建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年9月号〉

寄稿

特集・日本道路公団北海道支社 No.2

旭川工事事務所管内の事業概要 ―日本最北の高速道路建設―

日本道路公団北海道支社 旭川工事事務所長 桑原 正 氏

桑原 正 くわばら・ただし
昭和22年9月14日生まれ
県立前橋工業高校昭和41年卒、群馬県出身
昭和41年4月 日本道路公団入社
昭和60年2月 札幌建設局札幌工事事務所工務課長
平成元年7月 仙台建設局秋田工事事務所秋田工事区工事長
平成 3年7月 仙台建設局秋田工事事務所秋田南工事区工事長
平成 5年2月 本社技術部道路技術課長代理
平成 7年7月 東京第三管理局技術部保全第一課長
平成10年7月 東京第三管理局保全部保全第一課長
平成12年7月 北海道支社室蘭管理事務所長
平成13年4月 北海道支社旭川工事事務所長
<担当区間>
旭川工事事務所は、北海道第2の都市で道北地域の拠点となる旭川市を中心とした高速道路網の整備として、昨年10月に開通した道央自動車道旭川鷹栖〜和寒間29.3kmの延伸となる北海道縦貫自動車道の和寒〜名寄間38kmの建設事業と、道都札幌市を結ぶ高速道路の整備として道央自動車道深川〜旭川鷹栖間26.7kmの4車線化事業を合わせた64.7kmを担当している。
旭川市は北緯43度46分に位置し、初雪・終雪の平均値は10月22日と4月30日である(冬日は160日〜180日)。このため11月から4月の6ヶ月間は冬期工事休止期間としている。5月から10月の稼動期間の工事は、一年分の仕事を半年で実施するほどの厳しい環境で工事の進捗を図り冬期に備える状況にある。また農業用水の切替えや河川内工事が渇水期(冬期)施工となるため、-30℃となる厳冬期にこれらの構造物を施工しなければならない。
【深川〜旭川鷹栖間(26.7km)の4車線化事業】
<路線概要>
当該路線は、石狩平野北端に位置する丘陵部、平野部、石狩川の横過により、上川盆地を隔てる神居コタン山稜の山間部をトンネルで通過し、旭川市西側や鷹栖町に至る。平成11年1月8日に4車線化の事業が認可され、当区間の中間部約4.6kmを認可から約10ヶ月で完成させた。また、平成12年度には旭川鷹栖に接続する区間約0.8kmを旭川鷹栖〜和寒間と同時に開通させ、交通混雑期には2万台を超える交通量であった旭川鷹栖ICの渋滞緩和に寄与している。
<進捗状況及び課題>
本年度については3区間13.1kmが完成する計画であり、これにより当区間の約8割(20.8km)が完成4車線となる。残り5.9kmはトンネル区間で現在約35%の進捗で順調に工事が進められている。4車線化工事は供用部分からの出入りが生じることと、中央分離帯施設の施工やi期線の改良に伴う交通規制を長期間にわたり実施することから、十分な安全対策と細心の注意を払い工事を実施していくことが最大の課題となる。
【和寒〜名寄間(38km)】
<路線概要及び進捗状況>
天塩川流域の名寄盆地を、旭川・稚内を結ぶ国道40号と並行しながら北上し士別市の南側に士別ic(仮称)を設け水田地帯を通過し名寄icに至る。和寒〜士別間(16km)は、平成11年度から工事に着手し土工・橋梁工事が全区間で展開している(土工進捗は約42%)。この区間は丘陵部傾斜地形の山腹を通過し、国道40号と近接することから景観配慮と自然を生かした北海道らしい道路検討を行った。土量配分と効果的なのり面保護の観点から、切土のり面勾配に1:1.80を採用している。また、傾斜地形での自然林等の保存とともに、北海道らしい道路として約7kmの区間で上下線をセパレートさせ中央分離帯幅10〜15mを確保し、白樺やカラマツ等の高木を自然の状態で残している。
士別〜名寄間(22km)は、主に水田や畑作の圃場整備された区間を盛土構造で通過する区間と2箇所の丘陵を切土構造で通過する区間により構成され、起点側には全国第4位の流路延長である天塩川があり約500mの橋梁で横過する計画である。この区間は、これまでに現地測量調査にもとづく道路構造の検討を終え、今後は地元協議、詳細設計、幅杭設置や橋梁設計を進めていく予定である。
(本文中の進捗状況等は平成13年5月末現在)
▲東丘工事 ▲剣淵北工事 ▲江丹別トンネル工事

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