建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2010年11月号〉
寄稿
全国で発の台形CSGダム
――試験施工など手探りで推進
空知総合振興局 札幌建設管理部
当別ダム建設事務所 所長 上野 真二
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上野 真二 うえの・しんじ |
昭和32年8月生まれ 旭川市出身 |
昭和51年9月 採用 |
平成 7年6月 室蘭土木現業所 |
浦河総合ダム事務所第一技術係長 |
平成 9年6月 札幌土木現業所 当別ダム建設事務所第一技術係長 |
平成12年4月 網走土木現業所 北見出張所河川係長 |
平成15年6月 釧路土木現業所事業課主査 |
平成17年4月 網走土木現業所治水課河川係長 |
平成20年4月 建設部河川課 河川開発G主査(建設) |
平成21年4月 現職 |
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▲当別ダム右岸より |
▲当別ダム下流より |
当別ダムは、当別川総合開発事業の一環として、石狩川水系当別川の北海道石狩郡当別町字青山十万坪地先に建設中の多目的ダムです。
昭和45年度から予備調査を開始し、昭和55年度から実施計画調査を行い、平成4年度より建設採択され現在に至っています。
ダム型式及び諸元は、台形CSGダム、高さ52m、長さ432m、総貯水量74,500,000m3、有効貯水容量66,500,000m3であり、洪水調節、流水の正常な機能の維持、かんがい用水および水道水の供給を目的としています。
ダム型式は、当初、重力式コンクリートダムで計画していましたが、コンクリート骨材として使用を予定していた河床砂礫が細粒傾向にあったため、採取範囲の拡大や大量の廃棄材の発生等が課題でした。
こうしたなかで、平成14年度より台形CSGダムの採用に向けた調査・検討を開始し、経済性や環境面での優位性を確認し、平成17年12月に河川管理施設等構造令第73条第4号の規定による特殊な構造の河川構造物の認定(いわゆる大臣特認)を受け、ダム型式が決定しました。
台形CSGダムは、台形ダムとCSG(Cemented Sand and Gravel)工法の特徴を併せ持つ新型式のダムであり、ダム建設における3つの合理化(設計・施工・材料)を同時に達成する新しい型式のダムとして考案されたものです。
台形CSGダムでは、堤体材料にダムサイト近傍で容易に入手できる河床砂礫や掘削ズリ等を有効活用することから、設計・施工の計画に当たっては、使用する材料と、それを用いたCSGの強度特性を十分に把握することが重要な要素となります。
平成17から18年度には実機を用いた発注前現地試験施工を実施し、使用予定材料としているダムサイト等の河床砂礫によるCSGの施工性の確認、本体工事に向けた施工仕様、品質管理方法等を定めました。平成19年度には台形CSG形式の上流締切堤工事に着手し本体工事で予定している施工仕様や品質管理方法の確認を行いました。
平成20年10月に本体工工事に着手、翌年5月より本体打設を開始し11月末までで56%の進捗で越冬。今年4月より打設を再開し、9月末にはCSGの打設が終了。11月上旬には天端部のコンクリート打設を終え、本体工約81万m3のCSG及びコンクリート打設が実期間約15ヶ月で終了し、洪水吐き天端橋梁架設を残してダム本体工が概成します。
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▲望郷橋全貌 |
一方、12路線で約35kmの付替道路工事も鋭意進捗中で、中でも貯水池中央部を長さ490mで横断する道道当別浜益港線望郷橋も今年7月末には上部連続桁が連結され、優美な姿を現しています。
平成23年には天端部橋梁、管理設備及び取水・放流設備等を施工し、平成24年3月から試験湛水を実施。平成25年度の供用開始を目指します。
当ダムは、全国で施工される台形CSGダムの先陣として施工しており、関係各位のこれまでのご指導、ご協力に感謝申し上げるとともに、今後ともご指導を仰ぎながら平成24年度の完成をめざし、さらなる研鑽を積み、確実な施工に努めてまいります。
当別ダム建設の整備事業に貢献します
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