〈建設グラフ1999年4月号〉札幌駅南口再開発事業 
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札幌駅南口地下街再開発

太陽の広場を中心とした
南口広場完成予想パース図

太陽の広場の原型が見えてきた(2月16日撮影)

 新しい札幌駅南口地下街の開発「基本コンセプト」は、百貨店、駅ビル、商業ビルとは異なる「魅力的な路面型店舗による構成」と「ユニークな専門店の集積」を形成し、人々から親しまれる新しい札幌の名所づくり」をめざすものだ。

●広場・街路は「基本コンセプト」をもとに構成される。広場は、@太陽をモチーフに、地下街全体の中心空間とし、シースルーエレベーターをシンボルタワーに札幌の新しい玄関口を創成する「太陽の広場」、A北海道の大空のイメージを表現し、ゆったりとしたやすらぎのある空間を生み出し、多目的に利用できるトイレを併設する「やすらぎの広場」、B北海道の豊かな実りをテーマとし、天井は夕焼けをモチーフにして飲食ゾーンにふさわしい空間を創出する「ハーベストスクエア」、C北海道の爽やかさを木漏れ日のイメージで表現し、光天井によりふりそそぐ光の空間を創出する「木漏れ日の広場」など、計9広場が設けられる。
●南北の街路は、@地下街のメインストリートとして心地よい緊張感のある、ややフォーマルな雰囲気とし、東西ウォークへの誘導効果を図る「セントラルアベニュー」、A北海道の広大な農地のイメージをタイル貼りで表現し、飲食街のウエストサイドの街路の雰囲気を演出する「ハーベストアベニュー」、Bたのしい散策路の雰囲気を華やかな花の演出とトップライトからの自然光で創出し、ファッションウォークへの誘導効果を図る「フローラルガレリア」、C北海道の爽やかさに満ちた木漏れ日のなかを散策するような雰囲気を表現し、それぞれのウォークへの誘導効果を図る「フォレストアベニュー」の4街路で構成されている。
●東西の街路は、@飲食・食品物販・土産の路面店の雰囲気をハーベストアベニュー、フードウォークと一体としたデザインにより演出する「ジョイフルウォーク」、A多彩な飲食街のにぎわいをハーベストアベニューと一体としたデザインと色彩的な変化を与えることにより演出する「フードウォーク」、B生活雑貨の路面店のにぎわいを床のアクセントカラー、直線的な天井、素材感のある壁面構成で演出する「カルチャーウォーク」、C華やかなファッション街の印象を大胆な床のパターン、ゆるやかなカーブを持たせた天井により演出する「ファッションウォーク」、D物販ゾーンの大きな回遊動線としてカルチャーウォークと同様なデザインとし、列柱のフラッグ、ブラッケットにより演出する「マーケットウォーク」の5街路で構成されている。
●札幌駅南口地下街増改修工事
 (札幌駅南口広場地下街)施設概要
建設地 札幌市中央区北5条西3丁目、西4丁目
公共地下歩道面積 約12,420u
店舗面積 約9,450u
構造 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨造)
施設概要 地下広場 9カ所
エレベーター 6基
エスカレーター 6基
カーリフト 1基
階段 28カ所
地下駐車場 1カ所
機械室等  2カ所

●関連事項の経緯
昭和 45年 12月 札幌駅地下ビル株式会社設立
47年 3月 札幌駅名店街オープン
平成 4年 5月 「札幌駅周辺地区整備構想」策定(札幌市)
5年 3月 「札幌駅南口土地区画整理事業」都市計画決定・施行認可
6年 2月 「札幌駅地下街開発株式会社」へ商号変更
4月 「エスタ2番街」営業譲受



「活気とにぎわい」のあるもうひとつの街を築きあげたい

札幌駅地下街開発株式会社 
代表取締役社長 瀬戸 武
昭和 13年7月23日生(本籍:北海道)
昭和 32年 3月 帯広柏葉高校卒業
33年 6月 日本国有鉄道入社
57年 3月 同 釧路鉄道管理局総務部人事課補佐
59年 3月 同      人事課長
61年 2月 同 北海道総局施設部総務課長
62年 4月 北海道旅客鉄道椛獄ア部人事課
 (出向 日本国有鉄道清算事業団)
63年 7月 同 総務部勤労課長
平成 2年 3月 同 釧路支社長
2年 6月 同 取締役釧路支社長
6年 2月 札幌駅地下街開発梶@代表取締役専務
8年 6月 札幌駅地下街開発梶@代表取締役社長

 当社は、1972年(昭和47年)冬季オリンピック札幌大会開催を契機に計画された地下鉄南北線の開通に併せ、「札幌駅名店街」地下街を設置し運営してきた。
 「札幌駅南口広場地下街」開発の今日まで、27年の永きにわたり関係各位並びに出店者の皆様の深いご理解とご協力により、地元札幌市民をはじめ、道内外から来訪される多くの皆様に“愛され、親しまれる地下街”としてご利用を頂いてきた。
 さて、現在、札幌市を中心として策定された「札幌駅周辺整備事業構想」の一環として、その先陣を切り、「札幌駅南口地下街」の増改修事業を鋭意推進している。これまで、札幌駅南口地下街の一体化を図り総合的な開発を行うべく、平成6年に「エスタ2番街」、平成9年に「札幌ステーションデパート」の営業を譲り受け、新しい地下街づくりをめざす体制づくりを万全に整えてきた。
 また、地下街事業は極めて公共性が高いものであり、その事業主体は将来とも適切な管理・運営を執行することが常に求められることから、平成9年7月に、札幌市からの出資を仰ぎ第3セクターとして事業を進めることとしたものである。
 新しい地下街は、交通結節点における地下歩行者ネットワークが再構築され、これから開発される大型施設への連絡はもちろん、まさに国際都市札幌の“ゲートウェイ”となり、冬季間の凍結路面や風雪を克服する20,000uの全天候型ショッピングモール・地下街として生まれ変わるものである。
 一方、これらと並行しながら、防火安全計画を要点とする“新地下街”の設計、「アーバンパストラルな街並み」(人と環境に優しい「暖かさ」を基調とする)を基本コンセプトとするデザインの検討などを進め、新しい地下街にふさわしい意欲的なテナントのリーシングを行ってきた。
 「札幌駅南口地下街」は、明確な5つのMDテーマをもったウォークに、個性を競い合う専門店が華やかに建ち並ぶ一大スペース。札幌駅はもとより、周囲の多様な施設とも直結させ、日常性と非日常性が交差する地で、年齢、性別、職業を越えた多彩な人々を招き入れ、「活気とにぎわい」のあるもうひとつの街並みを築きあげるものである。
 この計画期間を経て、昨年平成10年5月に起工式を挙行し、本格的な増改修工事に着手したが、現在まで増築工区を主体に工事を進め、建物の骨格をなすコンクリート造の躯体工事がすでに完了し、内装工事に着手しているところである。また、現在営業を行っている既存地下街の全面改修工事は、本年3月31日全店閉店後に、4月1日から既存施設の取り壊しに入り、本年10月オープンにむけて順次改修を行う予定である。
 JR北海道、札幌市をはじめ、各出店者の皆様方のご指導、ご理解のもと新しい地下街づくりをめざし検討を進め、いよいよ待ちに待った完成が見込める運びとなったものである。
 「札幌駅周辺地区」は、21世紀における北方圏の拠点都市として、重要な役割を果たす札幌市の玄関口。北の風土特性を活かした独自の都市機能を創造し、21世紀をリードする都市にふさわしい顔づくりを展開している。
 北海道人口の一極集中が進む札幌市は、半径50km圏に商業人口200万人を抱える超大型商業圏を形成しており、年間1,250万人の観光客が内外から訪れる道内最大の観光都市でもある。
 札幌都心部へのアクセスとして、JR、地下鉄を中心とする公共交通機関がその多くを担っているが、JR・地下鉄・バスを含めて1日35万人以上の乗降客を擁する「札幌駅」は、札幌の表玄関であり、商業立地としては道内随一である。
 21世紀に向けて準備が進む旧JR線路跡地の大規模開発に伴う商業集積により、客層の拡大と商業エリアとしてのパワーアップがさらに加速される。
 皆様のご協力、ご参加により新しい地下街が、道都・札幌の玄関口として21世紀に向けて大きく発展せんとする“札幌駅周辺開発”に大いに貢献、寄与できるものと確信している。