建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2013年9月号〉

【ZOOM UP】

広く市民の声を反映させた開西中学校が完成

―― 生徒にも分かりやすく工事内容のポスターを作成(日建連の特別賞を受賞)

滝川市立 開西中学校改築事業

完成予定パース

 滝川市立開西中学校の校舎等は、昭和36年にコンクリートブロック造の校舎として建設以降、鉄骨造の屋内体育館やコンクリート造の校舎の増築を経て現在に至っている。
 しかし、建築後50年以上が経過し、施設の老朽化が著しく、第2次耐震診断の結果、耐震基準値を大幅に下回っていることから早急な施設整備が必要となった。
 計画では、公募型のプロポーザルを実施し、具体的なプランニングを含めた技術提案により設計業者を選出し、基本設計においては、開西中学校PTAをはじめとする学校関係者や町内会役員等からなる「開西中学校改築検討委員会」による協議や、在校生によるワークショップを行い、広く市民の声を反映させた。
 その中で、コンクリートブロック造りの校舎棟と屋内体育館については、解体撤去の上新校舎を建築。増築の鉄筋コンクリート造の3階建て校舎については、耐震補強及び大規模改修工事を行うこととした。

新旧の校舎が融合する改築のシンボル「開西スクエア」 学校の今と昔を発信する導入空間「ときのみち」

 新校舎の特徴としては、コンパクトで一体感のある「大きな家」を基本コンセプトに、これまでの渡り廊下の分散型ではなく、校舎棟と屋内体育館が一体となったお互いの顔が見える学舎として、コンパクトで移動距離が短い、使いやすい建物とした。
 それにより、外壁面積の縮小による建設コスト削減や、暖房効率の向上による暖房コストの削減にも繋がった。
 将来的な地域開放も見据えて、1階を公共的なスペース、2、3階を生徒のスペースとし、1階には、隣接する図書コーナーや視聴覚室、音楽室の特別教室と連携を図ることで多目的な活動ができる、吹抜けの大きな空間である学校の中心「開西スクエア」を配置した。既存校舎の外壁と新しい校舎に囲まれた、歴史性と先進性が融合する改築のシンボル的な新しい交流スペースとなっている。
 また、学校の歴史や記念品、地域の情報等展示し来校者を導くアプローチ空間「ときのみち」を配置し、上部吹抜トップライトから自然光が降り注ぐ明るい空間となっている。
 2階、3階には、普通教室を南側に配置し、さらには廊下側もガラス張りにして見通しをよくするとともに、両面採光により明るくムラのない光環境が得られ、照明使用時間の削減にもなっている。
 変更した校舎西側の新しい校門から、校舎を集約することで生まれた空き地を活かした前庭「エントランス広場」は、40台の駐車スペースと200台の駐輪場を整備した、地域のイベントや集会にも利用できる多目的な広場空間となる予定。

学校に張り出した「工事の進み具合」

 また、生徒が新校舎に対して愛着や親しみをもってもらえるよう、工事の進み具合や予定表をユニークなイラスト付きで展示した。さらに建設現場の職人により技術家庭の授業で工具の使い方を指導する等、生徒に建設の現場を理解してもらうとともにものづくりの楽しさを知ってもらう取組が行われた。


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