基調講演(平成23年3月7日)
ところが、中国その他で大幅に伸びたのは、日本が10%を献上したのですよ、第三世界に。こんなグラフ、見たことないでしょう。僕も見たこと無かったですよ、自分で作るまで。こんなグラフはインターネットで5分で作れるものですが、なんで日本のメディアはこれを伝えないのかと考えたので、先ほど申し上げたような構造が見えてきたのです。
で、これを防ぐためには、すでに4,000兆円くらいを無くしているのですが、この需要の少ない時に、需要の下駄を政府が履かせて上げるのですよ。ちなみにアメリカは50兆円、中国は40兆円も行っています。リーマンショック以後に、両国とも50兆円規模でやってきたのです。
麻生さんも15兆円規模でやろうとしたのですけど、途中で民主党に政権交代となったので、いろいろなものを差し止められて、結局、財政出動ができなかったのです。麻生さんはあの時、15兆円を3年から4年やろうと考えていたのですね。あの時、出来ていれば、日本は皆さんもこんなに苦しい状況になっていなかったはずなのですよ。ですからあの時の政権交代というのは、本当に日本を破壊するようなダメージを、破壊的なダメージを日本の歴史に与えたのですね、あの政権交代というのは。いい加減にジュリアナはやめてくれという話ですね。本当に無茶苦茶ですよ。
それで、この公需があると、需給バランスが取れてデフレーションが行かないので、デフレスパイラルに行かないで民需が段々と強くなっていくわけです。このようにして強くなっていくのですね。
ですから、いま日本を救うには、デフレという深刻な病から脱却する道を探らなければならないのです。そのために必要なのが、大規模な公共投資なのです。それで、大規模な公共投資の投資項目は別に何でもかまわないのですが、日本の経済成長にとってより効率的なものに投資すべきなのです。そう考えると、公共事業が好むと好まざるとに関わらず、公共投資の中心にならざるを得ないのです。何故かと言うと、こんなに巨大なものはないですから。クルマなどはいくら高いものでも小さいですからね。やっぱりダムや道路の方が、遙かに高いですから。しかも、それが世の中の役に立つのであれば、それを作るのが一番、効果的な公共投資だと言えます。だからこそ、ルーズベルト大統領が1929年の大恐慌の後に、徹底的な公共投資を行ったのです。そのお陰でラスベガスという街もできたし、いろんなダムができて、それを通じていろんな街が栄えるようになったのですよ。
したがって、50年、100年後の日本を支えるような公共事業をやるべきなのです。例えば、この本の中では徹底的な防災対策とか、あるいは高速道路をきちんと造るべきであるとか、あるいは日本の横浜や神戸の港をきちんと大きくしないと、日本は壊滅的な貿易のダメージを受けるとか、そうしたことを申し上げていますが、今日このシンポジウムが、講演会が始まる前にいろいろと皆様方の話をお聞きしていると、いま北海道のこの空知の地方では、ものすごく効率的な米作が進められたとお聞きしました。
私は冒頭で、いまTPPに入ることは絶対に反対だと申し上げました。なぜならば、今この時点で加入すれば、いかに空知の集約農家といえども、アメリカのあの超巨大な農家には勝てないです。しかも、アメリカの場合は、農家も補助金が無かったら赤字なんです。アイオワでもどこでも。でも、それにちゃんと下駄を履かせるような徹底的な補助金を入れて、それでアメリカの大規模農家が生き残っているのです。すなわち、アメリカの農家というのは、無茶苦茶に巨大で無茶苦茶に効率的な土地を使いながら、大量生産のコーンや米を作りながら、しかも政府の強力なバックボーンがあって、農業生産物を全世界に売りさばこうとしているのですよ。そんな強大な敵に、我が国がどれだけ努力したところで、勝てるはずがないですよ。
だからこそ、いまはTPPに入ることを取りやめて、日本の中の農業というものを徹底的に強くする必要があるのですよ。その時、日本の農業の中心になるのは、明らかにお米ですよ。で、お米というものを考えるならば、当然ながら日本の中でも米どころというのがあるでしょう、けれども、これから戦争をやるときに、今まで通りの北陸地方の米と、アメリカの米と喧嘩してしまったら負けるのです。その時に日本も超集約型の大きな米作というのが絶対に必要になるのです。ガチンコで将来、勝負するとすればですよ。その時のために、徹底的に効率的で効果的な農業、米作というものをこの地で作っていくというのは、日本の国策として極めて重要だということを、僕は皆様のお話を聞きながら感じました。
この私の感覚が間違っているのかどうか、まだ後半のシンポジウムの中でいろんな方々とディスカッションさせて頂ければ、私は勉強させて頂きたいと思いますけれども、いずれにしても地域を救うときには、この地域が日本の国にとってどういうお役に立てるのかということを考えずして、地域の発展などはあり得ないです。
もしも、それを考えないとするならば、独立すれば良いのですよ。独立すると言うことは、自分の紙幣を刷って、自分の軍隊を持って、自分の警察を持つということですよ。それができないならば、紙幣と軍隊と警察を国家に委ねるとするならば、少なくともそのサービスに見返るような富を、国力をこの地域がいかにして国家に対して提供さし上げられるのかというような発想がないようでは、その地域の発展はないと思います。
いつも私はそう感じているのですけれども、そういう点から考えて、この空知の地というのは抜本的に将来の日本というものを救うような農業というものを営める希望が、この地にはあるのではないかということを感じました。この感覚が正しいのかどうか、それは分からないですが、またそれは後半の議論で皆様のお話をお聞きできればと思います。これで私のお話は終わりたいと思います。ありがとうございました。
※平成23年3月23日、参議院は平成23年度総予算3案について予算委員会公聴会を開会。公聴会では、「経済・財政・社会保障」、「外交・安全保障」の両項目に各3名、計6名の公述人から意見の陳述があり、これに対し質疑が行われた。
公述人として出席した藤井聡京大教授は、「日本復興計画」を緊急提案し、「東日本復活五年計画」、「列島強靱化十年計画」を公述した。詳細は「藤井聡」のホームページで公開。
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