設計者:株式会社日建設計(日本)[総括代表]
建設会社:清水建設株式会社(日本)
千代田化工建設株式会社(日本)
バラスト ネダム インターナショナル ビーブィ (オランダ)
株式会社地崎工業(日本)
なだらかに傾斜した地形を生かし、建物の半地中化により高さを抑え視覚的な圧迫感を低減している。自然観察のための森や季節に応じて楽しめる緩やかな斜面のパークを配置し、敷地全体をドーム公園と位置づけ、集う市民が愛情を持ち有効に利用されるリビングスペースとして提案している。 施設の軸線は、敷地の対角軸である南北軸にとり、ピッチの屋外引出し部分は良好な通風と十分な日射が確保されている。 ドームの西側に位置するフレンドリープラザは、開放的な空間を提供するとともに、市民の交流の場としての役割を果たしている。 天井のトップライトは、換気窓を併用することにより有効的な自然換気が可能であること、昼間の拡散膜による均質で明るい空間の創造など自然エネルギーの積極的活用を図っている。また、夜間トップライトを透過して外部に漏れるスリット状の光の帯は、羊ヶ丘に幻想的で魅力のある新たなランドスケープを創り出している。 自然採光を有効に取り入れた明るいドームは、昼間時500〜1,500ルクスの照度を確保することが可能であり、市民利用やイベントの準備、撤収などの作業の際には人工照明は不要となり、ランニングコストの低減を図ることができる。 たまご形のスタジアム形状は、観客席からの視認性と臨場感を確保することにより、サッカーと野球の両立を目指したものであり、独創的な提案。 芝の可動装置も確立された技術で構成されており、またスライディングスタンドは、アリーナの利用目的に応じた一体感・臨場感に溢れる空間構成を可能としている。 屋根の形状は、堆雪ゾーン、滑雪ゾーンに明快に区分されており、その堆雪ゾーンの雪氷の落下防止対策、排水システムについても十分に検討されている。屋根からの落雪を蓄える雪だめゾーンも周囲に十分に確保されており、総じて雪対策に配慮された計画。 また、ドーム内に最大730台の駐車スペースを確保しており、雪対策を含め冬期間の維持管理によく配慮した計画となっている。 総じて与条件を一つ一つ技術的、機能的に、かつ、緻密に検討した優れた作品。
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