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▲京極発電所完成予想図 |
北海道虻田郡京極町で、北海道電力の水力発電所である京極発電所が計画され、その2箇所のダムと地下発電所の建設が進められている。これは、同町北部の台地に上部ダムを設け、尻別川支流のペーペナイ川と美比内川の合流部にダムを築造し、約400mの落差を利用して3台の水車・発電機により、最大で60万kWの発電を行う計画だ。道内では、初めての純揚水式発電所となる。
上部ダムは、冬期間の最低気温が-25℃で、5mの積雪となる立地条件にあるため、アスファルト表面遮水壁の設計・施工に当たっては、道内で初めての厚層舗設工法を採用し、施工基盤層には世界でも初の水工フォームドアスファルト混合物を使用したアスファルト表面遮水壁構造とした。下部ダム本体についても、中央土質遮水型フィルダム形式となる。
上部ダムの施工と施工管理に当たっては、IT技術を全面的に導入している。設計においては3次元ダム設計施工支援システム(3D-DAM CAD)、施工においては、施工機械や重機オペレーターの操作を支援する3次元マシンコントロールシステム(3D-MC)、測量においては、ワンマンで短時間の作業が可能な3次元位置誘導システム(3D-NAVI)が活用されている。そして、この工程で得られたデータは、運転開始後の維持管理においても有効活用が可能となる。
一方、発電には従来の固定子と回転子が使用されるが、回転子には回転速度の調節が可能な可変速システムが採用され、回転子に流す周波数の供給は、国内でも初めてのIEGT変換器を用いることになっている。これによって、電圧駆動による変換器効率が向上し、ゲート回路の小型化など装置の縮小化が可能となる。
水車には従来の6〜7枚羽ではなく、9枚羽ポンプ水車用ランナを採用する。これによって装置の縮小化が図られる一方で、効率性とキャビテーション性能、ランナの剛性と振動特性は向上する。
京極発電所は、こうしたあらゆる新規技術を導入し、平成26年10月の運転開始を目指している。