寄稿
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管内の概況 十勝支庁管内は、太平洋を背に、周囲を大雪山国立公園、阿寒国立公園、日高山脈襟裳国立公園に囲まれ、内陸部の平野には扇状地や段丘が広がっており、十勝平野の中央部を大雪山を水源とする十勝川が流れています。 総面積は10,831kuで、全道の13%を占め、新潟県や秋田県とほぼ同じ面積を有しています。 春には、フェーン性の乾燥した季節風が、日高山脈を越えて強風となることがあり、夏は、海岸部では海霧が立ち込め日中の気温があまり上がりませんが、内陸部では比較的高温が続きます。冬は、大陸性寒冷高気圧により低温が続きますが、日高山脈で雪雲が遮られることから降雪量は少なく、晴天の日が続きます。年間を通して、全国的にも有数の日照時間に恵まれ、年間降水量も少なくなっています。
管内の農業 恵まれた土地資源を活かし、土地基盤の整備により規模拡大を進め、大規模で機械化された生産性の高い農業が展開されています。 耕地面積は平成18年度で、255,700haと全道の22%を占め、1戸当たりの耕地面積が38.0haと全道平均の2倍、全国平均と比較し22倍という大規模な農業経営となっています。 農業生産額は全道の23%(H17年)を占め、昭和59年から23年間(〜H18)連続2,000億円以上を記録平成18年度も2,402億円となっています。 主力産物は、畑作4品(甜菜・馬鈴薯・豆類・小麦)の基幹作物の他に、野菜類も長いもやだいこんなどの根菜類をはじめ、スイートコーンや葉物など多種多様な品目を生産し、小麦・馬鈴薯・小豆・甜菜・いんげん・スイートコーンは全道一の生産量であり、酪農・畜産においても、乳牛飼養頭数・生乳生産量・肉牛飼養頭数がいずれも全道一を記録しています。 特に「十勝産ながいも」は、本州方面に通年的に出荷されるほか、台湾などを中心に海外にも輸出されています。
十勝農業の課題 日本有数の農業地帯として発展する中で、農業者の「高齢化」や「後継者不足」という労働力不足の問題に加え、数々の偽装問題(産地偽装、賞味期限偽装、原料偽装)、高濃度の残留農薬や中国産冷凍餃子の問題と、消費者の「食の安全・安心」に対する関心の高まりに対した適切な対応が求められています。また、国際農業交渉(日豪EPA等)の進展により、牛肉、乳製品、小麦、砂糖などの重要品目の関税が撤廃さた場合には、管内はもとより道内の農業、関連産業、さらには地域経済・社会にも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。 一方、近年は価格の高騰や輸出規制の問題が大きくなり、安い輸入品による国内需要の対応が今後どの様になっていくのか、再考の時期に来ていると思われます。 これらの問題を受け、国産農産物への見方も変化しており、安全で質の高い農畜産物を生産し続けていくためにも、生産性の高い土地基盤の整備が重要となっています。
▲暗渠排水施工状況 | ▲営農用水施工状況 | ▲バイオガスプラント |
農業農村整備事業の実施状況と今後の展開方向 より安全で質の高い農畜産物の生産・販売に向け、管内では既に「十勝ブランド」として7農協による「十勝川西ながいも」や「十勝の野菜」が生産・販売されています。今後も均一化された高品質な農畜産物の安定供給には、産地連携地域内の圃場条件の均質化が必要であり、農地の用排水整備、土地改良等の基盤の整備が重要であり、管内では、畑地帯総合整備事業を主に暗渠排水や明渠の排水の整備、区画整理や土層改良等の圃場の整備、用水確保のための営農用水整備を進めているところです。 また、酪農・畜産においても、草地基盤の整備と併せ利用施設の整備・改良を進め、「十勝産ナチュラルチーズ」に続く高品質のものが生まれていくと思われます。 今後の展開方向としては、従来からのハード事業に加えソフト事業との両輪推進によって、各市町村の特性をうまく融合していく様なコーディネーターの役割も必要となっていくと思われます。 最後に本年度予定の内容を記し終わりとします。
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