建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2001年9月号〉

寄稿

特集・日本道路公団北海道支社 No.2

帯広工事事務所管内の事業概要

日本道路公団北海道支社 帯広工事事務所長 川添 卓司

川添 卓司 かわぞえ・たかし
昭和32年 6月27日生まれ、九州大(土木工)昭和55年卒、熊本県出身
昭和55年 4月日本道路公団入社
平成 3年 4月高松建設局技術部工務課長代理
平成 6年 2月東京第二建設局高崎工事事務所高崎工事区工事長
平成 7年11月本社建設第二部工務第二課長代理
平成 9年11月本社調査役(建設第一部工務第一課付)
平成10年 7月本社調査役(高速道路部高速道路工務課付)
平成13年 4月北海道支社帯広工事事務所長
帯広工事事務所は昭和59年7月1日に調査事務所として発足し、昭和61年7月1日に工事事務所に名称変更した。その後、平成10年7月1日に工事事務所・管理事務所の組織統合を行い、建設・管理が一体となった地域との連帯強化や、管理区間の経験を迅速に設計・工事にフィードバックするなど、建設・管理両部門を有機的に結合した体制をとり、現在に至っている。
<担当区間>
当事務所は、北海道横断自動車道黒松内釧路線のうち、勇払郡占冠村から上川郡清水町までの44km、中川郡池田町から釧路市までの85km及び黒松内端野線の中川郡本別町から北見市まで93kmの建設並びに上川郡清水町から中川郡池田町までの50.3km(道東自動車道・平成7年10月30日開通)の管理を担当している。
<路線概要及び進捗状況>
占冠〜清水間のうち占冠〜トマム間については、平成11年4月に事業概要説明を行い、自然環境に関する調査や現地の地形測量及び地質の調査を実施し、道路構造の検討を進めてきた。今年度は引き続き必要に応じ現地の測量調査を実施しながら、道路構造の確定に向け、関係する方々との地元協議を進める予定。また、トマム〜清水間については、平成10年7月に事業概要説明を行い、測量・調査及び道路構造の検討を進めてきており、現在道路構造の確定に向け関係する方々との地元協議を進めている。今年度は了解が得られたところから巾杭を設置し、順次用地取得に着手予定。
池田〜本別間、本別JCT(仮称)〜足寄間の32kmについては、平成6年5月に事業概要説明を行い、その後順次測量・調査・設計を進め、現在ほぼ用地取得を終えた状況である。工事については、平成9年度の橋梁下部工事発注を皮切りに順次土工・橋梁工事の発注を行い、現在全面展開中であり、工事最盛期を迎えている。今年度はさらに工事の進捗を図るとともに、仕上げとなる舗装・施設工事等に着手予定であり、今五計内の開通を目指していく。
なお、当該区間の特色としては、池田〜本別間は比較的なだらかな山すそを通過しており、本別JCT〜足寄間は平地及び丘陵地を通過している。両区間とも、一般国道242号、第三セクター鉄道のふるさと銀河線及び一級河川利別川とほぼ並行する形で計画し、両区間ともトンネルは無く、構造物比率は池田〜本別間は9.3%であり、本別JCT〜足寄間は6.9%となっている。
技術的な特色としては、PC床版鋼2主桁橋の採用(5橋〔合計約2000m〕特に利別川第一橋の最大支間長86.5mは、この形式としては我が国で最大規模)・プレキャストセグメント工法によるovの施工・プレキャストアーチ(2ヒンジ及び3ヒンジタイプ)によるカルバートの施工・凍上対策を主目的とする切土のり面の緩勾配の採用などに取り組みながら施工を行つている。
本別〜釧路間については、平成11年7月に釧路工事事務所準備室を開設し事業を進めている。このうち本別〜白糠間については、平成11年8月に事業概要説明を行い測量や土質調査を実施し、関係機関や地元との協議に向けて道路構造を検討中であり、今年度より準備が整ったところから順次協議を行う予定。又、白糠〜阿寒間については、平成11年11月に事業概要説明を行い測量や土質調査を実施しており、今年度も引き続き測量・調査を行う予定。その先の阿寒〜釧路間については、国の特別天然記念物である「タンチョウ」の営巣地を一部通過することから、従来から実施している調査を継続していく。
足寄〜北見聞については、比較的穏やかな地形ではあるが、自然環境が豊かで冬期の気象条件が厳しい地区であり、環境に配慮し安全かつ経済的なルートの検討作業や環境・気象調査等を進めている。
また、高規格道路の帯広・広尾自動車道との接続点となる帯広JCT(仮称)についても、昨年より土工工事を展開中であり今年度もさらに工事の進捗を図る。
<管理の現況>
営業中の十勝清水〜池田間は、道東地域における最初の高速道路として、地域の皆様から「十勝スカイロード」の愛称をいただき、平成7年10月30日に開通したが、50.3kmで他路線との接続が無い単独路線であるため、開通当初の利用状況は低迷していた。しかし、平成9年7月に通行料金の引き下げに踏み切ったのをはじめ、地元の利用促進協議会とともに利用促進のprに努めた結果、毎年約10%の伸率で利用が増え、平成12年度の日平均交通量が1000台/日を越えた。
当事務所は、広大な道東地域において、占冠村から釧路方面及び北見方面の約270kmの区間を担当している。当地域は農林水産業が生活基盤の中心となっていることから、輸送道路網の充実を図るための高速道路が果たす役割は大きく、1日も早い道東地域のネットワーク化と道央地域との連結を目指して事業を進めていく。
道東地域は、夏は+30℃から冬は-30℃まで、実に年格差60℃以上という北海道でも特に厳しい気象条件下にある。凍上、凍害などに対する一層の寒冷対策を技術的課題として取り組む一方、環境に配慮した北海道らしい高速道路作りを日指すとともに、地域との連帯をより強固なものとして事務所職員一丸となって事業を進めていきたい。
(本文中の進捗状況等は平成13年5月末現在)
▲STA24付近より 終点(本別IC)方面 ▲利別川第2橋 A1側より終点(足寄IC)方面


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