建設グラフインターネットダイジェスト
〈建設グラフ2001年12月号〉
シリーズ・コシヒカリのふるさと
新潟県の農業農村整備 |
新津市東部で湛水被害の防除
新津農地事務所
新津農地事務所の所管地域は、阿賀野川上流・福島県境の山岳山間地帯から阿賀野川沿いに東蒲原全域と阿賀野川、小阿賀野川、信濃川に囲まれた蒲原平野の一部に及び、その面積は1,400q2。管内では、稲作を中心とした農業が展開されている。耕地面積は10,752
haで、新津地区(新津市、小須戸町)4,168ha、南部地区(五泉市、村松町)5,350ha、東蒲原地区(津川町、鹿瀬町、上川村、三川村)1,234haの3地区に区分される。当事務所が進める主な事業は次の通りである。
<県営湛水防除事業(小規模)新津東部地区・新津東部第2期地区>
この地域は新潟市の南約15kmに位置。周囲を阿賀野川、小阿賀野川、能代川の3河川に囲まれた、およそ10平方キロメートルの地域である。地区内は専業・第1種兼業農家比率が37%と高率で、農業経営への意欲が高い。
地区内には磐越自動車道も走り、近年は新潟市のベッドタウンとして宅地開発が急速に進行している。このため、多くの農地転用が行われ、これらに伴う都市排水路網及び流末排水路の改良整備が平行して実施され、流出量が大きく増加した。加えて、地盤沈下の進行により流域内の水田は最大30pの沈下が見られ、排水機能が低下。洪水時には既存の基幹排水施設では排除能力不足となり、低位部農地を中心に湛水被害が生じている現状だ。
そこで、湛水防除の対策として排水機場2箇所の改築と排水路3路線の改修を実施。農業経営及び住民生活の安定を図るのが本事業の目的である。
<広域営農団地農道整備事業・阿賀野川左岸地区>
この地域は新潟県のほぼ中央部東側に位置。古来より“南部郷”と通称された一団地である。団地内の営農は稲作が中心だが、最近では園芸や畜産を取り入れた複合経営も安定化しつつある。経営規模は1.8haと県平均(1.4ha)を上回っており、団地内の各市町村、農協、土地改良区等の農業振興に対する意欲も強い。
当団地は県内の主要消費地に近接しており、関越自動車道の全通で首都圏市場との時間距離が大幅に短縮。農産物の流通面では好条件を有している。こうした条件を活かし、農産物の流通を円滑にし、農業生産の近代化、地域農業の組織化及び広域的な農業施設の設置等を可能にするためには、基幹農道の新設・整備は重要課題だ。
本事業は、こうした基幹農道整備の一環として、村松町・安出を起点とし能代川沿いに下り、新津市・大関(御神橋付近)で新津・村松線に接続する1号線(延長12,200
m)と、五泉市・一本杉を起点とし新津市・大関で1号線に接続、新津丘陵を横断し、新津市・津島で国道403号線に連絡して新潟及び長岡方面に至る2号線(延長7,805m)を整備するもので、本年度に完成する予定である(絵地図参照)。
新津農地事務所では、地域の特性を生かし、活力ある農業を実現するための基盤整備を推進している。
▲新津市東部の湛水状況(S53.6)