次期総裁選候補は、安倍、福田、谷垣、麻生、河野の5氏で確定しつつあるが、支持率からみて、安倍官房長官が最有力という見方が一般的だ。北朝鮮の拉致問題や、対中外交においても堅持してきた、毅然たる強気の姿勢が支持されているのだろう。中韓朝三ヵ国が、ひたすら日本を仮想敵国とし、誤った歴史教育を続け、反日政策を採り続ける限りは、彼らに対していわゆる「太陽政策」を採りたくない国民感情は理解できる。
ただ、様々な報道や分析記事を見ると、米軍再編により、日米安保体制に展望が見えなくなる将来を見通せば、日本は早晩、独自の防衛力を高める必要に迫られるが、そのためには9条改正が不可欠であるため、逆に日本が三ヵ国を仮想敵国として利用し、彼らの反日感情を煽る一方、三ヵ国に対する日本国民の危機感を煽ることで、法改正を容認する世論づくりを目指しているとの観測も見られる。
それによると、米軍削減、米ドルの没落と中国元のドルペッグ解除、米産業の空洞化、世界市場の中国移転など、財政、経済、軍事など様々な分野にわたる弱体化政策が、米政府首脳部によって意図的に誘導されてきたと喝破する。その理由は、覇権に利権が伴わなくなったため、世界のリーダーとして君臨するアメリカとしては、覇権に伴う負担を軽減すべく、米一極主義から世界多極主義への転換を目指しているためだという。確かに、古来の国際社会のような朝貢という慣例がなくなった今日では、見返りも期待できないのに、各地の扮装解決に自軍を派遣しなければならない覇権国にしてはは、割の合わない話ではあろう。
この動向を歓迎し、国際社会のリーダーの一員へと躍進する野心を燃やすのが、経済成長の波に乗っている中国だが、一国でアジア圏に覇を唱えるのは、アメリカと同様で負担が重い。そのために、パートナーとして高度の経済成長を遂げた日本の協力を必要としている。一方、南北統一を目指す韓国は、その実績と調整力を誇示し日中の仲介者という役回りを担うことで、いわばアジア連合の事務局的地位を目指しているという。そのため、両国とも反日デモや領土の占拠など、過激な反日行動とは裏腹に、本当は早急な日本との関係改善を熱望しているという。
ところが、長年、日米安保体制の中で軍事的負担を負わなかったお陰で高度成長を遂げた日本は、今頃になって負担の伴う覇権を担う意欲はないため、中韓の誘いかけを拒絶する意思表示として、小泉首相は意図的に靖国参拝を繰り返しているという。
すでにヨーロッパ諸国がユーロ圏として連合した他、現在は中南米連合、イスラム連合など、各圏域で通貨統合をベースにしたブロック化が構想されている。アジア圏でも、実は日本が通貨統合を主導する形で進められているが、こと軍事となると、連合した後にそれを増強するにも、中韓の干渉と牽制がさらに厳しくなることを嫌って、9条改正までは先延ばしにする戦略であるとの見方だ。
この見解が正当であるとすれば、その文脈の中で5氏を見直すと支持率や評価は、また大きく変わってくるのであろう。
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