寄稿
▲経営体基盤整備事業厚南第2地区 |
胆振のあらまし 位 置 胆振支庁は、北海道の中南部に位置し、東部は日高支庁、西部は渡島支庁、南部は太平洋(海岸線約218q)、また、北部は後志、石狩、空知、上川支庁にそれぞれ接しています。東西に152q、南北に98qにわたる約37万haの面積を有し、14支庁の中では檜山支庁、石狩支庁に次いで3番目に小さい支庁ですが、他府県との比較では奈良県とほぼ同じ面積となっています。 由 来 胆振農業の開拓は、北海道史によると、「寛政10年、最上徳内が蝦夷地出張の際、信州長野から3個の種いもを持参し、虻田付近に馬鈴しょの耕作をさせ、また、文政2年には、虻田、有珠地方に徳川幕府直領の馬牧を開く」などと記されていますが、実際開拓が計画的に行われたのは、明治2年7月に函館に開拓使が置かれ、「蝦夷」から「北海道」に改称されてからのことです。当時、仙台藩伊達家の要望によって大政官より「胆振国之内有珠郡石一郡其方支配ニ被仰付侯事」というお墨付きをいただき、明治3年3月に本道における団体移住の先陣として伊達邦成が220余人の家臣を引き連れ、現在の伊達市に最初に鍬を入れたことに始まり、今日の発展の基礎となりました。 胆振農業の歴史のなかで特筆すべきことは、府県と異なる自然条件下に府県農業をそのまま行うことは避け、先進諸国の知識・技術を導入し、開拓当初からその普及に努めたことにあります。即ち、明治5年には官費による学校を設置し人材を育成するとともに、明治7年には西洋農機具(洋犂)の払下げを得て耕作に使用し、引き続き明治8年には果樹4,890本及び杉、檜苗の栽培や牝牛40頭の導入等が行われるなど、寒冷地農業にふさわしい経営が考究されました。 更に、明治13年には官営のてん菜製糖工場(現在の北海道糖業株式会社道南製糖所(伊達市))が設置され、てん菜工場の先駆となったほか、亜麻製綿工場等も設置されました。胆振農業は、このような経過をたどり、伊達市を中心とした西部地域から東部地域へと開拓が進められ、今日に至っています。
いぶりの農業 胆振は道央の農業地帯に位置していますが、東部の勇払平野、西部の河川流域台地を中心に、冬暖房、夏冷涼な気候を活かしたバラエティに富んだ農業が営まれています。 東部地域の厚真町、むかわ町などでは「たんとう米」の主産地として水稲が中心作物となっているほか、野菜、畑作物、花き、肉用牛(黒毛和種など)が生産されています。 安平町追分地域ではアサヒメロンが栽培され、都市近郊型農業が行われています。 白老町は「白老牛ブランド」の肉用牛が多く生産されており、苫小牧市、安平町早来地域では、酪農、畜産を主体とした農業が行われています。 このほか、むかわ町、安平町などで軽種馬の生産が行われています。 西部地域の伊達市、壮瞥町、洞爺湖町は、温暖な気候を活かして、露地野菜、高級菜豆、果樹、稲作や施設園芸作物など多種多様な農産物を生産しています。 室蘭市、登別市、豊浦町、伊達市の大滝区では、酪農、畜産が主体となっています。 また、豊浦町は道内有数のいちご産地となっているとともに、伊達市大滝区ではアロニアの栽培が行われています。 平成18年度の農業産出額は約454億円で、前年に比べ約3億円減少しました。 耕種部門では、米が良になり、他の耕種についても平年並みを確保しました。 畜産部門は、肉用牛が輸入量の減少による価格の上昇と出荷頭数の増加により前年に比較して増加しており、鶏についても増加しています。 農家戸数、農業就業人口は年々減少する傾向にあり、平成17年度はそれぞれ2,401戸、5,571人となっています。 農家一戸当たりの経営規模をみると、平成17年の耕地面積は14.7haで全道平均の22.5haに比べて小さくなっています。農家一戸当たりの生産農業所得(平成16年)は、475万円で全道平均の660万円に比べて低くなっています。 近年では、「食」に対する消費者ニーズに対応するため、農薬や化学肥料の使用量削など、クリーン農業の取り組みが管内各地で定着化しています。
いぶりの農業農村整備事業 平成20年度の農業農村整備事業は道営19地区で約21億7千万円、団体営6地区で約1億円、公社2地区で1億5千万円を実施する予定です。 道営事業の農業生産基盤の整備はかんがい排水事業(排水対策特別)継続1地区、畑地帯総合整備事業(担い手支援)継続1地区、新規1地区、畑かんモデル事業が継続1地区、経営体育成基盤整備事業が継続4地区、新規1地区です。 厚真町を主として実施している経営体育成基盤整備事業では、区画整理や用排水整備、農道整備など水田の大区画に向けた総合的な整備をおこなっており、「たんとうまい」のブランド化に寄与しております。 農村の整備では中山間地域総合整備事業(生産基盤型)継続1地区、一般農道整備事業(過疎基幹)継続1地区、農林漁業用揮発油税身代農道整備事業(農道保全)新規1地区です。今後は農道の保全管理事業が予定されております。 農地等の保全と管理は地すべり対策事業継続1地区、新規1地区、海岸保全施設整備事業(侵食対策)継続1地区、新規1地区、海岸環境整備事業継続1地区、国営造成施設管理事業継続2地区です。