建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2012年6月号〉
副局長寄稿 宗谷総合振興局
地域産業を守り、住民の生活基盤と安全な交通網確保に全力
|
宗谷総合振興局
副局長 宮ア 義彦 みやざき・よしひこ |
|
昭和32年 1月15日生まれ 上川郡鷹栖町出身 |
北海道大学 卒業 |
昭和54年10月 北海道庁入庁 |
平成15年 6月 建設部空港港湾課 主幹(石狩湾新港管理組合 派遣) |
平成17年 4月 稚内土木現業所 企画調整室長 |
平成20年 4月 函館土木現業所 管理部長 |
平成22年 4月 建設部土木局砂防災害課 災害・海岸担当課長 |
平成23年 6月 北海道開発局 室蘭開発建設部 苫小牧港湾事務所長 |
平成24年 4月 現 職 |
|
1.はじめに
稚内建設管理部が所管する宗谷地域は、豊かで美しい自然の下、恵まれた資源を生かした酪農業や水産業、観光業が盛んな地域であります。
しかし、地理的に道央圏や中核都市までの距離が長く、管内の多くは交通手段を道路に依存していることから、高度医療機関への移動時間の短縮や、降雨時や降雪期においても安心して通行できる、安全な交通の確保が求められています。また、地域住民が安心して暮らせるための災害に備えた河川や砂防などの治水対策のほか、地域の基盤産業である水産業に大きく寄与する漁港の整備が求められております。
2.平成24年度事業の取り組みについて
社会資本整備を取り巻く環境が大きく変化する中、当部においては、地域のニーズや課題を的確に捉え安全で安心な地域づくりに向けて、関係自治体などと連携を図りながら、効率的かつ効果的な事業の推進に取り組んで参ります。
また、「公共土木施設の維持管理基本方針」に基づき策定した実施計画により公共土木施設の適切な維持管理を行うとともに、既存施設の長寿命化を図って参ります。当部所管の平成24年度事業の予算は、約81億円となっています。
3.道路課所管事業について
■道路事業
農水産業や観光業が盛んな管内は、交通手段の多くを道路に依存していることから、道路交通ネットワークの強化と安全性の向上を図って参ります。
地域相互間の道路交通ネットワークを強化するため、豊富・幌富バイパスへのアクセス道路としての豊富浜頓別線のほか、宗谷岬ルートを短絡する稚内猿払線などの整備を図るとともに、離島内の生活道路の確保として、利尻富士利尻線や礼文島線などの整備を推進します。
また、歩行者や一般車両の安全確保のため、稚内幌延線や歌登咲来停車場線において自歩道の設置や視距改良などの事業を推進します。
さらに、安全で安心な交通確保のため、管内特有の地吹雪や積雪への対応として、稚内天塩線や豊富浜頓別線などにおいて防雪柵の設置や堆雪幅の確保を推進するとともに、元地香深線において落石などの対策として元地・香深間の新たなトンネル事業に着手するほか、沓形仙法志鴛泊線において越波対策などの事業を推進します。
また、適切な維持管理を行い既存施設の長寿命化を図るため、枝幸音威子府線や利尻富士利尻線などにおいて橋梁の点検を行い、長寿命化計画に基づいて、橋梁補修工事を行います。
東日本大震災による津波被害を踏まえ、宗谷管内においても道道などにおける津波対策事業を推進します。
■空港事業
利尻空港において、利用者の安全性・利便性の向上を図るために、駐車場からターミナルビルまでのカバードウォークを整備します。
■公園事業
公園と周辺施設との一体的利活用をより一層推進するため、宗谷ふれあい公園の園路整備を行っていきます。
|
|
▲稚内猿払線 特改一種工事(道州) |
▲頓別川 広域河川改修工事(栄和地区)(補正)(繰越) |
4.治水課所管事業について
■河川・砂防関係事業
自然災害から住民の生命や財産を守り、安全に暮らせる住みよい地域づくりを目指して、河川改修や砂防などの治水対策を推進するとともに、河畔林の保全など自然環境に配慮した川づくりの推進を図って参ります。
河川では、稚内市街地を流れるクサンル川において河川改修に伴う護岸工事や、声問川において河道断面の確保のための掘削工事を行うとともに、頓別川などの河川改修を推進します。
砂防関係では、近年山腹の荒廃が著しく土石流が発生している利尻島の雄忠志内川や大空川などにおいて土石流を防ぐ砂防施設の整備を図るほか、利尻町政泊の人家連担地区において背後地の崩壊を防ぐ急傾斜地崩壊防止対策事業を推進します。
さらに、関係自治体と連携し土砂災害の恐れのある区域において、危険周知、警戒避難体制の整備などのソフト対策として、土砂災害防止法に基づく土砂災害(特別)警戒区域の指定を促進します。
■漁港事業
水産資源の減少や漁業者の高齢化など漁業を取り巻く環境が厳しい中、水産物の安定供給や漁港利用の安全性を高めるため、漁場整備や漁村づくりとの連携を図りながら、労働環境にも配慮するとともに、生産活動の拠点となる乙忠部漁港、雄忠志内漁港、須古頓漁港などにおいて防波堤や係留施設などの整備を推進します。
さらに、差閉漁港や問牧漁港などにおいて、施設の長寿命化を図り、更新コストの平準化や縮減に向けた整備を行います。
|
▲乙忠部漁港 水産生産基盤整備工事1工区 |
|