福岡農林事務所管内は、8市13町1村からなり、福岡市を核とした都市圏を形成。県内消費人口の44%を占めている。農業は15,000haの耕地(県全体の1/6)で米麦作、園芸及び畜産を中心に展開。農業粗生産額は398億円(同約1/6)で、従来から身近な消費者の需要に見合った、都市近郊での有利性を活かした収益性の高い農業が営まれてきた。
管内のほ場整備率は78.1%で概ね県平均と同じだが、都市近郊という立地条件から農地に対する資産意識が高いこと、平野部の優良農地の整備が概ね完了したことなどから、ほ場整備事業の実施要望が減少している。だが、防災事業は管内に老朽ため池が多く、今後とも要望が高まることが予想される。
また、近年は「中山間総合整備事業」や「地域用水環境整備事業」等の都市との交流促進、自然環境・農村景観の保全、水辺空間の創造などを目的とした事業も実施している。
主要事業
<県営中山間地域総合整備事業・福吉地区(二丈町)>
本地区は、北側の海岸線に沿って交通機関や市街地が発達した平坦地と、南に向かって徐々に急峻な地形をなす中山間部とからなっている。
農業では、認定農業者や地域おこしグループの活動が盛ん。しかし、平坦部ではソフト面も含んだ基盤整備が進んでいるものの、中山間部では耕作放棄地や荒廃地が目立ち、整備が遅れている状況にある。
そこで、地区の豊かな自然や伝統ある歴史文化、点在する観光資源等を生かして都市との交流を図り、ゆとりと活力のある農業農村づくりを目指すのが本事業の目的である。
事業の中心となるのは不整形、狭小で作業効率が悪いほ場の整備だが、他にも用排水路や農道の整備、活性化施設の建設なども行う。
<県営中山間地域総合整備事業・脇山地区(福岡市)>
本地区は福岡市の最南部、室見川の源にあり、市内でも数少ない自然環境の豊かなところである。
しかし、平坦部に比較して、生産基盤や生活環境基盤の整備の遅れが目立ち、農業従事者も高齢化が進み、地区の活力が低下しつつある。
そこで、農村地域住民の創意工夫と、農業農村の総合的な基盤整備が不可欠であることにより、本地区を事業対象地域として設定した。
地区の活性化構想としては、都市近郊の優位性を活かし、定住環境整備をその理念に置き、農業用用排水・農道・ほ場整備などの農業生産基盤、農業者の研修や交流の場としての活性化施設の整備を行う。 |
▲脇山地区現況
|