〈建設グラフ1999年7月号〉

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2002年W杯サッカーが茨城にも上陸
鹿島アントラーズのホームグラウンド
『カシマサッカースタジアム』増築が着々と進行中




 2002年6月に、韓日で共同開催される世界のスーパービッグイベント『ワールドカップサッカー』がいよいよ3年後に迫った。この4年に1度しか見ることができないスーパーイベントには毎大会、観客動員数、テレビ視聴者数を含めた延べ人口35億人もの人々がなんらかの形で参加し、1ヶ月の間その熱狂的な感動に浸る。これほどの地球的規模のものは、この大会を置いてほかにない。
 その競技開催地のひとつとして茨城県も選ばれているため、今回の増築工事は、既存のフィールドと観客席を活用し進めることで、現スタジアムを4万人規模の新たなスタジアムへと再生させるものだ。
 特にこの工事は、Jリーグ開催と併行して進める日本初の工事施工となっているため、実際に現場関係者からも「工事の施工時間と観客が入る試合時間との入れ替わりは大変に気をつかう」といわしめるほど慎重な工程を消化している。
 現在は、既設スタンドを含む4階以下の鉄骨鉄筋コンクリート部分を建設中だ。
 二層式スタンド部の増築による客席の増設が完成すれば、15,870人から41,800人もの観客が収容可能となる。
 また、「観客の利便性の向上」を目的として、身体障害者席の増設をはじめ、南側スタンドの大型映像装置新設、トイレの増設ほか、連続したコンコースによりスムーズな動線を確保することになり、観戦がしやすくなる。
 改修内容はこのほか、メインスタンドとバックスタンドとの入れ替えや、国際試合に対応した関連の諸室も整備する計画となっている。
 「景観デザイン」は、楕円形のスタジアムをかもし出し、ウェーブした屋根などの曲線を持つ外観は“地域の核づくり”の象徴として、人々に愛される建物となる。
 “サッカー”といえば茨城には誇るべきJ1リーグチーム「鹿島アントラーズ」がある。
最近のJ1リーグ前期はあまり振るわなかったが、これまでのJリーグを盛り上げてきた最大の立役者といっても過言ではない。
 試合の当日には、およそ4000台もの自動車がいっせいに行き来するという凄まじい人気ぶり。現在、スタジアムの通りに出るまでの各道路をワールドカップ対策として整備中だが、狭い一本道が多いため想像を絶する混雑に巻き込まれるというから驚きだ。
 そこで、利用されるのが公共交通機関だが、最寄りの駅となる鹿島臨海鉄道の「カシマサッカースタジアム前」駅はまだ、試合開催日のみの停車となっている段階で、スタジアム周辺の波及効果を含めたこれからの発展性を期待していきたい。

現スタジアム