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基本コンセプトはsapporo FRONTIA
「札幌駅南口地区」は、鉄道高架化により発生した在来線跡地をメインとする土地区画整理事業を施行してきたことで、国鉄清算事業団、札幌市、北海道旅客鉄道(株)の土地が各々集約されることとなり、一体的な開発をめざし話し合いを重ねてきた。 北海道旅客鉄道(株)、(株)大丸、札幌駅南口開発(株)の三事業者は、札幌市の整備構想や街づくり委員会の提言を参考として、開発の基本コンセプトや導入機能などを検討しながら、「札幌駅南口総合開発計画建設委員会」(委員長・渡辺東京大学名誉教授)を設置して施設計画の検討を進めてきたものだ。 |
●関連事項の経緯 | |||
平成 | 2年 | 9月 | 札幌駅付近鉄道高架化工事完了 |
4年 | 5月 | 「札幌駅周辺地区整備構想」策定(札幌市) | |
5年 | 3月 | 「札幌駅南口土地区画整理事業」都市計画決定・施行認可 | |
5年 | 7月 | 「同事業」による仮換地指定 | |
7年 | 11月 | 「同事業」による北海道旅客鉄道(株)本社屋移転 | |
8年 | 12月 | 「札幌駅周辺街づくり委員会」設置(札幌市) | |
9年 | 3月 | 建物提案方式による契約締結(提案内容:百貨店) | |
9年 | 4月 | 「札幌駅周辺街づくり委員会」提言 | |
9年 | 7月 | 「札幌駅南口総合開発計画建設委員会」設置(事業者) | |
9年 | 10月 | 札幌駅南口開発(株)設立 | |
10年 | 3月 | 札幌駅北口駅前広場供用開始(札幌市) | |
10年 | 5月 | 札幌駅南口地下街増改修工事着工(札幌駅地下街開発(株)) | |
10年 | 7月 | 札幌駅南口駅前広場造成工事着工(札幌市) |
北海道旅客鉄道株式会社
代表取締役社長 坂本眞一氏
昭和 15年2月19日生(本籍:東京都)
昭和 39年 3月 北海道大学工学部卒業
4月 日本国有鉄道に入る
54年 2月 東京第三工事局 次長
58年 4月 大阪鉄道管理局 施設部長
60年 4月 総裁室 調査役
7月 経営計画室 計画主幹
62年 3月 北海道旅客鉄道叶ン立準備室分室付
4月 北海道旅客鉄道
取締役鉄道事業本部営業部長
平成 2年 3月 鉄道事業本部営業本部長
6月 開発本部長
3年 6月 常務取締役開発本部長
5年 6月 専務取締役総合企画本部長
8年 6月 代表取締役社長(現職)
『札幌駅南口開発構想』は、深刻な不況の折りさらに厳しい北海道経済のなか、基本計画を発表し、本格的なスタートを切った。 だが、この逆風がかえって好都合に結びつけた大きな要因ではないかと思える。バブル崩壊後の道内は、様々な大型プロジェクトが希望のなかで生まれては、期待を惜しまれながら夢破れ破綻してしまった現実が多々ある。
我々は、そうした事例を多角的かつ詳細に分析し、決して二の舞いにならぬよう、また、北海道経済の夢を華開かせるためにその起爆剤にならなければならない旗揚げ役として、慎重を期して計画を遂行、検討を重ねてきた。
『札幌駅』は、都心に残された唯一の一等地であると同時に、大変貴重な公共資産である。また、札幌駅は鉄道だけの経営では賄うことが難しい当社にとって、今回のプロジェクトは新たな経営資源として大きな希望の広がりを持たせてくれる一大事業となる。まさに、社運を掛けたこの事業の成否を握るポイントは、建物自体のハード面が重要なのではなく、そのなかでどのような機能やサービスを人々に提供するのか、また、それによって人々にどのような感動をもたらすのかというソフト面の充実に比重がより重く、大切なものとなってくる。
ひとつは、駅ビルを集客力のある複合施設とすることで、鉄道利用客の増加を促すことが可能であることだ。この点で楽しみなのは、商業施設の中核テナントとして正式契約に向けて交渉中のファッションビル経営「ラフォーレ原宿」(本社:東京)が筆頭に上げられる。上京した際、東京ラフォーレの各店舗を視察したが、多種多様なジャンルのエンターティナーを呼び、大々的なイベントを繰り広げるなどの斬新で型破りな店のスタイルに度々驚かされた記憶がある。
そこで札幌駅では、JRシアターでロングラン講演を続け、立て続けにヒットし人々を魅了してきた「劇団四季」による劇場や、札幌市内でも競争が激化している複合型映画施設「シネマコンプレックス」なども合わせて提供する。
いくつもの文化や最先端の流行の発信源、情報源としての類まれな魅力を生み出し続け、その時代時代の流れをつかみ取りたいと考えて止まない。
その一方で、忘れてはならないことは、身障者やお年寄りに優しい施設をつくることである。
実際にこれまで、市民や有識者などを交えて進めてきた「札幌駅周辺街づくり委員会」などの計画づくりのなかで、最も要望が大きかったものだ。一段と加速度を増す高齢化社会に備える意味でも、エスカレーターの増設はもちろん、可能な限り段差をなくし、「バリアフリー」の発想を徹底させていく。
“人”と“文化”の交流に、老若男女や身体条件の壁があるわけがなく、お互いにそれらを共有することができてはじめて、「人々が行き交うべき温もりあふれる施設になるはず」であることを私は強く切望する。