戸プランを立案し、特に日照規制の制限もあることから、効率性を重視し、11階建と4階建の2棟に分けて計画されました。
設計においては、高層棟と低層棟の連続性、共用部の管理動線などにおいて一体性を考慮し、全体イメージに違和感が生じないように配慮しました。また、住居系建築としての生活感ある雰囲気を保ちつつ、将来に渡っても利用しやすいような計画を目標として設計しました。
特に高級感あるクラッセシリーズの賃貸マンションの中でも、エントランスおよび低層部については、円山地区の地域性に配慮し、一見シンプルでありながらもグレードの高いデザインとしています。セキュリティにも配慮し、エントランスにはカラーTVモニター付きのインターホンと監視カメラを設置するほか、各住戸の玄関にはピッキング防止キーの仕様となっているディンプルキーを採用しました。住戸内設備の充実を図るため、特に寒冷地向けの冷暖エアコンを標準装備し、また火災の心配がないIHクッキングヒーターを採用。トイレは快適で清潔なウォッシュレットを標準装備し、床は掃除しやすいフローリングで仕上げています。さらに高度情報化時代に対応し、各世帯には高速通信インフラである光ファイバーを導入しています。
間取りは1LDKで9坪、2LDKで11坪の2タイプを主として計画されたため、住戸内効率と視覚的広がり、家具のレイアウトなど細部にわたって入念に検討し、設計しました。
建築確認審査においては、内部規定の厳しい札幌市を確認審査機関とし、厳重な検査に合格しているので、近年特に注目されている耐震構造においても十分に信頼でき、構造設計者としてもそのために実績のある経験者として、私共が選任されたわけです。
施工にあたっては、奥行がわずか15mという横長の敷地で、基礎底GL-5.2mからの11階建という狭いスペースで、作業には困難もありましたが、近隣住民に配慮しつつ10ヶ月間という短期間の工期ながら、無事に竣工できたのは、施工会社である共立建設(株)現場代理人はじめ、各協力会社の努力の賜でもあります。
▲クラッセ円山 配置図 |
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クラッセ円山概要 建 設 地:札幌市中央区北5条西23丁目8-1他 構造規模:鉄筋コンクリート造地上11階一部地下ピット(ウエスト棟) 鉄筋コンクリート壁式造地上4階建(イースト棟) 延床面積:ウエスト棟 1,236.92m2(1LDK20戸、2LDK11戸) イースト棟 877.44m2(1LDK12戸、2LDK7戸) 計 2,114.36m2(1LDK32戸、2LDK18戸) 工 期:平成18年9月〜平成19年7月 施工業者:共立建設株式会社北海道支店 |