ズームアップ/南茅部中学校校舎・屋内運動場新築事業

ズームアップ/南茅部中学校校舎・屋内運動場新築事業

尾札部・臼尻の2校を統合した「南茅部中学校」が誕生

―― 多様化する教育の対応と“縄文遺跡”を表現した学校づくり

■はじめに

函館市が建設を進めている「南茅部中学校」は北に噴火湾を臨み、南は山並みが迫り、平坦部が少ない、豊かな自然に囲まれた地域にある。また、南茅部地域の象徴である「縄文遺跡」を建築的に表現した校舎づくりを進めている。

■施設建設の経緯

平成27年9月に尾札部中学校・臼尻中学校の統合について、学校教育審議会へ諮問し、平成28年7月に審議会から、統合によりある程度の生徒数を維持することは教育環境として重要、統合を望む保護者や地域住民の意向も重視し、両校の統合をすることとし、統合校の位置は両校の中間点が望ましいとの答申を受け、南茅部運動広場を敷地として、校舎等の整備を進めることとなり、令和5年1月竣工、同年4月開校の運びとなった。

一方、校名については、南茅部地区の統合校の関係者による“統合準備委員会”で校名候補の選定を行い令和2年11月の教育委員会において「函館市立南茅部中学校」に決定した。

■整備趣旨

新築事業においては、過疎化と少子化が著しく進行する社会を見据えて下記の3点を重要視した。

(1)学校は生徒・保護者などの大事なコミュニケーションの場であること

(2)科学・技術の著しい発展があり、教育環境も大きく変化していること

(3)災害が発生した場合に、学校が避難施設として利用されることに配慮した空間づくり

以上の点を基に、尾札部中学校・臼尻中学校の両校の歴史・文化を重んじ、整備を進める。

■建築計画のコンセプト

1.コミュニケーション力の育成

将来を担う子供達がコミュニケーション力を形成するための対応として、普通教室と特別支援教室を隣接させることや、図書コーナーなどオープンスペースを設けることで、集団生活の中でお互いに認め合い、協力し合い、切磋琢磨し、一人の人間としてコミュニケーション力の育成のきっかけの場とインクルーシブ教育の構築に寄与できる施設づくりを目指す。

また、保護者や地域の人々との交流を図る学校の一般開放も計画する。

2.多様化する教育に対応できるフレキシブルな計画

AIやコンピューターの進化による人を取り巻く環境の変化、また、学校教育ではオープンスクールや生徒個別のタブレット授業など多岐に変化している。

その中で、将来を見据えてフレキシブルに対応できるよう、特別教室の一部兼用、ティームティーチング、個別学習、少人数による学習、グループ学習、複数学年による学習等の活動及び生徒の学習成果の発表の場などに対応するための学習メディアなどが活用できる多目的教室を設置する。

3.誰もが利用しやすく安心・安全な施設

昨今、自然災害が多発していることから災害の発生時には、学校施設は地域住民の重要な避難施設となるため、堅牢な建物を目指す。

また、普段は生徒が利用し、施設の開放時や災害時には地域住民も利用することを考慮し、バリアフリー化を図り、エレベーターも設置する。

■配置・平面計画

1.校舎、屋内運動場は共に敷地の北側に、グラウンドを南側に配置する。

2.メインアプローチからの登下校、来校者及びグラウンドの視認性を考慮し、職員室、校長室を校舎の南側に配置する。

3.普通教室、特別支援教室は南側まとめて配置し、インクルーシブ教育に配慮する。

4.中廊下形式の校舎中央部に教室等を配置せずに外部とすることで採光を確保する。


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