〈建設グラフ1997年6月号〉
平成9年度 札幌市事業概要
【建設局】・【環境局】・【水道局】・【下水道局】・【交通局】
- 札幌市の9年度予算は1兆5,000億円
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札幌市の平成9年度予算は、一般会計が8,361億5,000万円、特別会計が3,337億1,500万円、企業会計が3,490億7,700万円の合計1兆5,189億4,200万円で、前年比3.4%の増加となった。
札幌市の財政は、政府が平成9年度を「財政構造改革元年」と位置づけ、一般歳出予算の伸び率を、平成元年度以来の最低水準に抑えていることが影響している。また市税収入の伸び率も、経済の見通しが依然として不透明であるため、特別減税の廃止によるプラス要因をのぞいても実質的な伸び率はきわめて低くなると予想されており、財源確保は依然として厳しい見通しとなっていた。
だが、地方交付税が政府の地方財政対策により、前年度計上額を上回るレベルで確保できたことから、やや積極型の予算編成となった。
これによって、市では「『北の理想都市サッポロ』の実現を目指し、第3次5カ年計画(2年目)事業を着実に推進」、「行政改革(dr運動)の積極的な推進と限られた財源の重点的配分」、「国民健康保険事業と地下鉄・交通事業の健全化への着実な推進」といった政策の柱を実現すべく、さらに踏み込む考えで、これに基づき「福祉・保健医療施策の充実」、「防災体制・防災対策の強化」、「21世紀の都市基盤づくり」、「総合交通・総合環境対策の推進」、「国際化・広域化の推進」、「経済の活性化」、「市民文化の創造と地域コミュニティの向上」などの重要施策を推進する方針だ。
〈各会計予算総括表〉
(単位 千円,%)
会 計 |
9年度予算額 |
8年度予算額 |
比較増減 |
増減率 |
〔一 般 会 計〕 |
836,150,000 |
832,500,000 |
3,650,000 |
0.4 |
〔特 別 会 計〕 |
333,715,200 |
302,975,200 |
30,740,000 |
10.1 |
|
土地区画整理 |
10,060,000 |
9,365,000 |
695,000 |
7.4 |
|
団地造成 |
14,834,000 |
5,616,000 |
9,218,000 |
164.1 |
|
駐車場 |
1,168,000 |
1,901,000 |
▲ 733,000 |
▲ 38.6 |
|
母子寡婦福祉資金貸付 |
194,000 |
195,000 |
▲ 1,000 |
▲ 0.5 |
|
国民健康保険 |
120,322,000 |
116,279,000 |
4,043,000 |
3.5 |
|
老人医療 |
175,882,000 |
157,972,000 |
17,910,000 |
11.3 |
|
基金 |
1,064,000 |
1,153,000 |
▲ 89,000 |
▲ 7.7 |
|
公共用地先行取得 |
8,931,000 |
9,331,000 |
▲ 400,000 |
▲ 4.3 |
|
砂防用地先行取得 |
998,000 |
928,000 |
70,000 |
7.5 |
|
交通災害共済 |
262,200 |
235,200 |
27,000 |
11.5 |
〔企 業 会 計〕 |
349,076,500 |
333,228,000 |
15,848,500 |
4.8 |
|
病院事業 |
26,329,000 |
25,220,000 |
1,109,000 |
4.4 |
|
中央卸売市場事業 |
1,896,500 |
1,704,000 |
192,500 |
11.3 |
|
交通事業 |
20,502,000 |
20,329,000 |
173,000 |
0.9 |
|
高速電車事業 |
132,337,000 |
127,973,000 |
4,364,000 |
3.4 |
|
水道事業 |
68,122,000 |
64,425,000 |
3,697,000 |
5.7 |
|
下水道事業 |
99,890,000 |
93,577,000 |
6,313,000 |
6.7 |
総 計 |
1,518,941,700 |
1,468,703,200 |
50,238,500 |
3.4 |
公 債 会 計 |
388,969,923 |
387,876,120 |
1,093,803 |
0.3 |
建 設 局
- 平成9年度建設局予算は1,200億円
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札幌市建設局の平成9年度予算は、一般会計が前年度比1.8%減の1,091億8,400万円、特別会計は前年度比8.3%減の108億1,200万円となり、トータルで前年度比2.4%減の1,200億円となった。
部局別に見ると、管理部所管分は37億3,800万円で1.1%減、用地部所管分は18億3,300万円で前年度と同額、土木部所管分は774億1,100万円で3.1%減、道路維持部所管分は262億円で1.9%。特別会計は、公共用地先行取得会計が87億3,100万円で3.4%減、砂防用地先行取得会計は9億9,800万円で7.5%増、駐車場事業会計は約11億円で40%減。となっている。
各部局の主要事業は、管理部では、地下鉄南郷7丁目駅周辺の駐輪場整備やロードヒーティングを設置。また、札幌市北口地下駐車場は今年度中に完成する。
用地部は、26路線、2河川で111件の残地買収、代替用地61,700uの先行取得、砂防用地として南の沢川2,351uと19件の移転補償を行う。 土木部では、道路の新設改良事業として、a級舗装が道道札幌当別線など24路線、舗装改良は南3条線など10路線、生活道路は南13条中央線など160路線。
交通安全施設整備事業としては、歩道整備が道道西野真駒内清田線など25路線、歩道改良は北4条線など22路線、交差点改良は6カ所、標識設置21基、照明灯設置42基、駐輪場は地下鉄平岸駅など2カ所、橋梁歩道は厚別鉄北橋など2橋。
改良事業では、道路改良が道道札幌当別線など49路線、電線類地中化は西6丁目線など3路線。
橋梁は、新設が真駒内南橋など5橋、架換は9号新川橋なと25橋。
街路改良は北大構内アンダーパスなど53路線、電線類地中化は北8条通など4路線、立体交差新設は星置通の1カ所、橋梁新設は大曲橋など7橋、架換は発寒橋など6橋、舗装新設は追分通など22路線、自転車歩行者専用道新設は札幌駅北口1号地下舗道など3路線を整備する。
河川整備事業は、篠路拓北川、東屯田川など48河川・6排水路6.8q。また、流域貯留浸透施設は5小中学校に整備する。
道路維持部は、坂道ヒーティング4カ所、歩道橋ヒーティング改修2カ所、ヒーティング改修2カ所と、ヒーティング維持管理。
舗装等整備は、新認定舗装9q、舗装改良133.1q、側溝舗装17q、橋梁補修6橋となっている。土木技術センター研究費は41.2%減の1,000万円。
除雪対策費は、流雪溝整備、融雪槽整備、雪堆積場整備、流雪溝・融雪槽維持管理、降雪情報システム整備、冬季道路情報システム運営、融雪施設購入資金貸付等など。また、土木事業所は豊平区の分区もあり、新築が1区・増築1区・改築3区を予定している。
環 境 局
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▲中島公園再整備構想鳥瞰図 |
- 平成9年度環境局予算は508億円、緑化推進部は232億円
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平成9年度札幌市環境局予算は、前年度より5.5%ダウンの508億円となった。清掃部は前年度比11.7%減の252億円、緑化推進部は1.7%減の232億円、環境保全部は8億5,449万円、円山動物園は30%増の14億8,523万円となった。
清掃部は発寒破砕工場の継続事業の他、今年度中に山本処理場が完成する。また、今年度からは第5清掃工場建設にも着手する。
緑化推進部は、モエレ沼公園など継続中の公園の他、新規に49カ所で造成に着手する。新規・継続を合わせるど事業ヶ所は72カ所に上る。また、9年度中に49公園の完成を予定している。公園造成事業の詳細な内訳を見ると、街区公園40カ所、地区公園3カ所、運動公園1カ所、近隣公園6カ所、総合公園3カ所、特殊公園1カ所、都市緑地16カ所、緩衝緑地1カ所、緑道1カ所となる。
個性あふれる公園整備事業として、20公園を対象に、地域の特性にマッチした新たな魅力ある公園として整備する。既設公園については、平成7年度の大雪による施設の損壊の一部補修が終わっていない所や、老朽化した公園のメンテナンスを行う。
主要公園について見ると、中島公園再整備は、今年7月にオープンする音楽専用ホール周辺の整備と鴨々川の水遊び場整備を行う。川下公園温水利用型施設整備は、川下公園内に約3,000uの温水を利用した施設の建設を9年度から10年度までの継続事業で行う。厚別公園競技場は、第1種公認陸上競技場としての基準に合わせたフィールド部分の改修と、jリーグ基準に合わせたサイドスタンドの改修を9年度から10年度までの継続事業として行う。
その他、公園用地取得は、新規に28カ所20.6haの用地を取得する。
環境保全部は、環境本の総合計画となる環境基本計画を策定している。その他、環境フェアを開催、環境保全アドヴァイザーの派遣、家電、自動車業界へのフロン回収機器貸与、環境アセスメントの評価対象項目に関する調査検討、環境基本条例や基本計画の啓発のための市民参加型シンポジウムを開催する。また、今年は札幌市とミュンヘン市の姉妹都市提携25周年となり、これを記念して国際環境シンポジウムを開催する。
円山動物園は、この6月から(仮称)動物園センター建設に着手する。
水 道 局
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▲藻岩浄水場 |
- 平成9年度水道局予算は681億円
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札幌市水道局の平成9年度水道事業会計は、前年度5.4%増の681億円となった。今年度は新5ヵ年計画の2年次目となり、「21世紀の札幌にふさわしい水道の構築」を基本に「災害に強い水道の実現」や「水道システム機能の維持向上」、「市民サービスの充実」をめざす。また、第3次施設整備事業もスタートする。
第3次施設整備事業は、浄水場の整備事業費として31億1,000万円が計上された。白川浄水場の第3浄水場が8年度に完成したことから、導水ポンプの増設、浄水池の新設を行う。また藻岩浄水場の大規模な改修にも着手する。この改修は、9年度〜12年度の4カ年にわたり、総額87億円を見込んでいるが、白川浄水場からのバックアップ体制を整備した後に施設の半分を休止した上で、本格的な改修に取り組む予定だ。また、浄水井の新設や沈でん池の改修も実施する。
配水施設の整備事業費は、16億6,600万円を計上している。内訳は、北の沢第3配水池の新設、藻岩下第3配水池の新設等の高区配水施設に12億7,200万円。清田区役所への緊急貯水槽新設に1億4,100万円。ブロック配水施設の整備(5カ所)に1億2,700万円。
配水管整備事業は、幹線約6.4q、枝線約45qの合わせて約51.4qを布設する予定で、62億5,300万円を計上した。また、老朽化した藻岩第一幹線をパイプ・イン・パイプ工法で耐震管路へ更新し、大地震などの災害時にも飲料水や消化用水を確保出来る管路整備費も行う。
下 水 道 局
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▲下水道科学館 |
- 平成9年度下水道局予算は約999億円
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札幌市下水道局の平成9年度下水道事業会計は、前年度比6.7%増の998億9,000万円で、うち建設事業費は前年度比1.5%増の345億円となった。
建設事業費の内訳は、管渠事業0.96%増の196億円、ポンプ場事業2.676%増の28億9千万円、処理場事業0.875%増の113億1,000万円、下水道庁舎建設事業は新規で11億円となっている。
管渠事業では、市街化区域における未整備地区の解消のための普及促進事業として、新規に北郷、手稲山口地区などの整備に着手する。浸水対策(アクアレインボー計画)事業は中の島、新琴似地区などの雨水拡充管の整備、山鼻地区と篠路住宅団地で雨水貯留浸透事業を進める。雪対策事業は、8年度に供用した創成川融雪管の融雪水を循環利用する「創成東流雪溝」への送水管を完成させる。また、新規に琴似流雪溝への送水管整備、北郷・月寒東流雪溝への送水管整備のための測量・土質調査などを行う。処理水の有効利用策としては、屯田川東の“せせらぎの回復”のため、創成川処理場の高度処理水(砂ろ過)の送水管の整備、汚泥処理の集中化に向けた新川処理場と西部スラッジセンター間、及び篠路拓北処理場と創成川処理場間等の汚泥圧送管の整備に着手する。地震時の下水道施設の強化として、ループ化(伏古川処理場と新川処理場間)を進めると共に、手稲処理場と西部スラッジセンター間の各種配管の防護と維持管理のための管廊の建設に着手する。管渠延長は72q。
ポンプ事業では、前年度に引き続き平成11年4月の運転を目指して「手稲中継ポンプ場」の増設を行うとともに、既存施設の耐震診断を行う。茨戸西部中継ポンプ場は、処理区切り替えに伴う改造などを行う。
処理場事業では、前年度に引き続き閉鎖性水域である茨戸川の水質保全対策のため、9年度完成を目指して創成川処理場で高度処理施設を増設。老朽化した汚泥処理施設の再構築のため、西部スラッジセンターの脱水施設の新設と焼却施設の増設を進める。また、東部処理場建設に向けての用地取得、厚別処理場の機器設備の更新、流雪溝への送水施設と関連処理場における汚泥圧送施設の整備、伏古川と豊平川処理場の耐震診断、手稲処理場と手稲中継ポンプ場にて光ファイバーケーブルの布設を行う。
一方、今年度から下水道局移転に向けて、局長者の建設に着手する。移転先は札幌市豊平区豊平6条3丁目の再開発地区で、平成10年秋の完成を目指す。
交 通 局
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▲地下鉄東西線(琴似・手稲東間)建設計画概要図 |
- 今年で70周年を迎えた市営交通
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札幌市交通局の9年度予算は、事業別に見ると高速電車事業(地下鉄)は収入が463億7,000万円、支出は709億2,400万円、軌道事業(路面電車)は収入17億6,500万円、支出18億5,500万円、自動車運送事業(市営バス)は収入154億4,400万円、支出154億2,500万円となり、施設整備のための先行投資などにより全体には支出超過となっている。
だが、市営交通は今年で開業70周年を迎え、この4月の料金改定したこともあり、一層の輸送サービス向上のための施設整備に力を入れていく方針で、今年度は積極型予算となった。
主要事業は地下鉄東西線の延長工事で、土木本体工事は今年度中にほぼ終了する。すでにすすめられているトンネル内軌道工事のほか、駅舎の建築に着手する。また、通信、受変電、電力線などの設備工事も本格化する予定だ。
地下鉄東豊線豊平公園駅では、地下連絡通路を新設するための実施設計を行う。これは同駅に隣接する道立体育センターのイベント来場者の利便性向上が目的。
地下鉄南北線では、新型車両の導入を進める。計画では5000形車両を4編成(1編成6両)更新する方針で、これにより新型車両は11編成となり更新率は50%になる。新型車両の特徴は、車内電光案内板、女性の声による車内自動放送、4ドア、車両連結部の転落防止装置などが装備されている点。
またラッシュ時の混雑が著しい真駒内駅の改良工事を行い、改札口の増設、1階部分の増床、エスカレーターの新設を行う。
その他、老朽化した改札機17台、券売機14台、精算機6台をカード対応機に更新する。
防災対策としては、7年度から継続している高架部落橋防止工事のほかに柱の補強工事が行われる。
軌道電車事業では、軌道改良、事業所構内入庫線分岐路の改良、電車線区分開閉器の更新、車両更新を行う。また、軌道除雪車であるササラ電車4両のうち1両を更新する。
自動車運送事業では、地下鉄東西線の延長に伴い、北光営業所を移転し(仮称)新川営業所として再整備する。また、小屋式待合所1基、上屋式待合所12基を整備する。車両は老朽化した20両を更新する。
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