寄稿
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東日本大震災の発生やその影響が我が国の経済社会に影を落とす中、今ほど、安全や安心が切実に求められていることはないのではないかと考えます。
道民の皆様の暮らしにとって最も大切な「安心」を、優先していくことが大切と思います。
札幌建設管理部が所管する区域は、道央圏の空知総合振興局及び石狩振興局となっており、人口が約266万人と全道の約48%を占めるなど北海道の政治・経済の中心的な地域となっています。こうしたことから道路・河川など社会資本の整備が、安心・安全ばかりではなく、活力ある北海道の実現のためにも必要と考えています。
平成23年度当初の公共事業費は、264億9千7百万円となっていますが、今年は知事選の年でもあり、骨格予算となっています。
<道路事業>
道路事業では、新千歳空港とのアクセスを強化し、観光振興や物流の効率化などを図る新千歳空港インター線の整備を進めるほか、幅員が狭小で大型車同士のすれ違いが極めて困難な上、歩道が未整備で危険であった江部乙雨竜線の石狩川との交差部に架かる江竜橋の新橋が完成することとなっています。
また、岩見沢月形線の石狩川に架かる月形大橋は昭和30年築造で、老朽化が著しいため、平成16年度から事業に着手し、橋梁本体は、平成25年度の完成を目指して、整備を進めているところです。
仁別大曲線は、北広島市仁別を起点とし国道36号との交点を終点とする路線で、この区間を整備することにより、北広島市大曲地区における国道36号の恒常化した交通渋滞(主要渋滞ポイント:大曲交差点)のバイパスとして機能するばかりでなく沿線に位置する大曲工業団地へのアクセスが強化されます。
さらに、美唄市から富良野市に至る延長約53kmの主要地方道である美唄富良野線においては、通行不能区間を解消する事業を行っており、南空知地域と上川南部地域の短絡ルートを形成することから、農産物流の効率化や観光アクセスの向上が期待されています。
▲一般道道仁別大曲線(北広島市) | ▲江竜橋(一般道道江部乙雨竜線) | ▲月形大橋(主要道道岩見沢月形線 |
<街路事業>
街路事業では、江別の顔づくり事業と一体で進めているJR函館本線野幌駅付近の連続立体交差事業の高架工事などの整備を進めることとしています。
JR函館本線野幌駅付近の連続立体交差事業(鉄道高架事業)は、平成19年に工事着手し、北海道、JR北海道及び江別市の3者で調整を図りながら進めていますが、今年の10月23日には、鉄道高架を開業する予定となっています。
<治水事業>
治水関係の主な事業としては、徳富川や柏木川等において、自然環境に配慮した河川整備を促進するとともに、千歳川流域河川において、直轄事業と連携した工事及び河川整備計画の策定などを行っており、南9号川の嶮淵川遊水地と連携した河川改修事業を促進します。
▲徳富川広域河川改修事業(新十津川町) |
<ダム事業>
当別ダムは石狩川水系当別川に洪水調節、流水の正常な機能の維持、水道用水およびかんがい用水の供給を目的とした多目的ダムとして、平成4年度に建設採択、平成20年度から本体工事に着手しました。昨年12月には本体工事がほぼ完了し、平成24年度中の完成を目指し平成23年3月から湛水試験を行う予定です。
▲当別ダム建設工事(当別町) |
<土砂災害対策>
このほか、ソフト対策事業として、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、土砂災害のための対策の推進を図るため、平成14年度から現地調査を進めています。今後、順次基礎調査を行い、区域指定を進めていきたいと考えています。
3.むすび
今回の震災で、住んでいる私たち自身が気づかなかった「北海道の価値」を見出すことができたように思います。それは、高い食の供給力や冷涼な気候、広大な面積などの特性を活かした災害に備えた我が国のバックアップ拠点としての北海道の新たな機能です。
こうした「北海道の価値」を存分に発揮するために、社会資本の整備およびその後の維持管理に全力を尽くしていきたいと考えています。