寄稿/沖縄総合事務局 南部国道事務所長

寄稿/沖縄総合事務局 南部国道事務所長

那覇空港自動車を重点整備
―― 県人口の集積地の発展をバックアップ

 

内閣府 沖縄総合事務局
南部国道事務所長
石浜 康賢


私たち南部国道事務所は、沖縄本島の中南部地域における国道58号・329号・330号・331号・332号・506号(那覇空港自動車道)の6路線(148.506km)の管理・改築を担当しています。このうち、特に重点整備を進めているのは那覇空港自動車道です。

 

管内には、人口約32万人の県都那覇市をはじめ、沖縄市、浦添市、宜野湾市、糸満市、豊見城市、南城市などの都市があり、県人口の約8割が集中しています。当事務所は、こうした集積地において、安全で円滑・快適な道路交通を確保し、地域住民の生活の安定・向上、産業の振興発展を図るため、鋭意事業に取り組んでいます。

那覇空港自動車道

那覇空港自動車道概要図

第四次全国総合開発計画(昭和62年6月)において、21世紀に向け多極分散型の国土を形成するため、全国で14,000kmの高規格幹線道路網の必要性が提唱されました。

高規格幹線道路網を形成する「那覇空港自動車道」は、沖縄県最大の広域交通拠点である那覇空港と沖縄自動車道を結ぶ一般国道の自動車専用道路として、昭和62年6月に指定されたもので、沖縄県の経済活性化、観光の振興、高速性及び定時性の確保に大きく寄与するものです。

小禄道路はこの那覇空港自動車道の一部を構成する道路で、那覇都市圏の渋滞緩和や那覇空港へのアクセス性向上などを目的としています。
平成23年度に事業化され、現在、調査設計、用地買収、用地補償、改良工事、橋梁下部エ及びトンネルエを実施しています。

 

(図2)赤嶺トンネル(北側)坑口付近
(図3)赤嶺トンネル(南側)坑口付近

当該トンネルは、坑口断面約10.0m、延長が上り972.0m、下り852.0mのメガネトンネルで、NATM工法にて掘り進める計画となっています。施工上の難点は、供用中である沖縄都市モノレール(以下「ゆいレール」と称する)との近接施工となる点で、ゆいレールの基礎との離隔は最も近い場所で10m程度となっており、細心の注意を払って掘削する必要があります。工事は令和2年6月より終点側の下り線から掘削を開始したところであり、掘削を開始するにあたっては、切り下げた法面が荒天を受けて崩落が起こる事度々、さらに、沖縄ではさほど珍しい事ではありませんが、不発弾の現地処理作業も行われています。

次に、橋梁区間についてですが、瀬長交差点を境に起点側(那覇市側)がPC橋、終点側(豊見城市側)が鋼橋で計画されています。また、終点側の下部工については、今回、鋼製橋脚を採用する計画となっており、橋梁区間の施工については、現道である国道331号の切り回し工事や豊見城東道路から田頭方面へ延びるランプ橋の切り替え工事が必要な事からも厳しい環境下での工事となっています。

 

(図4)小禄道路 瀬長IC周辺の俯瞰図

小禄道路の供用によって、国道331号小禄地区の交通渋滞の緩和及び那覇空港までのアクセス向上、そして豊見城東道路及び小禄道路の整備で、那覇中心部南側の外郭環状道路が完成することから、国道331号等の那覇中心部を通過する交通が減少し、交通渋滞の緩和が期待されます。さらには、那覇空港までのアクセス性が向上するため、企業立地の促進や物流産業の効率化及び観光産業の活性化が期待されます。

豊見城東道路は那覇空港自動車道の一部を構成する道路で、那覇都市圏の渋滞緩和や那覇空港へのアクセス性向上などを目的としています。
平成20年3月に全線2車線開通し、平成27年3月に全線4車線開通しました。現在は小禄道路との接続箇所の調査設計を実施しています。

(図5)小禄道路 田上地区(完成予想図)

おわりに

那覇空港自動車道は、観光の振興・産業活動の活性化及び、地域の安全・安心を確保する上で大きな役割を担っており、引き続き、工事の安全対策に細心の注意を払いつつ、一日も早い全線開通に向け事業を進めてまいります。

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