寄稿
檜山のすがた
檜山管内は、北海道の南西部、渡島半島の日本海側に位置し、南北に細長い地形と大成沖27kmにある離島の奥尻町を含めて全7町で構成されています。
総面積は、2,630km2で佐賀県よりやや大きいのですが、全道面積83,454km2に占める割合は、3.2%と14支庁の中で最も面積が小さい支庁となっています。
西部は日本海側に面して平野が少なく、7町のうち5町が海岸線を有しています。
また海岸沿いには切り立つ断崖や奇岩が連続し、夏には穏やかで澄みわった海とそこに沈む夕日を眺めることができます。
北部に後志利別川、南部に厚沢部川、天の川などが流れ、その流域は肥沃な農耕地となっています。管内人口は、47,998人(平成17年12月末住民基本台帳)で、全道人口の約1%となっています。また、高齢者比率は29.2%と高く全道平均(21.1%)を遙かに上回っています。
気候は、北上する対馬海流の影響により比較的温暖で、平成17年の年平均気温は10.1℃と全道でも気温の高い地域です。また、すばらしい景観を有する「檜山」「狩場茂津多」の2つの道立自然公園(管内総面積の約10%)があり、海、山、温泉等の自然に恵まれ、本州と北海道の樹木の植生が混じり、スギの北限、トドマツの南限となっています。
また、海岸部は冬期間における季節風(たば風)が強く、11〜3月にかけての月平均風速は6.6〜7.3m/sと道内有数の強風地帯です。積雪量は沿岸部では少なく、山間部では比較的多くなっています。
檜山の農業
管内の農業は、北部の後志利別川流域、南部の厚沢部川、天の川流域において、水稲、馬鈴しょ、野菜類を中心とした栽培が行われており、丘陵地や山沿いでは、酪農、肉用牛、養豚経営が営まれています。
水稲は「きらら397」「ほしのゆめ」を主体に作付けされていますが、「おぼろづき」「ななつぼし」「ふっくりんこ」も増加しています。
近年は、秋が遅いという地域の特性から「直播栽培」も拡大してきており、省力化と生産性の向上を目指しています。販売面では、渡島・檜山管内の米は「函館育ち」として、良食味・高整粒・低たんぱく値をセールスポイントに販売され、ブランド化を推進しています。
馬鈴しょは、南部は「メークイン」、北部は「男しゃく」が作付けされており、中でも「今金男しゃく」は商標登録され高い知名度を誇っています。また、春が早い地域の特性を活かして、収益性の高い7月、8月に出荷する早出し栽培が盛んです。
野菜は、だいこん、スイートコーン、にんじん、キャベツなどの露地野菜中心の作付けとなっていましたが、近年、農業の担い手の減少や高齢化への対応等として、南部地区で温暖な気候を活かした「ハウスアスパラガス立茎栽培」や「いちご高設栽培」、北部地区で「ほうれんそう」など、高齢者や新規就農者にも取り組みやすく、高収益が見込める作物の導入が進んでいます。
また、平成17年から乙部町でブロッコリーなどの契約栽培が始まり、他地域への広がりも見せています。
花きは、南部地区でリンドウを主体にストック、トルコギキョウが作付けされ、北部地区でキンギョソウ、ストックの栽培が始まっています。
檜山の農業農村整備事業
檜山支庁の平成20年度農業農村整備事業は、道営事業が14地区9.2億円、団体営事業が2地区2.5億円の合計16地区・11.7億円を予算計上し執行しています。
道営事業は、中山間地域総合整備事業や地域水田支援緊急整備事業などの総合事業で、農業生産を担う基盤の整備(区画整理・暗渠排水等)と農地に水を供給する用水路や排水路の整備及び生産基盤と併せて農道整備等の流通体系の整備を重点的に進めています。
▲経営体育成基盤整備 大矢谷地区(せたな町) | ▲中山間地域農地防災 泊地区(江差町) | ▲農免農道整備 日向坂地区(せたな町) |
生産基盤の整備は、「弾力的な整備」手法を採用し、効果の早期発現とコスト縮減に努めています。 また、支庁独自の取組として、コスト縮減及び啓蒙対策による心土破砕工を農家参加型直営施工で平成16年から実施しており、通常は請負業者が行う工事工程・出来型などの施工管理や安全管理などの工事管理全般を事業主体の支庁職員自ら対応しています。
▲地域水田支援緊急整備今金地区(今金町) |
河川の魚道整備における自然環境配慮の先進的取組として、学識経験者・専門家・地域住民とともに現地調査や情報交換を含めた検討会を開催するなど、生態系に配慮した事業などは、地域住民等と合意形成を図って進めています。
▲地域用水環境整備(魚道)相生地区(厚沢部町) | ▲魚道工(相生地区) |