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中央は噴煙を上げる金比羅山 下は温泉街と洞爺湖 |
北海道洞爺湖畔の有珠山(732m)が、3月31日午後1時10分頃に噴火した。23年ぶりの噴火で、噴煙は2,700mにまで達した。噴火は後に北西部でも発生し、火口は30カ所に増え、このうち一つは国道230号線上にある。火口は金比羅山麓の直径約100mが最大で、噴煙は複数の火口から交互に吹き上げ、水蒸気爆発による白い噴煙と、噴石を含んだ黒みがかった灰色の噴煙が交錯し、上部で雲と一体化した状態だ。
これによって、伊達市、虻田町、壮瞥町の住民1万6,000人が避難したが、11日からは避難命令が一部解除され帰宅した。現地では道警が伊達署に550人の警官を配置し、陸上自衛隊は第7師団600人を動員、避難民の救助や警戒に当たっている。
この噴火で、JRは室蘭線で特急、急行など55本が運休し、高速道は道央自動車道室蘭−長万部間が通行止め、国道も37号、230号、453号など11路線11区間が通行止めとなった。
●噴火15分前の洞爺湖協会病院前の道路と北屏風山の西尾根 |
現在、火口周囲に断層や地溝が広がり、西山西側から発生した亀裂は道央自動車道虻田洞爺湖インターチェンジを横切り、虻田町市街地にまで達した。また、西側に8mに及ぶ溶岩ドームが形成された。最大の噴火口を持つ金比羅山では、200mの断層が生じ、噴火によって融けた積雪が、積もった火山灰とともに泥流となって洞爺湖温泉街の民家から50mにまで迫った。地殻変動は西山に局地化しており、マグマの活動は西山西側と金比羅山の火口群の中間に集中している。これによって、両火口群の間では、地盤が40m隆起したのをはじめ、西山周辺で53mの隆起も見られるなど、地盤の隆起が相次いでいる。
火山噴火予知連絡会は、明治43年の「明治噴火」に酷似していると指摘。金比羅山と西山でもうしばらく噴火が続くと予想している。
大きい地図が表示されます。 |
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白煙を上げる西側山麓 |
洞爺湖温泉街 |