建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2013年11月号〉
土木の日に寄せて
―― 北海道の安全・安心な国土づくり
 |
国土交通省 北海道開発局
局長 澤田 和宏 さわだ・かずひろ |
|
出身地 北海道 |
昭和54年3月 北海道大学工学部卒 |
昭和56年3月 北海道大学大学院工学研究科修了 |
昭和56年4月 建設省採用 |
平成13年1月 国土交通省道路局有料道路課有料道路調整官 |
平成13年5月 日本道路公団企画部計画調整課長 |
平成16年4月 国土交通省道路局企画課道路事業分析評価室長 |
平成18年7月 国土交通省四国地方整備局道路部長 |
平成20年7月 国土交通省大臣官房付 |
平成20年8月 国土交通省北海道局地政課長 |
平成22年8月 国土交通省東北地方整備局副局長 |
平成23年6月 内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)(兼)内閣官房東日本大震災復興対策室審議官 |
平成24年2月 復興庁宮城復興局長 |
平成25年8月 国土交通省北海道開発局長 |
|
北海道の自然災害と防災・減災対策
北海道は千島海溝周辺に位置し、今後30年以内に震度6弱以上の地震が発生する確率が60%を超えている地域があるなど、大規模な地震・津波が発生する可能性が高く、また、全国の活火山の約2割が存在しているなど自然災害の発生リスクが高い地域であります。特に冬期の北海道においては、雪害と地震災害といった複合的な災害が発生するおそれがあり、こういった特殊性も踏まえて災害に対する備えを日頃から進めておく必要があります。
近年、我が国では、時間100oを超える豪雨が増加傾向にあり、今年においても、北海道を含む日本各地での記録的短時間大雨情報の発令、また、9月の京都、滋賀、福井における大雨特別警報の発令などがあり、全国各地で浸水災害や土砂災害が繰り返し発生しました。北海道においても、今年3月の道東における雪害、融雪期の大雨による土砂災害、9月の台風18号による浸水災害などが発生しました。
北海道開発局では、こうした自然災害に備える防災対策として、根幹的な治水対策に取り組むとともに、津波対策や各種施設の耐震化、広域交通ネットワークの代替性・多重性確保、防雪対策、土砂災害防止、危機管理体制の強化など、東日本大震災の教訓をも踏まえて災害に強い社会の実現に向けて引き続き取り組みを進めるとともに、災害発生時の自治体支援として、被災自治体への迅速なリエゾン(現地情報連絡員)の派遣による情報収集・提供の実施や災害対策用機械の派遣などを行って参ります。
また、ハード・ソフトの様々な対策を組み合わせて被害を最小化する「減災」の考え方に基づく対策を進めていくため、社会資本整備と合わせて各種災害対応訓練の実施や地域防災力の強化を図る取り組みとして、市町村長との意見交換会(トップセミナー)やシンポジウムの開催など、自治体との連携強化と地域住民の防災意識を高める取り組みを積極的に推進して参ります。
加えて、高度経済成長時代に集中投資した社会資本ストックの老朽化が急速に進行しており、今後、維持管理費・更新費が増大していくと考えられることから、防災・減災対策とあわせて、計画的な補修・更新による予防保全対策の実施など、戦略的な維持管理を進めていくこととしています。
 |
R44厚岸町門静:冠水状況 |
国土強靱化
国土強靱化(ナショナル・レジリエンス(防災・減災))については、国民の生命と財産を守り抜くため、事前防災・減災の考え方に基づき、強くてしなやかな国をつくるためのレジリエンス(強靭化)に関する総合的な施策の推進の在り方について意見を聴くことを目的として、「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(以下「懇談会」という。)」が本年2月に内閣に設置されました。また、本年3月には、国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)に関し、関係府省庁が情報交換・意見交換を行い、連携を図るとともに、総合的な施策を検討・推進するため、「国土強靱化の推進に関する関係府省庁連絡会議(以下「連絡会議」という。)」が設置され、懇談会・連絡会議において議論・検討が進められているところです。
連絡会議において本年8月8日にとりまとめられた「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス(防災・減災))の推進に向けたプログラムの対応方針と重点化について」において、今後の進め方の中で関係府省庁では国土強靱化に関しメリハリをつけた平成26年度概算要求を行うこととされました。
 |
 |
豊頃町での排水作業状況 |
厚岸での給水支援活動状況 |
国土交通省は平成26年度予算概算要求において、防災・減災や老朽化対策等による国土強靱化を推進し、経済成長や生活向上の大前提である安全・安心の確保を図ることに重点を置いています。
北海道開発予算の概算要求においても「安全・安心な国土の形成」を重点事項の一つに位置づけており、災害に強い強靱な社会基盤を確立し、国民の命と暮らしを守るため、災害発生危険度の高い地域における効果的な予防対策、災害が発生した地域における再度災害防止対策を推進するとともに、災害時に拠点となる施設等の整備・耐震化や広域的な交通ネットワークの整備を推進するほか、社会資本の老朽化等に対応するため、地方自治体等とも連携を図りつつ、社会資本の戦略的な維持管理・更新を推進していきたいと考えております。
今年度においても北海道開発局では、国民の命と暮らしを守るため、インフラの安全性の徹底調査・総点検を行うこととしており、災害への対応力の強化も含め、ハード・ソフト両面から、計画的、総合的に老朽化対策、事前防災・減災対策を実施しています。
今後とも、地域の安全・安心を支えるべく、関係機関及び地方公共団体等と緊密な連携のもとこれまでの北海道の基幹的社会資本の整備・管理を通じて培った技術力、経験、機動力を最大限に活かし、災害に強い社会資本の整備と総合的な防災・減災対策の強化を図って参ります。皆様のご支援ご協力をよろしくお願いいたします。
 |
 |
災害対 |
応訓練 |
|