建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年2月号〉

シリーズ・コシヒカリのふるさと
新潟県の農業農村整備


変化に富んだ柏崎・刈羽地域の期待される多様な事業展開

柏崎農地事務所


▲整備が進む刈羽平野

 柏崎農地事務所管内は、新潟県の中央部のやや西に位置し、日本海に面した海岸部とこれに続く平野部を丘陵部が囲む盆地地形となっており、さらに内陸部には小国盆地が開けている。
 西に霊峰米山を擁し、北部海岸部は、海上遙かに佐渡を望む佐渡米山弥彦国定公園に指定されている景勝地の海岸線を有するとともに、管内の境界は山地丘陵地であり、海岸、平野、山間地からなる多様な自然・地理的条件が特徴である。
 古くから水陸交通の要衝と知られ、近年は地域の中核的な都市として躍進が著しい柏崎市を中心にそれを取り巻く刈羽郡の1市3町1村の総面積552.92平方キロメートルを有しているが、大半は山地原野等が占め、耕地面積は7348haで13.3%にすぎない。平地、山間地ともその殆どが水田の水稲単作地帯である。
 当地域の中小河川は、平野部においてはいづれも流路の蛇行が著しく、流域の開発による流量の増加とともに、河川の河口での堆砂による断面狭小や外水位の上昇による湛水被害が頻発する状況である。
 また、主要な用水源である鯖石川、鵜川及び渋海川の3水系の河川は、いづれも流域が浅いため流量が乏しく慢性的な用水不足を生じており、かんがい用水を河川より得ることが難しい地域では、溜池に依存しなければならなかった。
 いわゆる、「降れば湛水、照れば渇水」が地域の特徴である。
 近年までの管内の農業農村整備事業は、これら土地条件整備のための基幹的事業である湛水防除事業をはじめとする防災事業が大きなウェイトを占めていた。
 一方、丘陵山地部では地形が急峻で、地質が脆く厳しい自然条件下にあることから、土砂流や地すべりなど山地災害などの発生する危険地帯が多く、災害の未然防止を図るための地すべり対策事業を実施している。
 また、本地域の農業は、水稲を基幹とし野菜、花卉、果樹、畜産等の複合経営を営んでおり、本地域を縦断する高速自動車道を活用し、消費地の拡大と産地の活性化を図るために物流基盤整備としての広域営農団地農道整備事業を実施している。
 今後は、平野部においてはかんがい用水確保のため、平成9年度より実施している国営農業水利事業で設置予定の3ダムを水源としてのかんがい排水施設の整備を進めながら、農業の体質強化を図るための基礎的条件となるほ場整備を実施し、高生産性農業が可能な水田の大区画化、大豆等の畑作物や園芸に対応した汎用化を進める生産基盤整備を積極的に推進し地域農業システムの確立を図る。
 また、中山間地域においては環境と生態系保全などの多面的機能を持った地域農業を維持しながら、快適で美しい田園空間を形成し、地域住民や訪れる多くの人々にゆとりとやすらぎを提供できるよう中山間地域総合整備事業や農村振興総合整備事業などによる農村環境整備を推進する計画である。


▲小国盆地の自然環境とマッチした揚水機場