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〈建設グラフ2000年9月号〉洞爺湖畔の有珠山災害復旧対策

有珠山災害復旧対策

板谷川の
泥流対策
西山川の
泥流対策
温泉地区
降灰除去作業
避難住民のため
の応急住宅対策
直下の
噴火口出現

無人化施工技術が泥流対策に威力発揮

噴火で大きく陥没した火口
金比羅山後方から望む火口群と
洞爺湖温泉街・7月10日
西山西麓火口群と虻田町泉地区を
流下する板谷川・6月29 日



3月31日、23年ぶりに噴火した有珠山は 7月に入って水蒸気を主体とする噴火活動に移行、噴煙の高度・爆発力・熱エネルギーは減少傾向を見せている。西山西麓火口群、金比羅火口群とも深部からのマグマの供給はほぼ停止しており、火山噴火予知連絡会は「一連のマグマ活動は終息に向かっていると考えられる」との統一見解を発表した。洞爺湖温泉西側は 111日ぶりに避難指示が解除され、一部の温泉ホテルが営業を再開し、待望の観光客を迎えた関係者に安堵の笑顔が広がった。

 一方、道建設部による復旧工事も着々と進んでいる。避難住民の帰宅に向けて噴火活動の最中に危険回避のため無人化施工で実施された板谷川と西山川の泥流対策工事を現地で見た。施工は鹿島・大成建設・西松建設・熊谷組・フジタjv。
長崎県雲仙・普賢岳噴火で開発された無人化施工技術は、ブルドーザー、バックホ−(掘削及び敷均し締固め用建設機械)、ダンプトラックなどの重機を建設無線による遠隔操作で動かして危険区域における復旧工事を行うもので、一種の”大型ラジコン”。平成 2年、長崎県雲仙・普賢岳の噴火を契機に開発された。

 当時、火砕流の流下が想定される箇所での除石工事は非常な危険を伴い、二次災害の恐れがあることから、建設省がゼネコン各社から公募したのが始まりで、土木工法としては比較的歴史が浅い。その後、長野県小谷村、鹿児島県出水市などの災害現場で実績を重ねてきたが、遠隔操作型建設機械の普及台数が全国的に少なく、有人運転に比べて作業効率が劣るのが難点。 
 無人化施工には映像用と操作用の二種類の無線が必要だ。施工現場から離れた安全な場所に操作室を設置、オペレーターは映像用無線によって送られてきた建設機械からのカメラ映像を見ながら、操作用無線による遠隔操作で建設機械をコントロールする。


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