建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2012年6月号〉

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品川区立荏原第六中学校が竣工に向けて追い込みへ

──階段上にセットバックしたデザインで威圧感を緩和

品川区立荏原第六中学校

▲外観完成イメージ

 品川区立荏原第六中学校の校舎建築が、7月の竣工に向けて追い込みを迎えた。品川区では、現状の義務教育学校が抱える課題の克服を目指して、平成12年度から『プラン21』をスタートさせ、教育改革に着手している。『プラン21』では「学校選択性」、「外部評価者制度」、「学力定着度調査」などの施策を通じ、特色ある学校づくりを進めるとともに、小中一貫教育に区を挙げて取り組んでいる。区立荏原第六中学校も、この基本方針に基づいて計画された。
 そこで、小中一貫教育を意識した多様な教育環境と一貫教育のためのゆとりスペースの両立、地域を積極的に巻き込んだ授業を展開するための教室構成など、単独校ならではの自由度を活かした学校を目指した。
 一方、近隣との関連性においては、地域の景観や街並みに対する影響をはじめ、日影や騒音、塵埃、落ち葉など、近隣の生活環境に十分配慮。また、地域に開放しやすい体育館、特別教室を用意し、地域コミュニティの拠点として、生涯学習活動や地域の人々の交流の場として有効活用される地域の財産となることを意識した。
 建設コストの抑制に向けては、ライフサイクルコストの視点から、適切な規模設定や合理的な構造計画など、新築コストの縮減と合わせて仮設校舎を不要とした移転計画とし、既存校舎も仮設校舎として有効利用した。
 保全、維持管理においては、白熱エネルギーの積極利用をはじめ、清掃やメンテナンスなど日常の維持管理の合理化、建物のロングライフ化などに配慮した。
 安全・安心においては、災害から児童・生徒を護る安全な施設とすると同時に、地域の防災避難拠点として十分に機能しうるものとした。防犯においても施設そのもののセキュリティを強化、近隣の人々の目によるセキュリティ効果にも配慮した“地域の目で見守る”施設計画を目指した。また、限られた敷地内でもグラウンドを確保した。

 施工は授業を継続しながらの工事となるため、移転スケジュールなどを含め生徒の負担軽減に配慮した。工事期間中は騒音振動や工事車両の通行など、近隣に対する負担を軽減するため、工期短縮や現場作業の軽減など、効率性を高める施工計画とした。
 これらを基本理念として校舎の形状は、現状よりも日照の障害を軽減するため、壁面を段状にセットバックし、圧迫感を抑制。接道部には歩道、緑地を確保、近接住宅への視線遮蔽、校庭には人工芝を採用した。
 施設の規模と全体像と施工効率についても、コンパクトで成型な平面計画、適正な天井高による階高を押えた断面計画、必要最小限の地下工事に努めた。
 メンテナンスと環境対策においては、清掃やメンテナンスが容易な構造・仕上材を選定し、自然採光・自然通風、屋上緑化による熱負荷軽減、バルコニーによる日射カットを図った。
 防災、防犯においては、地域の防災拠点として有効な装備を備え、セキュリティ管理しやすい事務室やグラウンドが見渡せる校務センターを配置。その他、ユニバーサルデザインの採用、シックスクール対策のほか、耐震性能を確保した。
 利用に当たっては、バランスよく配置した効率的な縦動線とし、利用し易いゾーニング計画となっている。



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