建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2010年6月号〉
寄稿
観光支援と物流の効率化に向け高速網整備と防災対策事業推進
渡島総合振興局副局長 兼 檜山振興局 副局長 土栄 正人
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土栄 正人 どえい・まさと |
昭和33年 3月生 札幌市出身 |
昭和55年 3月 北海道大学工学部卒 |
昭和55年 4月 入庁 |
平成 5年10月 室蘭土木現業所技術部道路建設課舗装係長 |
平成 8年 4月 企画振興部計画室主査 |
平成10年 4月 建設部道路計画課主査 |
平成12年 4月 建設部道路計画課道路企画係長 |
平成14年 4月 建設部都市計画課主幹(小樽市派遣) |
平成18年 4月 建設部土木局道路課主幹 兼 経済部観光のくにづくり推進局勤務 |
平成19年 6月 札幌土木現業所事業部長 |
平成21年 4月 建設部土木局道路課長 |
平成22年 4月 渡島総合振興局副局長(建設管理部担当) 兼 檜山振興局副局長 |
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函館建設管理部が所管している道南地域(渡島総合振興局及び檜山振興局管内(支庁制度改革により平成22年4月組織機構改正))は、北海道の南西部に位置する渡島半島と奥尻島などからなり、東は噴火湾、西は日本海、南は津軽海峡、太平洋と三方を海に囲まれています。
気候は、暖流である対馬海流の影響を受け、道内では、比較的温暖で積雪量も少なく、日本海側と太平洋側の両方から暖かく湿った空気が入りやすいため、降水量は比較的多くなっています。
面積は6,566ku(全道の7.9%)、人口は48万人(平成21年12月末住民基本台帳、全道の8.7%)で、人口は、昭和55年の58万5千人をピークに減少傾向にあります。
管内の市町数は、2市16町で、人口の75%は、函館市とそれに隣接する北斗市、七飯町を含んだ函館圏に集中しています。
渡島半島は、南北に細長く、中央部を山脈が縦断して渡島平野などの一部を除き山地が海岸まで迫っているため、急傾斜地が多く、道路はそのほとんどが急峻な海岸沿いや山間部に通じており、高波や土砂崩れなどの自然災害による影響を受けやすい地勢となっています。
また、中心都市である函館市は、本道の南西端にあり、北海道縦貫自動車道が落部ICまで供用したが、道央圏と連絡する幹線道路は国道5号のみとなっており、観光支援や物流の効率化などのためにも、高速交通ネットワーク網の整備が急務とされているところです。
さらに近年、たびたび小噴火を繰り返している駒ヶ岳や恵山などの活火山を抱えるなど災害に対応した社会資本整備の必要性が強い地域でもあります。
函館建設管理部としては、道財政が年々厳しさを増している中、道南圏の地域特性を考慮しながら災害に強く安全性の高い道路整備や総合的な治水対策、土砂災害対策などを推進するとともに、2015年度中の開業を目指す北海道新幹線や高規格幹線道路の整備と連動し、高速交通ネットワーク網の整備効果を最大限に発揮するため必要な社会資本整備を促進し、道南圏の経済・文化などの発展に寄与していく考えです。
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▲3・3・20放射2号線(函館市) |
▲太櫓川(せたな町) |
主要事業について
道路事業では、函館・江差自動車道の茂辺地ICから国道228号を結ぶ道道茂辺地インター線(北斗市)及び函館新外環状道路の最初のICである赤川ICに接続する3・3・20放射2号線(函館市)の用地買収及び工事を促進します。また、老朽化の進んだ函館上磯線の常磐川橋の架替を行うため、仮道・仮橋工事を実施します。さらに、松前港線福山地区(松前町)の事業に着手し、道路の拡幅及び歩道の整備を行います。
街路事業では、函館上磯線(産業道路)の渋滞緩和のため3・4・47文教通(函館市)の早期完成を目指し、用地買収を進めるとともに踏切渋滞の解消を図るため3・4・2出雲通(八雲町)の立体交差化を進めます。
河川事業では、安全・安心な地域づくりに寄与するため、久根別川(北斗市、七飯町)、木古内川(木古内町)、厚沢部川(厚沢部町、江差町)、太櫓川(せたな町)などの事業を促進します。
砂防事業・地すべり事業では、駒ヶ岳など火山地域における土砂災害対策を実施するとともに、荒廃渓流における土砂災害対策を促進するため、子熊の沢川(北斗市)、パンケオイチャヌンペ川(今金町)、磯谷川(函館市)などの事業を促進します。
急傾斜地事業では、荒廃渓流における土砂災害対策を促進するため、函館山背泊(函館市)や福島豊浜(福島町)など海岸線の急峻な崖の対策に努めます。
河川局の海岸事業では、波浪による海岸の越波防止を目的として松前海岸(松前町)、内浦海岸(八雲町)、西浜海岸(長万部町)などの護岸整備に努めます。
下水道事業では、函館湾流域下水道において、3系目の水処理施設増設を進めるとともに既存の水処理施設等の更新を行います。
漁港事業では、函館湯川漁港(函館市)、石倉漁港(森町)、湧元漁港(知内町)、中歌漁港(せたな町)、小砂子漁港(上ノ国町)、乙部漁港(乙部町)などの完成を図ります。また、鹿部漁港(鹿部町)では、天蓋施設のある衛生管理型漁港となり、食の安全にも寄与できるよう努めます。また、白神漁港(松前町)の整備を新規に着手します。
漁港海岸事業では、福島漁港海岸(福島町)、熊石漁港海岸(八雲町旧熊石町)の完成を目指します。このうち、福島漁港海岸では、海岸環境の整備を図り完成後の海水浴場開設により、水産業の振興と海洋レクリエーションとの調和を図ります。
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▲松前海岸(松前町) |
▲福島漁港海岸(福島町) |
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