寄稿
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釧根地域は、阿寒や釧路湿原などの国立公園と道立自然公園、さらに、知床は世界自然遺産の指定を受けており、北海道の中でも雄大な自然環境を有する地域である。
釧路建設管理部では、このすぐれた地域特性を生かし、管内の振興を図るため、環境や景観に配慮しながら社会基盤の整備を進めている。
道路は、地域住民の暮らしや産業の活性化を図る上で最も基本的な社会基盤の一つに位置付けられる。当部では、農水産物の輸送や観光のためのアクセス、広域医療に対応した幹線交通ネットワーク整備を重点的に実施しているほか、地域の様々なニーズに対応した道路整備を進めている。
道路改良事業では、釧根トライアングル構想の一翼を担う地域高規格道路・根室中標津線(別海町)で、ポントコタン橋(橋長29.5m)の完成を予定している。
また、世界自然遺産「知床」の玄関口である羅臼町市街地と、知床岬への最終中継地である羅臼町相泊地区を結ぶ唯一の道路として、知床公園羅臼線の整備を集中的に実施しており、越波・落石対策としてトンネル工事に新規着手する。釧路市と鶴居村を結ぶ釧路鶴居弟子屈線では、「安全で安心な道づくり」を目指し、交通安全事業や交付金事業を活用して集中的に視距改良、線形改良を行っている。
▲根室浜中釧路線(公投-161)交付金工事(仙鳳趾地区) | ▲知床公園羅臼線(B改-206)交付金工事 2工区 |
一方、街路事業については、中標津町の3・4・14号西町通の用地補償などの実施を予定している。
空港事業では、知床国立公園や阿寒国立公園など豊かな自然に恵まれた道東の観光地へのアクセス拠点である中標津空港で、老朽化した電源局舎の改築の実施を予定している。
都市公園事業では、人と自然にふれあう快適なレクレーション空間を創出する「中標津ゆめの森公園」で、長寿命化計画策定に向け公園施設の現況調査設計の実施を予定している。
近年、ゲリラ的な集中豪雨や台風の発生など異常気象により、激甚水害や土砂災害が頻発しており、住民の生命や財産を守りだれもが安心して暮らせる地域をつくるために、防災・減災の観点から国土保全施設の整備を進めている。
主な河川事業は、平成21年に豪雨災害を受けた阿寒川で浸水対策のための掘削工を実施するほか、久著呂川において河道安定化対策として帯工・護岸工の実施を予定している。釧路川では、護岸工などの治水対策を進め、市民や観光客の憩いの場となる河川空間の整備を進める。また、道州制特区推進法に基づき、国から委譲された標津川では、築堤工及びサーモン橋(橋長183.4m伸長)の基礎工などの実施を予定している。
▲阿寒川災害復旧工事 |
砂防事業では、世界自然遺産に登録された知床国立公園内に位置する羅臼川の砂防ダムにおいて1号堰のスリット化の実施を予定している。また、常時観測火山の一つである雌阿寒岳の火山噴火警戒避難対策事業を引き続き実施する。
また、住民の生活を守ることに直結する急傾斜地崩壊防止事業を、根室浜松と釧路高山地区で実施する予定をしている。
建設海岸事業では、津波・高潮・波浪による海岸侵食や決壊などから国土を保全するために、野付崎海岸などにおいて、侵食対策事業の実施を予定をしている。また、古多糠海岸で堤防の老朽化対策、白糠海岸の耐震護岸の整備の実施を予定している。
▲伊茶仁海岸侵食対策工事 2工区 |
漁港事業は、地域の主力産業である水産業の核となる漁港の整備を進める。標津漁港や尾岱沼漁港では、屋根付岸壁施設などの衛生管理型漁港の整備を予定している。このほか、散布漁港(浜中町)などで防波堤などの整備を予定している。
漁港海岸事業では、過去に地震による津波災害を受けた地域を支援する津波対策事業を実施して整備を図る。床丹漁港海岸(別海町)、榊町漁港海岸(浜中町)の2箇所で堤防改良が完成するほか、厚岸漁港海岸において耐震護岸の整備を予定している。また、標津漁港海岸で引き続き侵食対策として人工リーフの整備を予定している。