特集 衆議院会館・参議院会館
▲衆議院新議員会館 |
衆参両議員会館とも、民間資金や運営ノウハウを活用するためのPFI事業として建設されている。衆議院議員会館の事業者選定に当たっては、総合評価型一般競争入札が行なわれ、その結果、大林組を代表として竹中工務店、三菱地所、ハリマビステム、全日警、東亜建設工業、総合警備保障、三菱地所設計、久米設計など関連分野でリードするトップクラスの企業が出資者となり、事業主体となる目的会社「HOR会館PFI株式会社」を設立して設計管理業務、建設業務、維持管理業務、運営業務などに対して業務委託契約や請負契約を取り交わしている。
第T期工事完了後、議員会館活動が本格化する。業務は維持管理業務と運営業務に分かれ、前者は、建築物点検保守・修繕、建築設備運転・監視、植栽管理、清掃、選挙時対応に当たる。後者は、受付、警備・駐車場管理、会議諸室管理業務、全般管理業務、什器備品の提供・保守、福利厚生・国会健康センタ一管理、選挙関連事務等支援業務に当たる。
具体的な業務内容としては、建築物点検保守・修繕業務では、破損・劣化の見られる部位について適切な修繕に当たる。建築設備運転・監視業務としては、日常において必要な設備の運転と稼働状態の監視、記録に当たる。植栽管理業務においては、敷地内樹木の選定、除草、潅水を定期的に行うなど、良好な景観の維持に努める。清掃業務は供用部の日常清掃と各室の定期清掃により、清潔な施設の衛生状態を維持する。
一方、受付業務としては、来訪者への面会証交付手続きとエントランス付近での施設案内に当たる。警備・駐車場管理業務としては、衆議院と連携・協力の下に議員会館の警備を行うとともに、駐車場管理に当たる。会議諸室管理業務・全般管理業務としては、会議室などの予約・施錠管理、館内放送、遺失物管理などを行なう。什器備品の提供・保守業務としては、議員事務室や各会議室などの什器備品を調達し、保守管理する。福利厚生・国会健康センター管理業務としては、施設内に開設される食堂・売店などの福利厚生施設の運営・管理に当たり、良質なサービスの提供に努める。
会館の建設工事は18年度の仮施設から始まり、19年度に新議員会館本体工事に着手。この7月に完成を迎え、現職議員らの転居が開始される一方、引き続いて地下駐車場の施工に着手する。24年度には仮設駐車場を廃止して供用開始する。
こうした建設を含むPFI事業は31年度末を事業スキームとしている。
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▲参議院新議員会館 |
参議院会館の整備・運営は、鹿島建設が代表企業となり、清水建設、大成建設、日本設計、東急コミュニティー、日本管財、太平ビルサービス、三菱UFJリースなどが出資するHOC議員会館PFI株式会社を設立し、建設、運営に当たる。
この参議院議員会館の建設に当たっては、機能的かつ「品位・風格・親しみ」のある執務・応接字間をつくるとともに、すべての利用者にとって快適な施設づくり、周辺地域及び景観との調和、地球にやさしい施設づくり、長期にわたる機能の維持などを基本方針として設計された。
議員事務室は、議員室、応接室、秘書室、待合スペースが十分確保され、議員・秘書の執務の場、来訪者との面会の場として、ふさわしい仕様となる。
室内は機能的で品格を兼ね備えた色合いとし、議員室、応接室は木調仕上げを中心としており、自然風を取り入れる換気窓を設けるなど、自然エネルギーの活用を実現した。また、照度センサーによる自動詞光により省工ネを実現したほか、屋上には太陽光発電システムを導入。ヒートアイランド緩和のため、高層棟には屋上緑化を施している。
配置計画においても、周辺地域及び景観との調和を図り、国会施設としての統一感を持たせるため高さのバランスを勘案し、参議院及び衆議院の3棟を同じ高さに揃えている。
参議院・衆議院それぞれが左右対称に配置されている国会議事堂との整合を図り、北から南に向かって、参議院1棟、衆議院2棟を等間隔に配置し、3棟の中央にあたる衆議院第二議員会館を国会議事堂中央塔の軸緑と一致させる計画とした。
周辺環境に配慮した景観形成のため、敷地西側には厚生施設等で構成された低層棟を配置し、隣接する周辺地域とのスケール感に配慮するとともに、敷地全体で緑地を確保し広がりが感じられる空間とした。敷地東側は参議院・衆議院を通して歩行者空間を配置し、緑を楽しめる安全で快適なスペースとしている。
建築計画においては、高層棟には議員事務室や委員長室などの議員が執務を行うための施設を集中的に配置し、議員や来防音が主要な出入口として利用する東側エントランスは国会議事堂側に設けている。低層棟には事務局事務室・サービス施設・厚生施設等の議員活動をサポートする施設を配置し、地下3階西側に通用口や荷捌きスペースを設けた。
駐車場は、高層棟の北側に議員用の車寄せや待機スペースを設け、地下部分に専用の自走式駐車場を設けた。議員用車廻しの北側には、来訪着用の駐車場を設けている。
この参議院会館の事業スキームも31年度までと長期にわたるため、施設は十分な耐震性を備え、電気、水、通信等のインフラが途絶した場合の対策として、設備のバックアップを設けるほか、必要物資を備蓄するなど、長期使用に耐えられる計画となっている。さらに新時代に対応するため、技術革新の著しい情報通信やセキュリティ設備は、システムの高度化や更新に対応しやすいものを導入する。
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