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釧路市が建設している阿寒湖温泉多目的施設は、阿寒湖温泉の中心部に位置し、市民と観光客が集い、交流し、くつろげる『憩いの広場』空間の創出を目指して設計された。設計にあたっては、地域代表の住民と協議を重ね、様々な意見・要望を参考にしつつ平面・立面計画が検討された。
その結果、施設の外観は石と木を部分的に使用し、阿寒の山や湖に囲まれた緑の中に建つ牧歌的でどこか懐かしい雰囲気の建物をイメージした。また、建設地は国立公園内なので、法律上の規制、阿寒地域の自然条件、特に冬の雪対策などを考慮して屋根の形状が決定された。正面の外壁には、羽を広げた『フクロウ』をイメージした装飾も施されている。
施設の構造は、1階は観光客に様々な情報を提供したり、地元の物産を紹介する交流サロンと、観光客同士がくつろぎながら情報交換できる交流ホールも設けられる。そのほか、身体障害者のためのオストメイト対応の多目的トイレや、乳幼児を連れた家族のための授乳室なども設置される。
2階は阿寒湖温泉地域の住民が利用するコミュニティーセンターと、釧路市阿寒湖温泉支所の2つの機能が併設されたフロアーとなる。コミュニティー部分は各種スポーツ団体が利用する体育館が設置され、椅子席で500人規模のイベントが行える設備も整えられている。また、会議室・研修室・調理実習室なども備え、地域のサークル活動や行事に対応できる施設となる。
設備は、自然エネルギーの活用が求められ、また温泉地の施設でもあることから、温泉熱・地熱を利用して熱交換を行い、暖房や建物周りの融雪ロードヒーティングの補助熱源として活用することにした。
電気設備では、雌阿寒岳の噴火を想定し、住民の一時避難場所として、阿寒湖温泉支所・体育館・調理室等の電気及び照明が2日間利用できるよう、非常用発電機設備を設置している。