建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2014年11月号〉
土木の日に寄せて
―― 北海道の安全・安心な国土づくり
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国土交通省 北海道開発局
局長 岡部 和憲 おかべ・かずのり |
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昭和 55年 3月 北海道大学工学部卒業 |
昭和 55年 4月 北海道開発庁採用 |
平成 4年 4月 同北海道開発局帯広開発建設部治水課長 |
平成6年7月 同北海道開発局石狩川開発建設部千歳川放水路建設事務所長 |
平成9年6月 同北海道開発局建設部河川計画課流域対策官 |
平成 12年 12月 同北海道開発局建設部河川計画課河川企画官 |
平成 13年 1月 国土交通省北海道開発局建設部河川計画課河川企画官 |
平成 14年 4月 同北海道局水政課企画官 |
平成 16年 7月 同北海道開発局事業振興部都市住宅課長 |
平成 17年 4月 同北海道局参事官付企画調整官 |
平成 19年 10月 同北海道開発局建設部河川計画課長 |
平成 21年 7月 同北海道局水政課長 |
平成 24年 4月 同北海道開発局釧路開発建設部長 |
平成25年7月 同大臣官房審議官 |
平成26年7月 同北海道開発局長 |
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土木の日に寄せて、社会資本整備の意義と重要性及び近年全国で多発する大規模災害などを鑑み、北海道開発局における防災施設整備の現状及び国土強靱化に関する施策について取りまとめたので紹介する。
北海道は千島海溝周辺に位置し、今後 30年以内に震度 6弱以上の地震が発生する確率が 60%を超えている地域があるなど、大規模な地震・津波が発生する可能性が高く、また、全国の活火山の約 2割が存在しているなど自然災害の発生リスクが高い地域である。今年度においても、北海道各地で観測史上 1位の降水量が記録されるなど豪雨が頻発し、北海道で初めて大雨特別警報が発令されたほか、記録的短時間大雨情報や土砂災害警戒情報も多数発令され、礼文島や支笏湖周辺 (国道 453号等 )などで土砂災害が発生したところである。
また、冬期の北海道においては、雪害と地震災害といった複合的な災害が発生するおそれがあり、こういった特殊性も踏まえて災害に対する備えを日頃から進めておく必要がある。
北海道開発局では、こうした自然災害に備える防災対策として、根幹的な治水対策に取り組むとともに、津波対策や各種施設の耐震化、広域交通ネットワークの代替性・多重性確保、防雪対策、土砂災害防止、危機管理体制の強化など、「災害に上限はない」、「想定以上のものは起こりうる」という東日本大震災の教訓をも踏まえて災害に強い社会の実現に向けて引き続き取り組みを進めていく。
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豪雨によるR453被災状況(歩道崩壊、土石流による岩塊堆積) |
しかし、一方で自然の暴威は実施可能なハード対策の防災力を上回り、被害を防ぎきれない場合もある。北海道開発局では、ハード・ソフトの様々な対策を組み合わせて被害を最小化する「減災」の考え方に基づく対策を進めていくため、社会資本整備と合わせて各種災害対応訓練の実施や地域防災力の強化を図る取り組みとして、市町村長との意見交換会(トップセミナー)やシンポジウムの開催など、自治体との連携強化と地域住民の防災意識を高める取り組みを積極的に推進するとともに、災害時には、被災自治体への迅速なリエゾン(現地情報連絡員)の派遣によるニーズ把握、情報収集・提供の実施、TEC-FORCE(緊急災害派遣隊)や災害対策用機械の派遣などを行っている。加えて、高度経済成長時代に集中投資した社会資本ストックの老朽化が急速に進行しており、計画的な補修・更新による予防保全対策の実施など、戦略的な維持管理を進めて参る所存である。
国土強靱化については、昨年12月に制定された「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」に基づき、本年6月に「国土強靱化基本計画」が閣議決定されました。この基本計画では、国土強靱化の実効性を高めるため、国のみならず、地方公共団体や民間事業者を含めた関係者が総力をあげて取り組むことができるよう、地方公共団体が地域計画を策定できるとされている。
こうした状況を踏まえ、北海道では、「大規模災害から、北海道民の生命財産を守り、北海道の重要な社会経済機能を維持すること」、「北海道の強みを活かし、国家的規模の自然災害に対する被害を最小化すること」を基本目標に掲げ、地域計画の策定を進めているところであり、北海道開発局においても地域計画の基本目標も踏まえ、これまで実施してきた地域の安全・安心を支える防災・減災や老朽化対策等をより一層推進して参る。
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給水支援活動状況(江別市) |
具体的には、国民の命と暮らしを守るため、災害発生危険度の高い地域における効果的な予防対策、災害が発生した地域における再度災害防止対策、災害時における物流の拠点等の整備・耐震化や広域的な交通ネットワークの整備を推進することとしている。
なお、「安全・安心な国土の形成」は、平成 27年度の北海道開発予算の重点事項の一つに位置づけており、頻発する自然災害に備える防災対策の推進やハード・ソフトと一体となった総合的な防災・減災対策を推進する。
今後とも、地域の安全・安心を支えるべく、関係機関及び地方公共団体等と緊密な連携のもと、災害に強い社会資本の整備と総合的な防災・減災対策の強化を図っていくので、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げる。
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TEC‐FORCE活動状況(礼文町被災状況調査) |
TEC‐FORCE活動状況(美深町被災状況調査) |
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