寄稿
【管内の概況】
宗谷支庁管内は、北海道の最北に位置し、東部はオホーツク海、西部は日本海、南部は上川・留萌及び網走地方に接し、北部は宗谷海峡を経てサハリンを望み、さらに日本海には利尻島及び礼文島があります。
国立公園やラムサール条約登録湿地などを有する雄大な自然に恵まれた地域で、サロベツ原野をはじめとする多くの原生花園や宗谷丘陵、利尻富士など風光明媚な地を有しており、春から夏にかけて多くの観光客でにぎわいを見せます。
総面積は、4,050.76kuで、全道の約5%を占め、長崎県の面積に匹敵しており、管内は1市7町1村からなっています。人口は平成17年度の国勢鯛査によると75,668人で、全道の約1.3%を占めており、人口密度は約18.7人/kuで、全道平均の71.8人/kuよりかなり低くなっています。
気候は年平均気温7℃前後で、夏は涼しく(20℃前後)、冬は内陸部に比べ比較的温暖(マイナス4℃前後)となっています。また、日本海側とオホーツク海側とでは、季節風、流氷などの影響もあって若干の差が生じ、枝幸町に比べ、稚内市の方が寒暖の差が小さく、風が強いなどの違いがあります。
【宗谷の水産業】
管内の水産業は、宗谷岬を境に日本海、オホーツク海を有する恵まれた立地条件を背景に管内の基幹産業として位置づけられ、関連産業の発展にも寄与しています。
オホーツク海側の漁業は、ホタテ貝を中心に、毛ガニやサケ、マスなど、また日本海側の漁業は、全国的にも有名なリシリコンブを中心に、ウニ、ホッケなどが主要魚種として漁獲されており、これら魚介類の安定供給のため、資源管理型の育てる漁業を推進しています。
管内の漁業者(組合員)数は約2千6百人で漁業生産高は数量で約21万トン、金額で約360億円となっています。これは、沿海12支庁の中では生産量で2番目、生産額で4番目と上位にあります。(平成18年度)
しかし、水産物の輸入や燃油価格の高騰、後継者の減少などから、漁業経営は依然として厳しい状況にあります。
このような中、当支庁としては水産基本法や北海道水産業・漁村振興条例の下、沿岸海域の高度利用を基本とした水産基盤の整備、漁業秩序の維持、漁業協同組合の体質強化、後継者対策などに重点的に取り組むとともに、日本海側ではニシン、ヒラメ、ウニの種苗放流や、コンブ養殖漁業、オホーツク海側ではホタテやサケの種苗放流など地域が行う、「つくり育てる漁業」の取り組みを積極的に支援しています。
【宗谷の水産基盤整備事業】
当支庁は、水産物の安定的な供給を図るため、水産資源の持続的利用と良質な水産物を安全で効率的に供給する体制を整えるための漁港の整備、水産動植物の生育環境となる漁場の整備を推進しており、平成20年度水産基盤整備事業は漁港事業が12地区25.2億円、漁場事業が6地区5.6億円の合計18地区30.8億円を執行しています。
漁港の整備は、漁船の出入港時や漁獲物の陸揚げ作業時間の短縮を目的として、航路・泊地の浚渫と防波堤整備を行い港内の水深や静穏を確保するほか、離島では、強風時での漁獲物陸揚げ作業の環境改善を目的として、屋根付防風雪施設や防風柵の整備を進め、地域水産物供給基盤整備事業を8地区、広域漁港整備事業を2地区、漁村再生交付金を2地区で行っています。
一方漁場の整備は、全国的にも有名なリシリコンブや、管内で約250tの水揚げ(道内の総漁獲量の約30%)があるウニの増産を図ることを目的として、地先の未利用海域に着定基質等を投入し漁場を造成する地域水産物供給基盤整備事業を4地区で行っているほか、管内で約40,000tの水揚げ(道内の総漁獲量の約25%)があるホッケをはじめカレイやビラメ等の増産を図ることを目的として、沖合いの未利用海域に魚礁漁場を造成する広域漁場整備事業を2地区で行っています。
当管内は住民の多くが水産業に関連する仕事に従事していることから、これら水産基盤整備事業の実施により、生産性が向上することで漁業経営の安定のみならず地域経済の活性化につながるものと考えております。