建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2009年12月号〉

特集

中心市街地・地域活性化と市民の暮らしや
街なみ景観の形成を推進

函館市“街づくり行政”企画 ―函館市都市建設部―

祝 函館開港150周年


【寄      稿】 函館市都市建設部 部長 山本 真也
【ズームアップ】 函館市 函館市縄文文化交流センター
【ズームアップ】 函館市 日吉3丁目団地8号棟
【ズームアップ】 函館市 東消防署戸井出張所庁舎
【ズームアップ】 函館市 大澗・のばら統合保育園
【ズームアップ】 函館市 椴法華中学校親子学校給食共同調理場
【ズームアップ】 函館市 (仮称)恵山コミュニティセンター
【ト ピ ッ ク ス】 函館開港150周年記念事業について







平成21年度函館市の公共建築物の建設状況について

函館市都市建設部 部長 山本 真也氏


 小学校や保育園などの公共建築物は、都市空間の中で重要な要素の一つであり、市民の暮らしや街なみ景観の形成に大きな役割を果たしています。また、これらの整備にあたっては、市民共有の財産であることから、耐震性、耐久性、機能性、利便性など質的にも優れた社会資本であることが求められています。
 都市建設部では、本市の都市計画、中心市街地活性化の推進、市街地の良好な景観の形成などの業務のほか、市営住宅や教育・福祉施設などの公共建築物の設計・監理を行っております。
 今年度の公共建築物の建設状況につきましては、これまで、市営住宅、博物館、消防署出張所、保育園、学校給食共同調理場、地域コミュニティセンターの6件の新築工事を発注しております。これらの施設は、市民にとって親しみやすく、快適で、子どもから高齢者まで誰もが安心して利用できる施設として完成する予定です。
 今後におきましても、公共建築物の整備にあたりましては、コスト縮減を図りながら、省エネやユニバーサルデザインの導入など社会的ニーズを反映させ、公共工事としての品質を確保し総合的に優れた施設となるよう努めてまいりたいと考えています。

▲函館山よりの眺望 ▲異国情緒を今に残す


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縄文文化にふれあう交流複合施設建設に着手

――文化遺産を後世に伝える

函館市 函館市縄文文化交流センター


▲函館市縄文文化交流センター パース

 函館市の北東部に位置する南茅部地域には、国史跡大船遺跡・垣ノ島遺跡・著保内野遺跡を有する南茅部縄文遺跡群のほか、国宝「土偶」をはじめとする貴重な文化遺産がある。本センターの建設地は、他の2遺跡の中間地点でもある垣ノ島遺跡と国道278号バイパスの間の自然豊かな場所とした。
 垣ノ島遺跡は大規模な集落で、国内最大の馬蹄形盛土遺構,土坑墓群など縄文時代の精神性が伝わる複合遺跡である。
 本センターは、「縄文人の息づかいが伝わり、新たな知的好奇心が未来への扉を開くセンター」、「自然と共に生きた縄文の心にふれ、新たな感動が豊かな心を育む縄文センター」、「縄文文化をテーマに人々が集い、新たな交流の場を創出する縄文センター」を整備理念とし、出土品・関連資料の収集、収蔵、展示、調査・研究、教育・普及、文化交流の場として整備するものである。
 博物館、交流センター、道の駅(予定)という複数の機能を緩やかにうねる自由曲線壁のメインフレームで包含し、一体的にかつ明確なエリア構成で新しいタイプの施設をつくるものである。また、この自由曲線の壁は縄文の領域と現代の領域を融合するものである。
 本センターの管理運営については、指定管理者制度の導入を検討し、また、市民の参加・協力を得ることが重要なことであり、地域に根ざした活動を展開していくものである。

建物概要
函館市臼尻町551番1の内・2、553番1の内・2
構造規模:鉄筋コンクリート造2階建て
延べ面積:1,706.95u
工  期:平成21年10月〜平成23年3月


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緑豊かな環境と人にやさしい団地づくり

――10棟358戸が完成、最終棟34戸の建設始まる

函館市 日吉3丁目団地8号棟


▲市営住宅日吉3丁目団地 完成予想図

 函館市は、日吉3丁目団地の建替事業を進めている。
 従前は、昭和37〜40年にかけて建設された簡易耐火構造の住宅(388戸)が建ち並ぶ団地であったが、狭隘・老朽化が著しく居住性能が低下したことから、平成11年度に建替事業に着手した。
 この建替事業では、鉄筋コンクリート造の中層住宅(4・5階建)を11棟建設し、392戸の住戸を供給することとしており、これまでに10棟358戸が完成している。
 本年度は、最終棟である8号棟(4階建、34戸)に着手しており、次年度以降に整備をする集会所や公園の完成を以て建替事業が完了することとなっている。
 この建替事業にあっては、「緑豊かな周辺環境と調和した、高齢者や障がい者に優しい団地」を基本方針に、建物の外部については、穏やかな斜面地の特性を生かした敷地造成、周辺への日影やプライバシーに配慮した住棟の配置、団地内通過交通の排除を目的とした駐車場の外周道路隣接地への分散配置(住戸数の70%以上の台数確保)、団地内通路のスロープ化などを基本に整備を進めている。
 建物内部についてもすべての住棟に車いす対応のエレベータを設置するほか、廊下や階段などの共用部分、住戸内の玄関やトイレ、浴室に手摺りを設置するなど、高齢者や障がい者に優しい仕様としている。
 なお、現在着手している8号棟には、本年完成した6号棟と同様に車いす対応住戸を整備することとなっている。
 8号棟は平成22年9月の竣工を予定している。


全体計画
敷地面積:62,989.28u
建設年度:平成11年度から平成23年度
建設戸数:11棟392戸(平成21年9月末現在,10棟358戸完成)
8号棟の概要
建設場所:函館市日吉3丁目
住宅の形式・戸数:
 2DK22戸,2LDK4戸,3LDK7戸,車いす対応住宅1戸
建物の構造・規模:鉄筋コンクリート造4階建
延べ面積:3,027.04u
工  期:平成21年9月30日〜平成22年9月15日
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地域住民の安心・安全と防災機能強化を図る

――市町村合併に伴う消防再編、新庁舎の建設

函館市 東消防署戸井出張所庁舎


▲東消防署戸井出張所庁舎 パース

 平成16年12月の近隣の戸井町、恵山町、椴法華村および南茅部町との合併に伴う「消防組織機構再編計画」に基づき、東消防署古川出張所の移転に併せ、東消防署戸井出張所を統合し、両出張所の中間地点に庁舎を建設する。

建物概要
建設場所:函館市小安町525番1
構造規模:鉄筋コンクリート造2階建て
延べ面積:760.00u
工  期:平成21年7月〜平成22年3月


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次世代育成支援を目指し「認定こども園」建設

――多様な教育・保護ニーズに応える

函館市 大澗・のばら統合保育園


▲大澗・のばら統合保育園 パース

 大澗・のばら統合保育園は、「認定こども園」として運営し、就学前児童の多様な教育・保護ニーズに応えていくとともに、地域子育て支援センター(子育てサロン)を併設することにより、地域における子育て支援を推進していくものとして整備するものである。

建物概要
函館市日ノ浜172番8
構造規模:鉄骨造平屋建て
延べ面積:629.79u
工  期:平成21年7月〜平成22年3月


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既存3調理場を統合
12小中学校へ1,100の配食体制

―― 子どもたちの食育配慮と衛生管理に万全を期す

函館市 椴法華中学校親子学校給食共同調理場


▲椴法華中学校親子学校給食共同調理場 パース

 平成16年12月合併した戸井町・恵山町・南茅部町の既存学校給食共同調理場については、築後40年以上経過し老朽化が進んでいること、また、調理場の集約化が懸案となっていた。このため対象地域の中間点となる椴法華中学校に共同調理場を設置することで、旧4町村の小中学校をカバーできることとなるため、既存3調理場を廃止し、当該建設地に新施設を設置するものである。
 新調理場は椴法華中学校校地内西側に渡り廊下により既存校舎に接続し、食数規模は1,100食対応で、椴法華中学校分を含めた小中学校合わせて12校へ配食する施設となる。
 配置計画については、生徒通学動線と給食運搬車両通行路を既存校舎の南北にそれぞれ完全分離し、交通安全に配慮した配置計画としている。
 平面計画については、文部科学省で定める「学校給食衛生管理の基準」に基づき、効率的な作業工程の流れや汚染作業区域・非汚染作業区域の明確な区分等に配慮した計画とした。椴法華中学校に新施設を設置することで、子どもたちの食育に配慮し、安全衛生に万全を期した円滑な給食を実施することが期待できるほか、施設統合により効率的な運営が可能となる。

建物概要
函館市新浜町151番1
構造規模:鉄骨造平屋建て
延べ面積:805.86u
工  期:平成21年6月〜平成22年1月


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町内サークル・ボランティア団体の交流拠点づくり

――地域活性化に住民の期待高まる

函館市 (仮称)恵山コミュニティセンター


▲恵山コミュニティセンター パース

 (仮称)恵山コミュニティセンターは、町内会やボランティア団体等、地域のコミュニティの一層の充実と地域の活性化を図るために、活動の拠点となるコミュニティ施設として整備するものである。

建物概要
函館市日ノ浜154番、155番2、155番2先
構造規模:鉄骨造平屋建て
延べ面積:832.20u
工  期:平成21年7月〜平成22年3月


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函館開港150周年記念事業について


▲記念式典より

 1859年(安政6年)、函館は、横浜、長崎とともに、我が国最初の国際貿易港として開港した。この開港により、箱館(明治2年から函館となった)には、多くの国々の領事館が設けられ、諸外国の生活様式や文化が移入し、教会や西洋風のハイカラな建物が建ち並び、異国情緒ある今の函館の街並みの原型が形成された。今年、2009年は、その開港から150周年という大きな節目の年を迎え、「函館を元気にしたい」、「記念すべき年を盛り上げたい」との市民の熱い想いにより、函館開港150周年記念事業実行委員会が組織され開港記念式典をはじめとする記念事業を実施することとした。
 記念式典は、開港からちょうど150年目となる7月1日に、実行委員会の名誉会長である北海道知事をはじめ、中国大使、さらには安政の5カ国条約に係わるアメリカ、オランダ、ロシア大使館関係者等、約1200名の参加のもと、市内の中学生などによる演劇で幕が開き、引き続き、函館への想いを綴った言葉を公募し、それらの言葉を紡いで歌詞を創り、作曲した小林亜星氏自身の指揮による開港150周年アニバーサリーソングの合唱が披露された。
 開港150周年記念事業のメイン事業「DREAM BOX 150(ドリームボックス イチ・ゴー・マル)」は、8月8日から16日までの9日間、函館港内の人工島「緑の島」を会場に開催され、期間中はおおむね天候に恵まれ、大黒摩季やマリーンが出演した「COP10スペシャルコンサート」や「PMFブラスアンサンブルコンサート」をはじめとするステージイベントやカヌーやヨットなどのマリンアトラクション、さらには、魅力的なメニューを取りそろえた飲食ブースなどで、連日会場は賑わい、最終日の16日は、50年後の開港200周年に向け、市内の小中学生全員の50年後の自分に宛てたメッセージをタイムカプセルに投函し、9日間の幕を閉じた。
 会期中の入場者数は、133,500人であった。

▲イベント会場は連日の賑わい
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