January.2008

バブルが崩壊に向かう時期に創刊された本誌も、この新年号を以て無事に200号を迎えた。その間、全国の発注者、受注者から温かいご協力とご指導を頂いたことを、本欄を借りて篤く御礼を申し上げたい。

ネットの普及で、折りから新聞、雑誌、書籍など、既存の紙某体の存在意義が問われる時勢下で、編集サイドとしても常に自問自答の連続だった。また、諸官庁も企業もリストラに専念し続ける状況の中で、出版を取り巻く経済情勢は一度として追い風が吹いた例しはなく、毎号とも収支採算に頭を痛めながらの発行だった。

とりわけ、関係者のインタビュー記事を通じて、人物を描くことに主力を置く編集方針から、採算性を優先すれば、発言者の貴重なコメントを省略し、コンテンツを犠牲にしなければならず、コンテンツを優先すれば、誌面の不採算を覚悟しなければならないというジレンマに悩まされ、高度にバランスが求められたが、読者あってこそとの思いから、常にコンテンツ優先の方針を貫いてきた。

その効あってか、お陰で毎月更新される弊誌ホームページへのアクセス数は着実に伸張し、前号12月号の発行後には、一ヶ月で70万超のアクセスを記録した。もちろん、アクセス者は公共事業関係者ばかりではなく、かつて本誌で掲載した人物を捜しているという尋ね人や、公共事業に否定的と思われる人々のアクセスも見られた。

だが、ネットにおいても現実においても、反公共事業派の意見ばかりが声高に喧伝される社会で、発注者や受注者などの利害当事者ではない第三者の立場で、公共事業のアカウンタビリティ機能を果たす媒体は、稀少なりとも必要である。とりわけ大衆向けに一般受けしなければならない大衆紙などは、論調が公共投資批判に偏らざるを得ないため、ともすれば、それが世論になる危惧がある。それだけに第三者機関を通した関係者による反論、PRの場は確保されなければならない。弊誌としては、及ばずながらもそうした場を提供し、機能を果たしてきたものとささやかながら自負している。

建設業はまさに転換点に立っており、地域にとって必要な企業と不要な企業が取捨選択され、企業数が絞られる方向性にある。それは諸官庁の政策も然りで、市民、国民のために必要な事業か、不要な事業かが厳密に問い直される時代を迎えた。弊誌としては、どの企業が必要とされ、地域のために残っていくべきなのか、どの事業が必要で、どの事業が不要なのか、検証の意味も含めながら今後とも編集に臨む方針である。


過去の路地裏問答