建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2018年11月号〉
土木の日に寄せて
―― 北海道の安全・安心な国土づくり
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国土交通省 北海道開発局 局長
水島 徹治 |
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水島 徹治 みずしま・てつじ |
昭和60年3月 北海道大学大学院工学研究科修了 |
国家公務員上級甲種(土木) |
昭和60年4月 北海道開発庁採用 |
平成6年4月 同 北海道開発局旭川開発建設部忠別ダム建設事業所長 |
平成8年4月 同 北海道開発局網走開発建設部道路第1課長 |
平成10年4月 同 北海道開発局旭川開発建設部治水課長 |
平成11年7月 同 北海道開発局建設部河川計画課長補佐 |
平成13年4月 国土交通省北海道局水政課開発専門官 |
平成16年7月 同 北海道開発局事業振興部技術管理課防災対策官 |
平成18年4月 同 北海道開発局建設部河川計画課河川企画官 |
平成19年7月 同 北海道開発局旭川開発建設部次長 |
平成21年4月 同 北海道局水政課企画官 |
平成23年4月 同 北海道局企画調整官 |
平成24年4月 同 北海道開発局建設部河川工事課長 |
平成25年7月 同 北海道開発局開発監理部開発調整課長 |
平成26年4月 同 関東地方整備局常陸河川国道事務所長 |
平成28年4月 同 北海道局参事官 |
平成29年7月 同 北海道開発局事業振興部長 |
平成30年7月 同 北海道開発局長 |
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厚真川河道埋塞土砂撤去(厚真町) |
9月6日、北海道胆振東部を震源とする最大震度7の地震が発生し、土砂崩落等によって多くの方々の尊い命が失われました。亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、現在も避難生活を余儀なくされる方々に心よりお見舞い申し上げます。
今回の北海道胆振東部地震は、厚真町で震度7、安平町、むかわ町で震度6強を観測したほか、北海道から中部地方の一部にかけての広い範囲で震度6弱〜1を観測しました。これに伴い、北海道内全域で停電が発生するとともに、土砂崩落、液状化等によって甚大な被害が発生しました。
北海道開発局では、直ちに災害対策本部を設置し、所管施設の被害状況の把握を行うとともに、被災した自治体に、北海道開発局及び地方整備局のTEC-FORCE隊員を延べ1,852人、災害対策用機械を延べ2,062台・日を派遣(共に10月5日現在)し、被災状況調査及び道路啓開や河道埋塞土砂の除去等の応急対策支援を行いました。
また、厚真町を中心に発生した土砂災害に対し、新たに直轄で土砂災害対策を進めるため、10月2日北海道開発局室蘭開発建設部に「厚真川水系土砂災害復旧事業所」を設置して、効率的な実施に向けての体制強化を図りました。
この他、北海道は気候変動の影響により洪水リスクが高まっていること、また、千島海溝周辺に位置することから大規模な地震・津波が発生する可能性が高いこと、さらには全国の活火山の約2割が存在していることから火山噴火のリスクが高いことなど自然災害の発生リスクが高い地域であります。
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山腹崩壊(厚真町) |
北海道開発局では、ハード・ソフトの様々な対策を組合せて、今後起こり得る自然災害に備える防災対策を進めています。具体的には平時より根幹的な治水対策や津波対策、各種施設の耐震化、広域交通ネットワークの代替性・多重性確保、防雪対策、土砂災害防止、危機管理体制の強化など、「人の命が第一」、「災害には上限がない」という東日本大震災の教訓を踏まえて、災害に強い社会の実現に向けて引き続き取組を進めていきます。また、災害発生時には、被災自治体へリエゾンを派遣して情報収集や提供を行うほか、災害対策用機械やTEC−FORCEを派遣して早期の復旧に向けた支援活動を行ってまいります。
さらに、各種災害対応訓練の実施や地域防災力の強化を図るため市町村長との意見交換会やシンポジウムの開催など、自治体との連携強化と地域住民の防災意識を高める取組を積極的に推進します。
国土強靱化については、平成25年12月に制定された「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」において、国土強靱化に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、地方公共団体が地域計画を策定できるとされました。
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道路啓開打合せ(厚真町) |
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給水支援(安平町) |
このことを受けて、北海道が平成27年3月に「大規模自然災害から道民の生命・財産と北海道の社会経済システムを守る」、「北海道の強みを活かし、国全体の強靱化に貢献する」、「北海道の持続的成長を促進する」ことを目標とする「北海道強靱化計画」を策定し、北海道の強靱化に必要な施策を進めております。
また、平成28年1月に札幌市が「札幌市強靭化計画」を策定し、本年3月に釧路市及び美瑛町が「釧路市強靱化計画」、「美瑛町地域強靱化計画」をそれぞれ策定し、災害に強い都市の構築を目指した施策を進めております。また、その他多くの市町村においても、地域計画の策定が検討されております。
平成28年3月に閣議決定された「北海道総合開発計画」では、「強靭で持続可能な国土」を目標の一つに位置づけており、北海道開発局では、本計画に基づき、激甚化・多様化する災害への対応、我が国全体の国土強靱化への貢献、安全・安心な社会基盤の利活用を推進しております。
一方で、このような中、平成28年8月に北海道豪雨災害、本年9月に北海道胆振東部地震が発生し、全道各地に甚大な被害をもたらし、今後も大規模自然災害等の発生が懸念されます。これらを踏まえ、北海道総合開発計画の着実な推進と被災地の早期復旧を図るため、本年10月に北海道開発局復興・強靱化推進本部を設置しました。
今後も北海道の強靱化に向けて、関係機関及び地方公共団体等と緊密な連携の下、地域の安全・安心を支えるための取組を推進してまいりますので、皆様のご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。
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