国土交通省 近畿地方整備局 奈良国道事務所 所長 伊藤 努

国土交通省 近畿地方整備局 奈良国道事務所 所長 伊藤 努

京奈和自動車道の整備を促進

―― 奈良県の暮らしを支える道路ネットワークを目指して

国土交通省 近畿地方整備局
奈良国道事務所 所長 伊藤 努

1.奈良国道事務所事業概要

奈良国道事務所管内事業位置図

奈良国道事務所は、奈良県内において高規格道路の京奈和自動車道大和北道路及び大和御所道路、国道25号の名阪道路(名阪国道)及び斑鳩バイパス、国道165号大和高田バイパス及び香芝柏原改良並びに直轄権限代行として国道168号の長殿道路、五條新宮道路(風屋川津・宇宮原工区)及び十津川道路(Ⅱ期)、国道169号伯母峯峠道路の改築事業及び道路事業を奈良県とも連携しながら実施しています。

また、国道24号・25号・163号・165号の4路線(管理実延長約150㎞)の維持修繕事業、交通安全対策事業、沿道環境改善事業、無電柱化推進事業及び道路管理業務を実施しています。

京奈和自動車道位置図

2.京奈和自動車道の概要

1)事業概要

京奈和自動車道は近畿大都市圏の外縁に位置する関西大環状道路の一部を構成し、京都・奈良・和歌山を結ぶ延長約120kmの高規格道路であり、3府県の拠点都市間の連携強化を図る役割を担っています。

当事務所では、京奈和自動車道の奈良県区間でミッシングリンクとして残る2区間(大和北道路・大和御所道路)の整備を推進しています。このうち、大和郡山市と五條市を結ぶ大和御所道路については、橿原JCT(仮称)大阪方面接続ランプの令和8年春開通に向けて橋梁上下部工事等を推進しています。

京都府境と奈良市、大和郡山市を結ぶ大和北道路では、NEXCO西日本と一体となって事業をしています。現在国道24号の切替等しながら、下部工工事等を実施しています。

2)事業の整備効果

物流手段を100%道路に頼る奈良県においては、西名阪自動車道や名阪国道といった既存の高速道路ネットワークと連携することで、アクセス性向上による企業・工業立地の増加が期待されます。

また、全国1位の登録数を誇る世界遺産等の観光資源を結ぶ周遊ルートの形成、観光インバウンドの増加による地域経済の活性化が期待されます。

さらに、地域内の慢性的な渋滞の解消や、災害時における阪和自動車道、西名阪自動車道の代替機能の発揮が期待されるなど、「安心・安全」を確保する災害に強い幹線道路ネットワークの整備等に寄与するよう取り組みを進めています。

大和御所道路(仮称)橿原JCT付近

3.建設現場におけるDX推進

1)DX技術の概要

現在、奈良県内で進められている京奈和自動車道の工事は、都市部の幹線道路(国道24号)沿いで実施しており、狭小な施工ヤード、安全性の確保などの問題を有しています。このため、DX技術としてMR※デバイスを用いた橋梁架設計画の現地投影を行いました。
※MR:Mixed Reality(複合現実)

2)施工現場でのMR技術の活用

事前に作成した3Dモデルを現地投影することで、空間の把握や部材干渉、課題抽出が容易となり、生産性や安全性の向上が期待されます。

例えば、作業俯角や作業スペース、クレーンブームの干渉などを視覚的により明らかにして、安全かつ効率的に施工を実施しています。

4.おわりに

当事務所では、京奈和自動車道の他にも、紀伊半島の重要な幹線交通である「紀伊半島アンカールート」の一角を担う五條新宮道路や奈良中部熊野道路等の整備を促進し、地域の安心安全の確保や地域経済の促進の支援に努めています。

内陸県である奈良県にとって、地域住民の方々の生活や経済活動を支え、企業立地の進展や雇用の拡大等の地域産業・観光交流の活性化を図るため、道路が欠かせない重要な社会資本となっています。また、南海トラフ巨大地震への対応といった国土強靱化の観点からも、人々の命を守るとともに、関西圏の活性化に繋がる幹線道路ネットワークの整備について、地域の皆様方のご理解とご協力をいただきながら、取り組みを進めてまいります。

大和御所道路建設現場におけるDX技術(MR)の活用事例

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